月下樹のおと

樹月けい、オタク母のブログ。アニメ・漫画。お絵かき展示等。義母の介護終わり、義父のご飯お手伝い中。

2/18  22世紀を見る君たちへ  平田オリザ氏講演会  これからを生きるための  文化芸術と劇場のあり方とは?

2022-02-24 23:51:37 | 参加★舞台 映画 WS等


令和3年度 
新市民会館「みんなの劇場」整備
課題解決型実践事業

┌──────────────┐
 22世紀を見る君たちへ

 平田オリザ氏講演会

 これからを生きるための
 文化芸術と劇場のあり方とは?
└──────────────┘

講師:平田オリザ氏

日時:2022 年 2月 18日(金)
   19:00〜20:45

会場:ひまわりセンター4階
────────────────

昨年に続き、今年も丸亀市で
平田オリザさんの講演会。

新しい市民会館に向けて、
何を大切にしていけばよいのか
改めて考える場になった。

────────────────

●若者の人口減少

出会いの場が減ったからでは?

雇用があれば戻ってくるのか?
それだけでは戻ってこない。

広い意味での文化の
重要性を考える。

戻ってこない理由は何か?
Uターン・Jターンを
阻むものは何か?

雇用、教育、医療、文化

若者が自治体を選ぶとき
教育や文化が重要と考えられている。


●社会における芸術の役割

・芸術そのものの役割
・コミュニティ形成や維持のための役割
・社会に役立つ役割
(教育、観光、経済、福祉、医療)
例えば…海外などでは予防医療にも
   アートで人との繋がりを作る


●新しい広場が必要

経済活動の中ではムダな存在と
見られがちなものの中にも
必要なものがあった。

郊外型のショッピングモール、
安くて良いものが手に入る
ネット通販など、
利便性や経済的なことを
重視してきた結果
社会にとって必要なものを失った。

昔の床屋や銭湯、駄菓子屋のような
コミュニケーションの場がなくなり
若者の居場所が固定化、
閉塞化している。

成功の筋道は、
地方のほうが限られている。
ドロップアウトや不登校
などの問題。
選択肢の少ない地方の方が
ひきこもり率が上がる傾向にある。

失ったものの代わりに
補完するものが必要。
新しいセーフティネットとしての
新しい広場のような場所。



●大学入試改革にも影響

大学入試も変わってきている。

従来の学力試験
知識の量を量る試験だけでなく
学ぶ仲間を選ぶ試験へ。


これまでは
知識が土台として必要で、
そこから上へとピラミッド型に
積み上げるようなものと
考えられていた?

③思考力・判断力・表現力
②主体性・多様性・協働性
①基礎的・基本的な知識・技能


でも実は反対ではないか?

③基礎的・基本的な知識・技能
②思考力・判断力・表現力
①主体性・多様性・協働性

主体性・多様性・協働性が
土台になければ、という考え。


新しい学びの共同体は
「何を学ぶか?」より
「誰と学ぶか?」へ

多様な人の集まりでないと
多様な発想やディスカッションが
できない。


そういうことから
大学も多様な人を求めている。
学力を始め、性別、人種、
家庭環境…
多様な人たちでの話し合いが大事。


では
大学入試改革はどうなる?

受験準備のできない問題を
作るのが難しい。
受験指導・進路指導ができなくなる。
一、二年の受験勉強では対応できない入試。
身体的文化資本が問われる



●身体的文化資本とは?

「文化資本」という概念は
フランスの社会学者
ピエール・ブルデュー(※1)によって提唱された。

その中の、
身体化された形態の文化資本は、 例えば
センス、マナー、コミュケーション能力や美的感覚など。

身体的文化資本は
本物に触れたり
生で見たりすることで
二十歳までに体で覚える。

そうなると
体験できるかどうかという問題が。

経済格差、教育格差以上に
発見しにくいのが
文化の地域間格差。

これが広がれば
大学入試にも
影響してくるのではないか。
………………

多様性を確保しなければ
身体的文化資本が大事になる
地方が不利

行政の力が必要になる


○成功例:奈義町
自然とアートのまちづくり

出生率2.81達成

教育改革
・きめ細かい子育て支援と教育
・子ども歌舞伎
・現代美術館、図書館

人口1万人以下の自治体は
小回りがきくという利点もある。

…………

●一つのことをやり遂げた経験が
学力を後押しする

・「SES」
子どもの学力と
家庭の社会経済的背景(SES)は 
密接に結びついている
という研究がある。

(SES…家庭の所得や親の学力などに関係する)
SESが高いほど
学力が高い傾向がある。


・「非認知スキル」
学力テスト等で計れる認知できる
能力のように数値化できない。
知識や思考力を獲得するために
必要だと思われる能力全般。
集中力、忍耐心、やり遂げる力、
協調性など
広範囲にわたる。


SESが高くても低くても
非認知スキルが高ければ
学力を一定程度押し上げる
可能性があるという研究がある。

非認知スキル
例えばこんな力………

異なる意見に折り合いつけて
まとめることができる。
ほかの人と協力して何かをやりとげて嬉しかったことがある。 など
それが、
学ぶ力や学ぶ意欲
自尊感情などに繋がるのではないか。


勉強しなさい!は逆効果?

やりたくない気持ちでは進まない。
知的好奇心を刺激することが良いらしい。


面白い、美しい、悲しい…など
自分の心が動くことが
学ぶ意欲に繋がる。

そのようなことが
教育統計で分かってきたこと。


学力は学ぶ力である。
自分で学べる力。
幼稚園の頃から進めていけば
教育格差はできにくくなるかもしれない。


一番の土台、
主体性を大事にしなければ。
遊びの中で試行錯誤したり
人間関係を築いたり。

これは学校など
対面でしかできないもの。
そのために芸術教育を。
最終的に
基礎学力に繋がっていく。



●新しい広場をつくる

強固な共同体から
緩やかなネットワーク社会へ

自分の興味のあるものを通して
繋がれるように。

孤立は様々な問題を生む。

社会のリスクとコストを
減らすためにも
孤立させない、
繋がりをつくることが大事。
それが社会全体のためにもなる。

そのためにも
新しい広場をつくることが必要。


●文化による社会包摂

○成功例:八戸市の「hacchi」

小さな劇場と
ワークショップなどが出来る
小さな部屋の集合体

文化施設か商店街に貢献
経済の原理だけでは
大型商業施設に敵わない
楽しいものに誘客
来る理由があれば人は来る

小回りがきく
多様なものを用意
小さいものをたくさん

その中に興味あるものが
ひとつあれば来てくれる。

循環が生まれる公共施設


○成功例:富良野 ラベンダー畑

演劇コースの学校
農家こそクリエイティブでなければ
という親の意識(親世代の成功体験から)


文化の自己決定能力が必要
自分たちで考え選ぶことが
今後の存続にも関わってくる。
 

宮沢賢治
『農民芸術概論綱要』より

曾つてわれらの師父たちは
乏しいながら可成楽しく生きてゐた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が 
生存があるばかりである
宗教は疲れて近代科学に置換され
然も科学は冷く暗い

──────────
■質疑応答より


アートマネジメントにおいて
届けたいところに届かないジレンマ

公教育で裾野を広げる
そこからステップアップ

社会的なシステムをつくる

行政が何をしてくれるか
市に対して何かできるか
行政を使って何をできるか
という視点


私たちが何をしたいか、
気持ちや考えを持っておくことが
必要だと思った。

自分たちだけでできない時
他から手伝ってもらうためにも
大事なことだと。

──────────

▼ピエール・ブルデュー(※1)

NHK 100分de名著 
でも放送されていた!

『ディスタンクシオン』ブルデュー


“プロデューサーAのこぼれ話”も
ぐっとくる!

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