昔の漫画や映画で石鹸を踏んですってんころりんとする場面があるが、この例のように石鹸が武器だった時代があった。
昔の海戦は、最終的には船同士を接近させ相手の船に乗り移り刀や槍などの武器で戦った。このようなときに乗り込んできた敵がすってんころりんと転んでくれれば戦いも有利に展開できたようであるが、味方も同じように滑るのではないかと心配もあるのだが・・・。
石鹸の話はさておき、ローマ軍の剣は細身の長剣から、BC205年スキピオによって、しばしば映画で目にするような、スペインの原住民が使っていた両刃の短剣に変わり、斬ることから突くことに変わったのであった。このことは、集団戦での集団力を発揮するのに好都合だった。
システム化されたローマ軍では、現代の軍隊のごとく整然と指揮官の戦略・戦術命令の伝達・遂行がなされ、重装歩兵はきちんと隊伍を組んで集団力によって戦ったのである。当時、ローマ以外の国は、集団力発揮の点で大きく劣っていた。
ローマ軍の重装歩兵は、この両刃の短剣はもとより、兜(鉄または鋼製)に五十センチほどの羽根飾りを付け、肉厚の胸板では負けないが、どうしてもゲルマン人やガリア人に比べて劣る背を少しでも高く見せようとした。
考えて見れば、この羽根飾りも石鹸と同じようなある種の武器だったのであろう。思いがけないものが武器になっていたのである。
「ペンは剣よりも強し」と言われて久しいが、現代のペンとはインターネットも含んでいるのである。