続きを書き終えましたので再掲載。
先日書いた
「似非生産性の向上」の続きのようなものです。
可変資本(賃金)1億円、不変資本(原材料や絵ネル義など)1億円、剰余価値率(m/v=可変資本分の剰余価値)100%とするならば、
生産性が上がらなかったときは
利潤率=剰余価値(1億円)÷(可変資本(1億円)+不変資本(1億円))=50%
生産性が上がった時は、より多くの商品を生産しますから不変資本が増加をしますからこれを2億円とすると
利潤率=剰余価値(1億円)÷(可変資本(1億円)+不変資本(2億円))=33%
この利潤率を下げないために今のアベノミクスあるいはこの間の保守政治の経済政策ように剰余価値率を上げて利潤率を維持しようとすることでの労働力の再生産以下への賃下げにより
利潤率=剰余価値(1億5千万円)÷(可変資本(1億円)+不変資本(2億円))=50%
とする中で今の経済法則が崩れたことを書きました。
労働者への労働力の再生産以下への賃下げというものを取らずに剰余価値の増加と利潤率の維持を行うにはどうすればよいかが問題です。
答えは労働力の再生産以下にならないような賃金の低下です。
労働力の再生産費が賃金なわけです。衣食住や医療・教育などなど様々な生活に必要な消費に必要な額として労働力の再生産費があります。この労働力の再生産が賃下げや失業などでできない社会は、消費の減退を招きますし何よりも労働者が次の月も来年も健康で文化的な生活(これはその時々の社会の平均値)を送ることにより労働力を維持発展させることが困難になります。長期的な物差しで見れば少子化という次の世代の労働力を再生産できなくなるということです。少子化は、賃金だけではなくて労働時間や会社に縛られることなどの要件もまた労働力の再生産をできなくなることからも生まれます。
(つづく)
労働力の再生産費が賃金ならば、この再生産費を低くすれば賃下げはできるでしょう。ただし今現在は賃金が労働力の再生産費に満たないわけですから、賃上げを行わなくても労働力の再生産ができるように再生産費を低くすることでしょう。
もちろん今現在としては現実の賃上げは必要です。
たとえばご主人が急に亡くなっても専業主婦であっても奥さんがすぐに働ける場を得て子育ての心配もなくある一定の収入が得られたらどうでしょう?毎月の数万円の生命保険の掛け金がなくなるかもしれません。教育費や医療が無料となったらどうでしょうか?大学までの教育費がどのくらいあるか。それが生活費に回れば月にしてどのくらいの額が浮くか。老後の生活が保障されるならば老後の蓄えという支出も少なくなります。
今現在においての賃上げの必要性を踏まえてですが、社会保障などで無料のものを増やしていき生命保険だ老後の蓄えだという心配がなくなっていく社会においては賃金額を一定のところで抑えることができます。
その時の企業の利潤率が
利潤率=剰余価値(1億5千万円)÷(可変資本(1億円)+不変資本(2億円))=50%
と伸びる条件とともに、労働者の労働力の再生産もできるようになります。もちろんこの中で少子化も抑えられる条件が生まれるでしょう。
先に「答えは労働力の再生産以下にならないような賃金の低下です。」と書きましたがこれを達成できる社会システムは存在をするということです。
しかしこのような社会システムを作り上げるには、国の財源や歳出の中身を考えなければならなくなります。福祉国家破綻という主張もここにあり、財源問題は現実に今も引きずっているように見えます。ここにはこれまでの日本の労働力の再生産以下に賃金を抑え続けた付けを社会保障や福祉で補うといった構造に問題がありました。その中では当然財政難が生まれるでしょうし、税制も歳出も企業優遇になっていましたから当然そのために財政難は大きくなります。国の借金1000兆円は社会保障などで作り上げてしまったのでしょうか?
そこで問題となるのが、
利潤率=剰余価値(1億5千万円)÷(可変資本(1億円)+不変資本(2億円))=50%
と利潤率を上げた「企業の社会的責任」です。
日本の国民の多くは何かしらの形で労働力を売って賃金を得る労働者です。言い換えれば日本は企業社会なのです。ですから当然この企業の社会的責任を果たす社会でなければ国家は安定をしていかないということになります。利潤率を上げた企業はその分社会的責任を負うというのが当たり前の社会システムが必要となります。今現在を見ても企業の内部留保は膨らみ、金融や株などには莫大な資金がだぶついているとも言われています。アメリカの国債保有を見てもその分だけで莫大な金です。資金のだぶつき自体が経済を混乱させてもいる。国民生活に回らないという意味においても。
企業は利潤率が上がった分社会への責任として国民生活に資金を回さねばならない。
これまでとは違って賃上げではなくて社会システム上の負担です。
失業には企業責任として賃金保証をするなどなど。今は企業が保育園を持つということも出てきましたが、これを拡充する。医療保険や年金の企業負担を多くする。。。。。高齢者の雇用と賃金保証。
もちろん巨大企業が法人税を支払っていなかったなどというのはなくさねばなりません。これと国の歳出をプラスした中での財源で社会システムを作っていく。
ここでは企業の負担感が大きくなるでしょうが、しかしそれは一種の投資です。
国民生活の安定は安定的な消費を保証します。それは企業利益の安定となるでしょう。企業の存在価値がバブル的株価によって決まるといった馬鹿げた社会は消えます。そこに一部の富裕層の損じ価値も薄れるでしょう。社会は平等化されていく。
これしか資本主義の発展はないわけです。生産力の莫大な発展と利潤率の低下傾向に苦しみときには恐慌となる社会を防いだ資本主義。
国民生活の安定はより高いレベルの労働力を生むでしょう。