猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

ゴッドハンド   - インターナショナル・ボン・ダンス -

2005年08月08日 23時54分10秒 | お出かけ
半年ほど前から英会話を習っているゴンザと、山手にある在来外国人のための会員制クラブで催される「盆踊り」に行ってきた。
ゴンザとはもともと知り合いであった英会話の先生から「アメイジングなものが見られるよ」とのご招待を受けてのお出かけである。

普段会員でなければ足を踏み入れる事のできないこのクラブには、ボウリング場やプール、テニスコートやらがあって、閑静な高級住宅街にあってもさらに隔絶された、周囲とは明らかに違う空気と時間が流れている。中では現金も使えず、飛び交う言葉はほぼ英語。以前、ご招待を受けて伺った「エッグハント」(イースターの行事?)の時なども、籠を抱えたブロンドやらブルネットやらの子供がウロチョロ走り回る様子に、しばらくはここが日本であることを忘れたくらいである。

と、なれば、そんな場所で催される「盆踊り」って一体.....?という好奇心を我々が起こしたのも、当然といえば当然。さらに「毎年アメイジング」という先生の補償もついて、もうワクワクである。

まずはゴンザと二人、浴衣を着る。
アメイジングな盆踊りに何を着ていけばいいのかはわからないけど(笑)、盆踊りとくればやはり浴衣。特に私は浴衣が大好きでたくさん持っているので、こういった機会に着ないテはない。
うちわやら、巾着やらの小物もバッチリ整え、車に乗り込んだらいざ出発!車で20分ほども走れば現地に到着である。まずは車を停め、カメラもしっかり持つ。あとは会場に向かい歩くだけである。

さて、いよいよ......。
どんなものが見れるのかと、胸弾ませて盆踊り会場に近づいた我々の耳に、最初に流れてきたのはなんと、バックストリートボーイズの曲だった。
「こっ、これが、インターナショナル・ボン・ダンスというものかっ!」
まずはしょっぱなから、この盆踊りに変テコな名称を勝手につけて驚愕する純日本人の我々(笑)
さらに足を進めれば遠目に普通のやぐらが見えてくる。
「あ.....普通だね」
なんとなくホッとしたような、拍子抜けしたような不思議感覚に捕らわれる(笑)
そこでまずは呼んで下さった先生を探しご挨拶。
...と、彼女は開口一番こう言った。(彼女は1/4米国人の美しい人で、日本語も普通に話す)
「すごいよ~。アメイジングなものがさっきからたくさんだよ~。早く見ておいで」
そこで再び期待に胸膨らませた我々はお勧めの言葉に従い、早速やぐらとその周辺に設置されたテントや露天に向かった。

すると.....。
一見普通のやぐらにはDJブースが設えられており、周囲で催されているバザーではアンティークグッズの横でなぜか「祭」の小さな腹掛けが売られ、サマードレスに浴衣の帯を締めた幼いブロンドの女の子が走り回るバックで、ソウルナンバーやドラえもん音頭、炭坑節が繰り返し流れている。
「おおおっ!」「まさにアメイジング.....」

しかも恥ずかしがり屋の日本人とは違い、彼らは皆超ノリノリ。各自が好き勝手に踊りを楽しんだり金魚すくいに興じたりしている。
実際彼らが「盆踊り」の意味を知っているか否かは定かでないけれど、まあ我々日本人だってクリスマスをただのお祭り騒ぎに仕立て上げているのだから同じようなものだ。何より皆が楽しむというのがお祭りの目的なのだと思えば、浴衣の着方が目茶目茶であろうが、踊りがソウルフルであろうが何の問題もない。
我々はそんな楽しい光景を横目で見ながらフライドチキンとケバブを買うと、先生が待つテーブルへと戻り、しばしお喋りを楽しんだ。

すると.....。先生の娘が「金魚すくいをするから一緒にきて」と我々を誘うので、ゴンザと共に彼女に付いて行くことにする。実は彼女、前日も最初から最後までこの「盆踊り」に参加してはしゃいでいたらしく、この時点ではかなりのお疲れ気味。で、時折ぐずっていたのだが、かといって子供が皆そうであるように「帰るのはいや」という、甚だ困った状態で(笑)
ついには、付いて行った我々の目の前で何度も金魚すくいに失敗した挙句、泣き出してしまった。どうやら彼女、泣き出す前に1匹の金魚をすくい上げてはいたものの、もっとたくさん欲しかったらしい。英語で何やら文句を言いながら泣き続け、私に抱きついてくる。ゴンザや私にしてみれば、ほとんど日本語を話さない彼女がかろうじて我々の日本語を聞き取ってくれることだけが救いではあるが(別に金魚すくいにかけてるわけじゃないのよ)、眠くて泣き始めた子供に特効薬などないのは各国共通。ほとほと困り果てた。しかし、根気よく色々聞きだせば、金魚さえとれれば自分の手で手に入れるのでなくてもいいようだからと、ゴンザがチャレンジしてみることになった。しかし.....全然ダメ。子供はますます大泣きである(笑)
そこで........

「そうか。それならば仕方ない。ついに私が謎のベールに隠していた姿を見せる時が来たようだ」

と、おもむろに私がゴンザとバトンタッチし、泣いている彼女に「どれがいいの?」と訊ねる。
「エニイ.....」
エニイ?なんでもいいってことか?英語などビタいち喋れない私だから、勝手に解釈し浴衣の袖を捲り上げる。そして目にも鮮やかな手さばきで瞬く間に金魚をすくい上げた(自画自賛)。
「ふふふ...」
すくい上げた金魚を入れるアルミの容器を手に笑みを漏らす私。そう。実は私、金魚すくいに関してはゴッドハンドを持つ女だったのである。
ま、でも、肝心の子供はなかなか泣き止んでくれなかったんだけどね(笑)
あとで満足そうに金魚を持って帰っていたから良しとしよう。

と、そんなことをしている間にも.....。
楽しい時間というのはあっという間に流れるもので、そんな感じでゴンザと私が初めて目にしたアメイジングな盆踊りもついに終了時刻。
お国違えば文化も違う、で、他にも色んな不思議を目にしたけれど、祭りに参加する人々の笑顔は皆同じ。楽しく、心踊る体験でありました。

ああ、でも。どうしてもわからないことがひとつだけ......。
田中星児の「ビューティフルサンデー」だけが繰り返し何度も流れていたのはなぜ?
.......ああ、まさに「アメ~イジ~ング」(笑)

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