「田中さんの尊厳を尊重して」~都教委の「不起立」事情聴取に抗議
佐々木有美
*写真=事情聴取で都教委に呼ばれた田中さん
このおだやかさと屈しない精神はどこから来るのだろう。連続「君が代」不起立の田中聡史さんと会うたびに思うことだ。都教委は3月23日午前9時半から、19日の卒業式に不起立をした田中さん(都立板橋特別支援学校教員)に対して都庁で「事情聴取」を行った(「事情聴取」は処分前提の手続き)。9時頃には、「君が代」解雇をさせない会、全国ネット(準)、被処分者の会などの元教員、市民が20名ほど集まり、都教委への抗議と田中さんへの激励を開始した。
支援者たちは都教委人事課で、「事情聴取」と処分の中止を要請しようとした。待たされたあげく出てきた職員は「担当者がいないので対応できない」の一辺倒。それでも対応を求めるとやっと主任管理主事が現れた(写真右)。「事情聴取も処分も人権侵害だ」「都のやり方は異常だ。都民の声を受け止めてほしい」「最高裁判決では減給以上の処分をしてはならないことになっている。(田中さんは減給処分を4回続けて受けている)。司法を尊重して」などの声が相次いだ。
事情聴取に使われる別室(写真上)の前でも、支援者たちは管理主事に「事情聴取はやめて」「田中さんの尊厳を尊重して」「聴取は公開してほしい」など、9時半間際まで要請。時間になり入室する田中さんを激励して、部屋の前で待機した。職員も3人、ドアの前を固くガード。10時16分、いつものように穏やかな表情で田中さんが出てきた。部屋のカギはまたすぐかけられた。この後、校長の「事情聴取」が行われたもようだ。
「事情聴取」は前述のとおり密室で行われる。管理主事、記録係など都教委側が3人。それに校長と本人だ。経験者に聞いたところ、氏名、所属、不起立したかどうか、校長の「起立」を命じる職務命令があったかどうかなどが聴取されるという。警察の取調べにも似た事が、都庁の一角で行われているのだ。
*写真=別室前で「事情聴取」を見守る支援者
「思想・良心の自由」「教育の自由」を死語としたい都教委にとって、そして安倍政権にとっても、田中さんの不起立は喉に刺さった1本のトゲだ。その意味で田中さんの闘いは、この国の自由を守る最前線の闘いでもある。処分は今週の木曜日(3月26日)の都教委定例会にかけられ決定されることになる。抗議・要請先は以下のとおり。
●都教委総務部情報課(都民の声を聞く担当)電話03-5320-6733 FAX03-5388-1726
●人事部職員課服務係(処分を発令する担当)電話03-5320-6792
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