「君が代」アイテムにご用心!~市民のネットワークから反撃を~
辻谷博子
府教委「君が代」不起立を理由に再任拒否!
2012年度をもって私は38年間の教員生活に終止符を打ちました。いや、これは正確な言い方ではないかもしれません。私には定年後も教壇に立ち続ける意思があり、再任用を希望していたのですから。にもかかわらず、大阪府教育委員会は、「君が代」不起立、命令に服従しなかった私をまるで見せしめのごとく教育現場から排除する為に再任用を拒否しました。怒り心頭、許せません。
橋下教育改革の狙い
橋下政治の狙いは、公教育のあらゆる領域を市場に任し、競争原理を強化し、そのことによって格差拡大貧困社会のあり方を肯定していくことにあります。
それを許せば、この先、今以上に酷い労働現場であっても声さえあげることのできない若い労働者が教育を通して生まれることになります。競争に負けた者は自己責任の呪縛のもとに貧困生活を強いられることにさえなります。最も恐ろしいのは多くの人々が諦めの中でそれを受け入れてしまうことです。その先には憲法改正、9条破棄、軍隊の出現さえ見えてきます。その時、貧困の中で生き喘ぐ若者たちに兵士の道が用意されていることを想像するのはいともたやすいことです。
教育が危ない
教育が今ほど危ない時代はありません。私が、どれほど命令されようが「君が代」不起立を貫くのは、「君が代」に反対するばかりではないのです。「君が代」に立たないというだけで、「戒告」に引き続き「減給」処分。さらには、「警告書」なるもので免職をほのめかす府教委のやり方――これはすべての教職員に絶対服従を強いるための恫喝なのです。
「君が代」アイテムにご用心
これが「君が代」装置の為せる業なのでしょう。為政者にとって「君が代」というアイテムは実に便利な道具のようです。伝統と言う「文化の顔」を演出することによって、それを使えば難なく市民を思考停止の「右へならへ」状態へ導くことができるわけですから。教員の次は子どもに立て、歌えと「指導」されることは間違いありません。だからこそ私は「君が代」強制に身をもって反対して来たのです。
市民的ネットワークから反撃を
反撃は私たち一人ひとりの市民の手に任されています。私は「君が代」不起立減給処分・再任用拒否について大阪府人事委員会へ不服申立を行いました。しかし、法的闘争だけでは橋下政治にストップをかけることはできません。2.11「私たちは黙らない全国集会」は、市民的ネットワークの連帯・連携による橋下維新政治への対抗を宣言しました。学校選択制の導入、入試制度の改悪など、教育複合汚染が蔓延している大阪で、反撃していくにはネットワークが必要です。私自身は、これまでの学校という「内」からの闘いから、今度は「外」からの闘いに軸足を移します。これは私たち自身の自由と権利を守る闘いです。支援と連帯をよろしくお願いします。