<ビルの谷間から昇る朝陽 今朝(8月12日)午前5時08分 多摩川土手にて>
ブロガー、読者の皆様、お変わりございませんか。お久しぶりです。
とにかく暑い! 殺人的暑さで、一歩も外へ出る気がしません。
この猛暑と家籠りの日々とkindleのおかげで相変わらず読書が進みます。
そこで夏休み継続中ですが、最近読んだ本2冊の読書備忘録を!
歳の所為でしょうか。間を置くと、感想はもちろんこと、内容すら忘却の彼方ですので(苦笑)。
飽くまでもわたしのための備忘録です。ご興味のない方はどうぞパスしてくださいね。
「ノースライト」横山秀夫著 2019年本屋大賞2位
429ページにおよぶ長編ですが、Kindle版で1週間で読了しました。
<抄録>
一級建築士の青瀬が設計した新築の家。しかし、Y邸に越してきたはずの家族の姿はなく、
一脚の「タウトの椅子」だけが浅間山を望むように残されていた。
Y邸で何が起きたのか?一家の行方は......。
これだけのあらすじ紹介を読むと、単なるミステリー小説のように思う。
しかしそれは全く違う。友情と家族愛と建築への男の熱い情熱とが折り重なり壮大なロマンを感じた。
青瀬に「あなたの住みたい家を建ててくださいと」と依頼したクライアントが行方をくらました事件は、
この小説の核のようなもので、そこからいろいろな方向へ話が広がっていく。
青瀬の幼少時代の体験、ドイツの建築家ブルーノ・タウトの話、ある画家のメモリアルホールの設計に、
事務所の生き残りをかけ、仲間が一丸となってコンペに参加しようとする様子。
政争に巻き込まれ不運な生涯を遂げることになる所長の運命。が、コンペの結果は・・・・。
いろいろ深まる謎が後半に一気に解けていき、ぴたりと収まる、それも気持ちよく良い方向に。
ミステリーとはいえ、温かな読後感で余韻に浸ることのできる貴重な一冊だった。
建築、住まいの設計に興味のある方にはお勧めの本。
またまた原田マハさんの本、「太陽の棘」を読む。
「棘」といえば先月、須賀しのぶさんの「神の棘」を読んだ。また棘?
別に棘が好きなわけではない(苦笑)。内容は題名には似つかわしくなく、心温まるストーリー。
時代、舞台は太平洋戦争直後の沖縄。
軍医として赴任した若き軍医は、荒土と化した沖縄で誇り高き若き画家たちの生活の場、
「ニシムイ アート ビレッジ」に偶然出くわす。
そしてそこで独自の創作活動をする若き画家たちと軍医エドの心の交流が始まる。
勝った側と負けた側、本来なら憎むべき両者をアートという力が強く結び付けていく。
難しいテーマを秘めた内容であるが、原田マハさんの言葉は柔らかく優しく心にじわ~と沁みてくる。
エドの友人、沖縄が大好きなアランに帰国命令が出されたとき、彼の発した言葉には心打たれた。
<僕らは、遅かれ早かれ、全員が沖縄からひきあげなきゃならない。
それが、沖縄の人たちのほんとうの自立のためになるんだったら、僕は喜んで帰国するよ。>
老精神科医、エドワード・ウィルソンが過去を振り返り語る口調で始まる小説「太陽の棘」!
難しめの本ばかり読んでいた昨今、ぽっと心に灯がともり、さらっと読める感動的な本だった。
もう一冊、木皿泉著「さざなみのよる」を昨夜読了。
とても良い本でした。その読後感はまたいずれ。