藤原辰史さん講演会
ユーラシア東部諸島中立地帯の構想
―食を根拠にした生態自治について
全体の趣旨:
米国と中国という新旧覇権国はざまで、軍事的かつ経済的脅威に日々さらされている地域の、そしてその地域だからこそ生成する思考様式について考える。これらの地域の政治家の多くが考える軍事力の増強という解決ではなく、あるいは、米国や中国との同盟の強化でもない。帝国の脅威に晒されてきた境界領域の諸国が、陰惨な歴史と地球の破局に怯える現代世界と向き合ったうえで、脱資本主義的な生態自治を目指す先駆的指針を、歴史研究の立場から探る。
第1回:沖縄・香港・台湾の連帯について――呉叡人から考える
◆5月8日(土曜日)午後2時開講
◆エルおおさか6階大会議室(京阪・谷町線「天満橋」下車徒歩5分)
◆資料代 ¥500
中国は、急速な軍備によって、台湾の軍事的な制圧時に米国との戦争に勝てることを目指している。そんな中、この境地の住人が考えるべきことは、いかに米国を援助して中国を倒すかでも、中国的な監視社会と同一化することでもない。そのはざまにある海洋文化の支配・被支配の歴史を学び直し、小さな地域の小さな文化の縁を結んでいくこと。「黒潮」の流れにアジア独自の思想を見出した呉叡人の『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』をテキストに、軍事とは異なる中立の政治の源を探る。