オバマ大統領が来日した日から報道などの内容を読んでいろいろと考えさせられました。
それが日本に何をもたらしたのか。自分なりに考えたことのまとめです。
4月23日
オア場間オバマ大統領が滞日した。
日本としてはどうにか表面上だけは国賓扱いということにできたのですが、実際は実務的な来日でしょう。
この来日を前に読売新聞が
単独書面インタビューの結果を記事にした。
会談の中心は、日本側としては対中国との尖閣諸島の対立に対してアメリカの態度としてはっきりした日本側に立つものを引き出すことと集団的自衛権の認知ということでしょう。それを日米安保の強化として位置づけるものです。アメリカ側はTPPでの日本側の譲歩を引き出すことでしょう。
尖閣・集団的自衛権そして安保の強化とTPPが焦点に間違いないのですが日米間の軸足は違っているのではないでしょうか?もちろん安保は対中国へのアメリカとしてのけん制ですしアジア重視の軍事面の基礎ですから、アメリカが無関心ということではないのですが、対中国とのこれまでのつめた話し合いもあったわけですし、日韓の対立もある。領土問題は平和的解決というスタンスは保つでしょう。
上にリンクした読売新聞の記事では、オバマ大統領が
『尖閣諸島について「日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」と述べ、歴代大統領として初めて安保条約の適用を明言した。集団的自衛権の行使容認に向けた安倍内閣の取り組みを全面支持する考えも表明した。』
(上記リンクページより引用)
しかしこの「日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」というのはある意味尖閣諸島はアメリカの沖縄占領と返還の歴史において日本の実効支配にあるということで尖閣諸島を中国が軍事的に解決しようとした場合は日米同盟から安保5条を適用するということで、これは以前から中国に対してけん制として言われていた言葉ではないか。これは何も尖閣諸島問題を平和的に日中が解決することを希望するというスタンスから離れたものではない。
ですから日本側が期待するような尖閣諸島問題を日本側の意見で解決することでもないようですし、ましてや武力的な解決を言っているわけではない。
集団的自衛権については、日本側は安倍総理の靖国参拝という対中国・韓国への強硬的な姿勢見せ、オバマ大統領来日直前にも安倍総理は参拝はしなかったが真榊(まさかき)を奉納し、その後は閣僚を含めた靖国参拝を個人として行った。春の例祭でしたっけ、その中での真榊の奉納という形ですが、先の靖国参拝ではアメリカ側から『失望』という言葉が出たにもかかわらず大統領来日の直前に行ったことはひとつのアメリカへのメッセージだったという面がるのではないでしょうか。この内政とそのことからの中国・韓国との対立をアメリカが認知することを含めた日本独自の集団的自衛権の形をアメリカに承認させる主観的内政的目的もあるのではないか。
アメリカ側からすればこの間の自衛隊の海外派遣を歓迎してきたわけですから今後の(特に北朝鮮)武力戦略に日本が必要なわけですからこれまでと同じ協力はほしいでしょう。しかし日本側の集団的自衛権とアメリカの集団的自衛権の中身は、靖国参拝に象徴される中身を含めたものとなるとだいぶ温度差が出るのではないか。
アメリカの軍事行動は非難されるべきものですが、一応は自由主義国としての建前はありますし、ベトナム戦争やイラク戦争にしても国民世論がその戦争をやめさせる働きを持つ民主主義は根強くあります。この意味において自由と民主主義の建前は維持をされる。日本に対するものは戦前の日本ではなくて近代的な自由と民主主義を建前上でも持つ自由主義圏の日本でしょう。
4月24日
昨日書いた「オバマ大統領来日」に関連しますが、今日の会談を踏まえて大統領と首相の共同談話(インタビュー)がありましたが、TPPについての合意には至らずたぶん今夜も関係閣僚の爪の議論が行われているのでしょう。日本側としてはTPPと共に尖閣諸島についての安保条約5条の適用と集団的自衛権のアメリカ側の評価にあったと思います。そしてこれらを含めたアメリカとの親密さの再確認だったでしょう。
オバマ大統領がアメリカ大統領として始めて尖閣諸島も安保条約5条の適用を発言したことについては成果だったととらえている面が強い。集団的自衛権も歓迎するというような発言も成果ととらえているのかもしれない。
しかしオバマ大統領の発言では、この言葉の真意はこれまでアメリカ政府が言っていたこと以上でも以下でもないということで、
オバマ氏は会見で「米国は中国とも非常に緊密な関係を保っている」と表明。尖閣を巡る領有権については「特定の立場は示さない」と従来の米国の立場を繰り返し、中国が尖閣へ軍事侵攻をした場合の武力行使の基準となる「レッドライン」についても「引かれていない」と言い切った。そのうえで、尖閣問題の平和的解決を強調し、日中双方に「信頼醸成措置をとるべきだ」と求めた。 (
毎日新聞より引用)
これまでの安保条約の再確認に怪我は得た程度のものと受け止められるのではないか。
海外の反応も同じようである。(毎日新聞)
同時にこれは、日本側がこの間主張していた日中間に領土問題はないというものを覆す中身とも受け取られかねないでしょう。軍事的解決にはアメリカは5条を適用するがそうではなく平和的解決を望むというのはアメリカが一定の領土問題の存在を認めたことにもなる。
集団的自衛権については、その範囲もまたこれまでの自衛隊の海外派遣程度とみえる。朝鮮半島においては日本国内のアメリカ軍の展開程度でしょう。仮にアメリカが朝鮮半島有事に武力介入をした場合今の日中・日韓の関係においてはよほどのことがなければ自衛隊を使えないことも明らかです。
また大統領は安倍総理の靖国への真榊(まさかき)の奉納と国会議員の指摘参拝という中での訪日でした。大統領は宮中晩餐会そして明治神宮訪問そして流鏑馬、ASIMO見学と「日本の文化」をそこに見つめている姿があった。これも大統領のメッセージとするならば今の日本がいう集団的自衛権とは温度差を持っているということではないか。
4月25日
日米共同声明を読んでました。
ツイートした気になることだけを転載しておきます。
「米国は、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対をする。」(日米共同声明)この「施政」という言葉の解釈(先のツイート二つ)によっては、アメリカに対する「一方的な」ともとらえられる意味合いを持つ。
施政とは何か?特に国際関係の。。。。
施政の意味
この意味においての「施政」ならば、日本は敗戦国ですから「信託統治」という意味合いが強くなります。。。
信託統治の意味
尖閣諸島は沖縄に属します。その沖縄は戦後アメリカが占領をしていた。それを日本に返還をしたわけですから、アメリカにとっては戦後の国際連合との関連での発言の意思をいまだに持っていると見ることができる。ですから尖閣諸島の支配権はアメリカ抜きには決めることができないということにつながる。
その上に立った日米同盟。
アメリカの主張とはこういうものではないか?
4月26日
韓国を訪問したオバマ大統領が竹島(独島)問題に対して発言したようです。
北東アジアの領土紛争についてもオバマ大統領は「米国が紛争の当事国ではない」と前置きした後、「米国はこうした問題が法と外交によって解決されるべきだという一貫した立場を堅持している」という原則的な立場を明らかにした。前日、日本で尖閣諸島(中国名・釣魚島)は日米安保条約の適用対象だとし、日本側に立った態度とは温度差がある発言だ。 (
中央日報より引用)
竹島については「米国が紛争の当事国ではない」。これは日米韓の協力関係に位置づけられている中での日韓関係ですから直接アメリカがこの問題について言及はしないということでもあるのでしょう。尖閣諸島については日中間の問題ですからアメリカは安保条約上もその判断を明らかにしたということでしょう。
しかし領土問題において「米国が紛争の当事国ではない」か当事国であるのかといった論法からすれば、尖閣諸島の紛争はアメリカも当事国だという解釈も成り立つ。
アメリカも紛争の当事国だというのは単に日米安保条約によってとした論理だけでは中国を始め世界には通用しないのではないか?
戦後の歴史や国際関係は複雑でしょうし、その複雑さの中に日米関係も安保もある。
戦後の国際的な秩序というのは国連の常任理事国の構成にもありますし、その中において戦後の秩序は冷戦時から今日まで根強く構成されている。
この中で安倍総理の「戦後レジームからの脱却」が出されたわけです。
その中身は内政としては戦前回帰とも受け取られかねないものであり、中国や韓国との関係の悪化にも現れている。
戦後の正解秩序が正しいかといえば間違いも多いはずです。日本がその秩序に介入しようとする意思を持ったのでしょうが、それは戦前の日本を思い出させる結果となった。
そうならば今の正解秩序という面での日本への風当たりも強くなることでしょう。
この中で日米同盟も安保ももう一度再確認されるようになる。
このような中で対中国に対してアメリカも尖閣に対しては「紛争の当事国」だと主張するなら今の戦後レジームからの脱却を言う日本の立場は相当苦しくなるでしょう。
4月27日
昨日はこちらの中央日報の記事をリンクしてそこに書かれていた竹島問題は「米国が紛争の当事国ではない」という言葉に関連して書きましたが、この記事の本来の中身は
、『オバマ大統領は質問で言及されていない慰安婦問題を先に持ち出し、「甚だしい人権侵害だ」と述べた。』(引用)というところにあります。
今日はこのオバマ大統領の「甚だしい人権侵害だ」という発言に対して安倍総理が
「筆舌に尽くし難い思いをされた慰安婦の方々のことを思うと本当に胸が痛む思いだ」と発言した。この記事については他の報道機関でも報道されているので確かな発言だと思う。
昨日は戦後の世界い秩序と安倍総理の戦後レジームからの脱却の関係を書きましたが、やはり中国や韓国に対して戦前の日本社会への回帰とされることに戦後レジームからの脱却が移り、同時に内政においても国民やマスコミから同じものを感じさせる動きともとらえられた。それは中国や韓国以外にも同じものを感じさせた。政府関係者などの発言や国民の中の言動でも。
その中での今回の安倍総理の発言ですから重要ですね。
発展的な日本を作ることが問われているわけです。その中でのアメリカとの新たな関係です。アメリカにも大きな矛盾があるわけですから。