「じゆうななもじ君 句集」2012年
飛ぶ鳥の影もゆるりと春近し
見上げれば立春大吉寺の屋根
若葉萌えし遠き山に雪残り
朝顔の咲いてはつぼむ風涼し
なに想う夜蝉のごとく鳴けばいい
通り雨傘をたためば蝉の声
地味なれどシオカラトンボ舞い来たり
別世界に迷い入りけり残暑かな
秋の蝉眠たき午後の窓辺かな
地に落ちし動かぬ蝉の思い出は
秋思する雲は静かに西日さし
秋告げる遠雷ひかり雨の香や
路地裏や便所コオロギ灯はこぼれ
小萩咲く幽境の夜やそぞろ神
足弱く菊を飾るや老いし母
ゆうらりと彼岸も近き静けさや
窓開けし素足さみしき秋の空
薄日さす桜紅葉に猫散歩
秋寒やごみ出す人の声響き
立冬や今朝の陽ざしの暖かさ
冬晴れに窓に映るや雲白し
洗濯もの干すついでに日向ぼこ
(旧ブログからの転載です)