猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

ゆうやけだんだん。

2009年11月27日 07時33分23秒 | つぶやき

 

連休三日目。
お天気がよかったので、谷中歩きをしてきました。

 

「子供の頃は、こういう感じの家に住んでいたのになぁ」

「今や、それを『あら懐かしい!』『今どき珍しい』と、
 写真に収める立場になったなんて」と、遠く振り返る。

記憶の中にある、その格子戸の木造平屋建ては、
住んでみれば、じめじめと薄暗く、
頭のおかしい祖父の思い出と入り混じって、
ひとつもいいことはなかったような気もするが。

はるか遠くなってみれば、
薄暗い庭の柿の木や、その足元にびっしりと生えたフキやみょうが、
一斗缶で熾した焚火、粗末な物置が、
なんともいえない郷愁を持って、鼻の奥を突く。

 

「くーだーさーいーなー」

お醤油の焦げたいい香り。
ぼりぼり、パリパリ、おいしい。

 

町角に響く豆腐屋さんのラッパも。

あの、器をもって買いに走らされた記憶と共に、
これほどまでに胸に迫るのは.....。

決して幸せではなかった私の子供時代にも、
やはり無邪気な何かが存在していたということか。

大人の誰しも、
短い間に、失ったものが多すぎて。

 

瓦と土を交互に重ねた築地(ついじ)塀。

 

居間が丸見えな駄菓子屋の店頭も、
そこでそばをすすりながら、
駄菓子を物色する子供の仕草をたしなめるおばさんの姿も。

ありふれていた、あの日々には。

切ないまでに帰りたい思いと、帰りたくない思いの、
二つが存在するのだろう。

 

谷中銀座のはずれにある...

夕やけだんだん。
TVなんかにも、よく登場しますね。

その足元では鞍馬天狗の紙芝居が。
じっと見入るのは、ほとんどが、かつて子供だった大人。

 

「清潔」で「便利」で「豊か」な暮らしを覚えた人々は、
ほんの束の間、その町に来て、あの日々を懐かしむ。

形の他には。

私たちの中で、何が変わったのだろう...?

 

谷中ぎんざは人でいっぱい!
出来たて惣菜を買い食いしたり、あちこちきょろきょろ、そぞろ歩いたり。

私たちも、ソースせんべいを買ってかじりながら。

くねくね、『へび道』をずんずん歩きます。
ときにのろのろ、きょろきょろ笑いあい、
ときにしっかり、きっぱり、前を向いて。

 


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