5月16日からイギリスに渡るので、12日、13日、14日と
コチニールの染めに入りました。
帰ってきたときには乾ききって織りに入れると思ったからです。
ですが、5月初めから腱鞘炎に再び悩まされるようになっていたのです。
左親指と手首に続く部分が腱鞘炎に悩まされるようになったのはずいぶん前で、
医師から「前のようには戻れないけど、このくらい良くなれば全快と言えます」
と言われていたのですが、いかんせん 織り機に向かっているからには、
この病気からは逃げられないということなんでしょう。
実は、その1か月前に右手中指の第2関節が、朝 起きた時に曲がらなくなり、
何度もグー、パーを続けて、曲がるようにしていました。
指を曲げて元に伸ばそうとするときにパッチンとなるように戻るのです。
1日の終わりには何の支障もなくなるので、そのままごまかして暮らしていたのですが、
今度は左手親指が曲がらなくなり、無理に曲げると、激痛が走り、
ついには手首まで痛くなり、腱鞘炎が復活してしまったようです。
お風呂では湯船に浸かりながら親指を曲げて、これで良くなればと思っていたのですが、
旅行中も痛くて我慢できない時が多く、生活の中では、つい親指を使うことがあり、
そのたびに泣く思いだったのです。
そして、ついにやっと 昨日 病院へ行ってきました。
レントゲンを撮り、医師の説明では「両手とも腱鞘炎ですね」ということです。
「手術をすることになると思う」と言われましたが、この痛みが解決できるなら
それも仕方ないと思っています。
ですが医師が「その前に注射で治療してみましょう」と言ってくれて、
「筋にする注射は痛いんですよね?」「はい、痛いですよ」の会話のあと
「でもこの痛みに比べたら、それも治る痛みなら我慢します」の私の決意(?)に
医師は「頑張りましょう!」と言ってくれました。
というわけで「痛い!」というより「イッタイ!!」注射をしてきました。
左手親指付け根の注射跡です
「あのう、痛いのは第一関節なんですが・・」という私に
医師は「元凶は第二関節なんですよ」と言います。
そして、「お風呂でお湯につけながら、自力ではなく右手で無理やり曲げるように。あとは
痛み止めの薬をつけてください」と言われています。
心なしか、痛みがいくらか和らいだように感じます。
注射をするとき医師が注射する部分をご自身の体で隠して、私から見えないように
そして「もうすぐ、もうすぐ終わりますよ。もうちょっとの我慢です」と励ましながら
してくれました。なんと優しい・・・
この注射を1週1回続けて様子を見ようということになりました。
もし良くならなければ、手術ということになるそうです。
さて、前置きが長くなりましたが、コチニールの染めです。
ボケた写真ですが、コチニールです。
コチニールは前にも書きましたが、サボテンに寄生する虫で、
インディオはサボテンからこれをベリッとはがし、すり潰して赤色を出します。
日本ではこのコチニールの死骸ですが、真空パックして売っているのを使います。
① 糸を精錬という作業で汚れを取ります。
② コチニールは染糸の重量の10%ほど使います。
③ 最初に1液を30分煮出します。
1液の色です
④この液に木酢鉄少々を入れて糸を入れて30分おき洗って干します。
こんな美しい青に染まります。
⑤ 1液を煮出した後のコチニールに水を入れて、2回煮だし、混ぜます。
⑥ この液にミョウバンを入れます。これを一浴法といいます。
普通の染めでは、ミョウバンは先媒染で、染める前にお湯でといて糸を入れるのです。
コチニールはカモミールやラベンダーのようなハーブ染めと同じように
一浴法で染めます。
⑦ この液にクエン酸を5g入れて様子を見て、PH2になるまでクエン酸を入れます。
⑧ このPH2の染め液に糸を入れ火にかけて沸騰後火を止めて20分おきます。
⑨ この糸を洗って、重曹を水8リットルに80gとかし、糸を入れます。
⑩ 洗って干します。
2液、3液を混ぜて、クエン酸でPH2にした色がこの糸です。
重曹は色落ち止めです。
余談ですが、精錬した糸を洗ってバットに置き、「さぁ染めようか」とみたら
9綛の糸が2綛しかないのです!
「あらぁ~」と見たら、廊下に1綛ずつ 並んでおり、その前で猫のKUUが座っています。
どんな力で運んだものか、咥えて1綛ずつ運んで並べたのでしょう。驚きです。
というわけで、この染めは私一人ではなく、猫のKUUもお手伝いしてくれたものです。(笑)
現在、整経という織り機に糸をかける作業をしているところで、間もなく織りに入ります。
この2本のマフラーで個展の準備は終了します。 あと少し・・・