「君が代」に疑問を持つ教員・市民をなんとしても「悪人」い仕立てあげたいという強い意思のようなものを感じます。いったいこれはなんなのでしょうか?なぜ、集団的自衛権行使容認が憲法を無視して閣議決定された今、ニッポンを戦争国家にしようとする勢力が暗躍していると思うのは杞憂でしょうか。
板橋特別支援学校が警官を導入したことに関して、7月10日抗議・要請行動を行いました
報告 根津公子
河原井・根津らの「君が代」解雇をさせない会の根津公子です。 田中聡史さん「君が代」不起立処分にかかわる「服務事故再発防止研修」が行われた6月10日の朝、私たちは思想転向を強要する同「研修」をやめるよう、校長に要請書を手渡すために、板橋特別支援学校を8人で訪ねました。外来者入口を通り、受付窓口に行って、そこに掲示された通りに受付手続きをしている最中に、同校副校長は「不法侵入、不法滞在」と大きな声を上げ、携帯電話から警察に出動を要請。通報から10分とかからずに、私服警官・制服警官を合わせて23名の警官がやってきて、私たちは要請書を手渡すことができないままに、校地から排除されました。
学校教育にかかわり市民が校長に意見を述べ、要請することはしばしばあります。それに対し、校長は意見の違いを超えて聴くべき立場にあります。しかし、同校校長・副校長はそれをしないばかりか、警察を導入したのですから言語道断です。
そこで、当会では、6月29日に当会の総会を行った折、校長、出動した高島平警察署長、校長に指導・助言をしたと思われる都教委に対し、「抗議声明」を出すことを総会参加者一同で確認し、本日7月10日、それを持って、高島平警察署、板橋特別支援学校、都教委を5人(途中から6人)で訪ねました。以下は、その報告です。
最初に訪ねたのは、高島平警察署。前もって、日にちと来意を伝えていました。受付で手続きを済ますと、警務課長代理(高橋氏)と警務課職員(亀井氏)が現れ、「10分間、2名に限り面会に応じる」と言いました。私たちは5人で話を訊きたいし各自の思いを届けたいと言いましたが、「その必要はない、抗議なら(あなたたちの)ブログやメールでやればいいではないか」と初対面の市民に向かって言いました。「なぜ2名に限定するのか」と訊くと、「こちらが2名だから」だと言いました。数の力で決めることではないのに、2人は対決姿勢あらわにし、更に「10分のうちすでに2分使った」と脅しました。
仕方なく、こちらが2名(一人は根津)に絞ると、私たち2人は小さな部屋に通されました。「今12時23分。今から10分間です」と課長。私たちは抗議声明を読み上げ、6月10日の事実を押さえたうえで、次の3点の質問をしました。①出動要請をした際に副校長が言ったことばは、「8人が不法侵入、不法滞在した」だけであった。それだけで警察が出動したのは、事前に校長から出動要請を受けていたということか ②副校長は出動要請を言うと、すぐに携帯電話を切った。そのことから推察するに、出動要請を受けた警察には、事実確認をした様子が見受けられなかった。警察は副校長に状況確認をしたか否か。③一般的に、状況確認をせずに出動することはあることなのか。
質問に対し課長は「即答はできない」と言うので、調査をしたうえでの回答を要求したところ、「回答するかはわからない。回答の必要がない」と居丈高。「回答が来なければ、そちらに電話を入れます」と言うと、それには拒否はしませんでした。しかし、抗議声明を渡そうとすると、「あなた方の質問はメモした。この抗議文は必要ない。抗議は受け取らない」と、差し出した「抗議声明」を受け取りはせず、「捨てますよ」と繰り返し言いました。「署長に渡してほしいのです」と言っても「受け取らない」の一点張り。「抗議声明」は机上に置かれたままでした。「抗議は受けないということは、警察が間違いをすることはないということですか」と言うと、課長代理ではない職員が「そうだ」と。「市民の権利を保護すること、市民の生活を守ることは警察の仕事でしょう」と言うと、「警察の仕事は秩序維持」と課長代理。警察は、市民を守るのではなく、国家秩序維持のために存すると平然と言葉にしたことに唖然とした次第です。
13時5分、板橋特別支援学校の受付窓口を訪ね、受付名簿に時刻と私たちの名前、来校目的を記入。窓口業務に当たる経営企画室長が受付名簿に目を通し、今日も私たちに応対したので、「校長にお会いし、抗議文を手渡したい。校長が会わないというのであれば、副校長にお会いしたい。時間は1,2分で結構です」と来意を告げると、室長は「副校長は、今日は不在です」と言い、困惑顔をしながら、隣室の校長室に行き、すぐに戻ってきて、「校長はお会いしないと言っています」。いつものパターンでした。「会わない理由は何ですか」と訊くと、室長はまた、校長室に訊きに行き戻って、「会う必要がないということでした」。
校長は会いたくない人間には会わないという学校経営方針のよう。室長には校長の尻拭いはやめてほしいと話しをし、「抗議声明」を校長に渡してもらうよう話をして引き上げました。
そして15時、都庁で都教委教育情報課長(ほかに2名)に面会(写真上)。事実経過やこちらの要請を知って臨んでほしいと思ったので、都教委の要求に応じて、事前に「抗議声明」を送っておきました。そこで、事実を把握しているかを尋ねたところ、課長は私たちがホームページ等に流した報告で、動画も観て事実をつかんでいるということでしたので、すぐに次の質問をしました。
1 校長が一人の判断で警察を導入したとは考えられない。都教委に指導・助言をしたと思うが、その場合、指導・助言するのはどの部署か。
2 真下氏個人に宛てたのではなく、公人としての真下校長にあてた文書を真下校長は受け取らないのだが、公人としてそのようなことが許されるのか。それが「校長の責任と判断」とは思えないが、いかがか。
1 については、「担当所管の職員課と研修センターではないか」と課長は言っていましたが、「確認する」との返事。①②とも、後日の回答ということです。
その上で、「抗議声明」を手渡しました。最後に課長は、「今までに校長が今回のように(警察に出動を要請しようと)判断するような、板橋特別支援学校の研修、研修センターでの再発防止研修で騒然としたこと、怒鳴り合いはなかったのか」と聞いてきました。私たちは、「私たちが大声をあげたりしたことは一切ありません」と答えました。市民の声を聴くということは公的施設責任者の任務ですから、私たちは引き続き求めていきます。
以下に、抗議声明を貼り付けます。
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校長への要請行動に対し、警官を導入したことについての抗議声明
2014年6月29日
東京都教育委員会 教育長 比留間英人様
板橋特別支援学校 校長 真下智様
高島平警察署 署長 吉田武司様
6月10日、板橋特別支援学校・田中聡史教諭に対し東京都教育委員会(以下、都教委と言う)が強行した「服務事故再発防止研修」に対し、私たち市民8名が同研修の中止を求める要請書を真下校長に渡そうと、板橋特別支援学校を訪れた際、同校副校長は私たちが訪問の目的を話しているにもかかわらずそれを聞こうとはせず、「不法侵入、不法滞在だ」と騒ぎ立て、直ちに警察に通報しました。
それに対し警察署は、制服11人、私服12人を同校に送り込みました。不思議なことに、一切の暴力を働かない私たち8人に対し、警察署はその確認を副校長に求めもせずに、23人という異常としか言いようのない人数を、通報から10分とは置かずに送り込んだのです。予め、学校からの要請を受けて、待機していたことをうかがわせるものでした。
私たち8人は、同校受付窓口で正規の手続きをし、校長に要請書を手渡そうとしただけのこと、市民としての当然の権利を行使しただけのことでした。警官を導入して強制排除されるようなことはしていません。都民に開かれたはずの公立学校で、市民の声を聴こうともせず、施設管理権を楯に警察に通報し、市民の正当な権利を奪った真下校長及び、学校からの通報に確認もせずに警官を出動させた警察署長に、強く抗議し、猛省を求めます。
ところで、真下校長が警察を導入したことに対し、都教委には校長に反省を迫り、今後そのようなことのないよう、指導する責任があります。良質の教育を子どもたちに与えようとするならば、異なる考えに真摯に耳を傾け、意見を擦りあわせようとする姿勢や度量を保持すべきです。子どもたちが学ぶ学校に、警察を導入することなど、してはならないことです。
また、この日、板橋特別支援学校は年間計画に組まれた学校公開日でした。保護者や地域の関係者を招いているのですから、校長はその任に専念すべきなのに、都教委はそれを承知の上で、校長を「服務事故再発防止研修」に当たらせました。都教委は判断能力を失ったとしか言いようがありません。
都教委に対しても強く抗議し、猛省を求めます。 併せて次のことを3者に要求します。
1.校長は、市民の要請を差別せずに受け付け、誠実に対応すること。
2. 警察は、学校からの出動要請に、その場の状況を確かめもせずに出動しないこと。
3. 都教委は、市民の要請に対し、校長が警察を導入したことについて、校長を指導すること。「都教委の考えと異なる」市民の声も広く聴くよう、校長を指導すること。
子どもたちへの「日の丸・君が代」の刷り込みに象徴される都教委の教育行政に終止符を打つことこそが、一人ひとりの子どもたちの学びを保障し、学校を、教育を受ける場に蘇らせることにつながります。
以上、本日、ここに参集した私たちは声明を発し、校長・都教委・警察署に反省を要求するものです。
河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
2014年度総会参加者一同