グループZAZA

「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

校長への「君が代」処分文書が公開されました!

2014-07-16 06:35:05 | 渡部通信

開示された「君が代」校長処分書を見ると、今回の井前さんへの処分を巡って府教委が困憊し右往左往した様子がよくうかがえます。つまり、校長が職務命令を発出していないなら井前さんを処分できない、職務命令を発出しなかった校長も処分したい、そのジレンマのなかで、府教委は井前さんと校長の両者を処分しました。しかし、そのことで自ら墓穴を掘ったとも言えます。渡部秀清さんが分析・解説してくださいましたので、是非お読みください。

渡部通信より
前々回のメール(6月28日、(18))で、大阪の井前さんの「君が代」戒告処分に関することで、以下のようなことを書きました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回の件では、校長にも「訓戒」 (前号の「訓告」は間違いでした。「訓告」より少し重いようです)が出され、当初公表されませんでしたが、その後公表されました。しかし、その「理由」は公開されませんでした。なぜ「訓戒」になったかは知らせないというのです。こんな馬鹿げた話はありません。まるで、校長は井前さんに職務命令を出していなかったことを、府教委自ら認めているようなものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7月11日、その「訓戒」の文書が公開されました。井前さんに「職務命令書」は出されていなかったことがわかる文書ですので、少し長いのですが、以下に紹介します。■は塗りつぶし。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
                      訓戒
 貴方は、平成26年■月■日(■)の職員会議において、平成26年度入学式の運営に関し、国旗掲揚国歌斉唱を含めた当日の式次第、会場図及び役割分担表を教職員に配布して連絡した。その際、貴方が配布した役割分担表は、大阪府教育委員会の指導に従った内容ではなく、校長名で作成されておらず、式場内外の役割も明記されていなかった。
 また貴方は大阪府教育委員会から、「職務命令に従わないといった意思表示があった時は、粘り強く、指導するものとともに、教育委員会に相談する。指導に従わない場合は文書によって職務命令を手交する。」との通知を受けていたにもかかわらず、■月■日の職員会議で職務命令を発出しないでほしい旨発言した教員がおり、当該教員を■月■日(■)に指導した際にも「悩んでいるが、立たないこともありうると思います。」「考えさせてください。」
との発言があったが、大坂府教育委員会に相談せず、職務命令書も発出しなかった。
 さらに、貴方は、平成25年度卒業式においても、職務命令に従わない意思表示があった
教員に対し、文書による職務命令を手交するよう大阪府委員会から指導を受けていたにもかかわらず、行わなかった。加えて、貴方は、平成26年■月■日(■)の職員会議において、
職務命令を発出する際、大阪府教育委員会から指導されている手続きに従わず、教育委員会通知を配布せず、職務命令は発したものの大阪府教育委員会からの指導どおりの内容の発言を行わなかった。
 以上のことは、校長としての職責を十分に果たしているとは認めがたく、その職責を懈怠(かいたい:法律用語。ある義務を怠ること。民法上、過失と同義とされる)したと言わざるを得ない。 よって、今後、かかることのないよう厳に訓戒する。
                            平成26年6月17日      
                                       大阪府教育委員会
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここでは、色々な問題が明らかになっています。すでに大阪の仲間たちは検討していると思いますので、余計なことかもしれないのですが、以下上から順に検討してみます。

➀「貴方が配布した役割分担表は、大阪府教育委員会の指導に従った内容ではなく、校長名で作成されておらず、式場内外の役割も明記されていなかった。」

ここに見られるのは、管理職がいかに府教委の今のやり方に不満を持っているかということです。その結果「府教委の「指導に従った内容ではな」かったということです。また、「校長名で作成されておらず」といいうことは、このような文書は普通総務部が出すのであり、なんでも校長名で出すというようなトップダウン式のやり方にさすがの現場校長も(単なる府教委のロボットとなるのに)我慢がならなかったということでしょう。自尊心があり、教育者たらんとする人間なら当たり前の事だと思います。

➁「また貴方は大阪府教育委員会から、『職務命令に従わないといった意思表示があった時は、粘り強く、指導するものとともに、教育委員会に相談する。」

これについては、すでに中原教育長が「校長の責任と裁量で」と述べている。今更何をかいわんやですね。

➂「『指導に従わない場合は文書によって職務命令を手交する。』との通知を受けていたにもかかわらず、■月■日の職員会議で職務命令を発出しないでほしい旨発言した教員がおり、当該教員を■月■日(■)に指導した際にも『悩んでいるが、立たないこともありうると思います。』『考えさせてください。』との発言があったが、大坂府教育委員会に相談せず、職務命令書も発出しなかった。」

結局、「職務命令書」は発せられなかったのです。

➃「加えて、貴方は、平成26年■月■日(■)の職員会議において、職務命令を発出する際、大阪府教育委員会から指導されている手続きに従わず、教育委員会通知を配布せず、職務命令は発したものの大阪府教育委員会からの指導どおりの内容の発言を行わなかった。

ここでは、校長が「お願い」したことを、無理やり「職務命令」としています。また、「教育委員会通知」も校長は配布しなかったのです。これは校長による理不尽な「指導」にたいする抵抗でしょう。また、教職員・生徒の立場に立った良心的なサボタージュとも言えます。

➄「以上のことは、校長としての職責を十分に果たしているとは認めがたく、その職責を懈怠(かいたい:法律用語。ある義務を怠ること。民法上、過失と同義とされる)
したと言わざるを得ない。」

要するに校長は府教委が求める「職責を懈怠した」のです。いくら府教委が「職務命令を発出」したとなどと強弁しても、「職務命令」は出されなかったのです。

それでも校長が「職務命令を発出」したと評価するなら、中原教育長が「校長の責任と裁量で」と述べていることと校長の行ったことは何ら矛盾しないのであるから、校長を処分する理由はなくなるでしょう。

➅「よって、今後、かかることのないよう厳に訓戒する。」

ここまで見てくると、この言葉がいかに空しく滑稽なものかがわかります。それほど「厳に訓戒」したいのなら、中原教育長を「厳に訓戒」すればよいでしょう。 本末転倒とはこのことです。

➆文中■の部分(期日)は、なぜ塗り潰したのだろうか。 また、「訓戒」の文書に校長名が出ていない。なぜか。
  
 これらはよくわかりません。 いずれにしても府教委としては知られてはまずいと 思っているのでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下は、大阪の仲間からのメールに紹介された7月10日に行われた府教委との「話し合い」の報告です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
7月10日に府教委人事課の金森課長補佐・松好主査とY・M・Nさんとの間で、話し合いの場を約1時間余りもちました。質疑・応答は以下の通りです。
①Q.校長による文書による職務命令は存在しないことを確認したい。
    したがって、戒告処分の根拠は存在しないと考えるが?
  A.確かに校長の職務命令文書は存在しないが、2年前の教育長の職務命令通知があ  り、井前さんの前任校の校長が卒業式前にそれを配布していることと
    校長の口頭の職務命令とをあわせて処分の根拠となる。
  Q.もしその理屈に立つとするなら、個々の式での職務命令文書がなくても、
    教育長通知だけで、職務命令文書があるとして処分できるということになるのか?
  A.いや、そうは言ってない。今回の場合についての根拠はそうなるということだ。
  Q.〔添付の7/8開示の校長の入学式における不起立について(報告)文書(略しました:渡部)にあるように、〕
    「~式場内の教職員は国歌斉唱にあたっては、起立のうえ斉唱をしてください」
    と発言し職務命令を発出した~とされているが、
    日付は4月16日で8日よりはずいぶん遅く、その間にやりとりの文書があるのではないか?
  A.それ以外の文書は存在しない。〔ただし電話でのやりとりはあったと言及〕特に報告が遅くなったとは認識していない。

②Q.井前さんへの事情聴取の決済文書はやっと開示されたが、弁護士の立ち会いを拒否
    するとの決定・決済はどこでなされたのか?
  A.それについては条例での規定に則して、また門真3中での判決でも認められていることからしても、
    当然のこととして人事課内の判断で決定した。だからこれについての決済文書はない。

③Q.校長への処分理由は?〔添付の7/10開示の「訓戒」文書はこの話の後での開示であったが、
    金森補佐はそのことを前提に以下、回答したと思われる)
  A.それは平成25年度卒業式と26年度入学式と連続して、職務命令に従わない意思表示をした
    教員があったにもかかわらず、職務命令書を発出・手交せず、府教委に相談しなかったという
    校長としての指導不十分というのが理由。

④Q.大阪府人事監察委員会の教職員分限懲戒部会について、部会長も含めて委員名を明らかにすべきだ。
    また申し入れ書は渡したとのことだが、議事録では規則第8条(委員会および部会は~必要があると認めるときは、
    当事者又は関係者の出席を求め、その説明又は意見を聴くことができる)については何も言及されていないのはなぜか?
  A.委員名の非公表については、審査会として最初に決めていることであり、
    また8条のことも含めて部会での意志決定なので、回答の必要はないと考える。

⑤Q.4/3校長会での教育長のあいさつ(指示)はご存じだと思うが、どう考えるのか?
  A.ビラでは見たが、詳細は知らない。
  Q.処分の責任部署が知らないでも良いのか?
  A.職務命令については高校課が関わる部署なので、人事課には特に何も通知はされてないので、関知しない。
  Q.現に職務命令が理由の処分をしている部署が府民への説明も含めて、そんな対応ですむのか?責任を持って対応せよ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここでは、最後に府教委は、、
中原教育長の4月3日の校長会でのあいさつ(指示)を「ビラでは見たが、詳細は知らない」と述べています。これだけでも、今回の井前さんと校長にたいする処分は、全く無責任で、不当なものであることを自己暴露しています。

*****************************************************************

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする