レイバーネットHPより転載。まず、第1弾として、東京都教育総合会議傍聴記を。ちなみに、総合教育会議とは、「地方教育行政法の改正に伴い、2015年4月から、各都道府県・市町村に設置される会議体。首長と教育委員会により構成され、地域における教育行政の指針となる大綱を策定する。」(デジタル大辞泉)というもの。為政者である知事や市長が直接教育に介入するだけに、私たちは今後注視していかなければならない。傍聴記を読む限りでは、東京都教育委員会は、早期からの英語教育を再考しなければならないはずだが、、さぁ、どうだろうか?
根津さんの、
「読解力がないことで「労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大」と結論づけるのは暴論だ。首切り自由・非正規雇用を進める国の政策に目を向けず、向けさせず、それが各人の読解力=学力に起因すると結論づけ、生徒の自己責任とするものだ。」に共感。
以下転載〜
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根津公子の都教委傍聴記(2018年8月23日)
「英語より母語のマスターが先だ」
<第1回東京都総合教育会議>報告
今年度総合教育会議はこの日が第1回目。「これからの時代に必要な『読解力』を育てる』という議題で、2011年度から「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を立ち上げ、調査研究をしてきたという新井紀子教授(国立情報学研究所、(社)教育のための科学研究所)が「AI時代を生きるための『読解力』とは」と題して講演。その後、淵江高校数学科の主任教諭と江戸川高校の国語科教員から短い報告があった。
新井教授の話は――。AIは、意味は理解できないが、キーワードを上手くたくさん入れれば、「よく当たる」こともある。一方、意味がわかるはずの高校生が、意味のわからないAIに敗れるのはなぜかを、文章題の質問に答えさせることで調査した結果、
① 正答率(読解力)と偏差値とは相関関係にある。
② 就学援助(金受給)とは強い負の相関関係にある。
③ 中学生は学年が上がるごとに読解能力が上がるが、高校生は上がっているとは言いがたい。 とのこと。
この調査結果から新井教授が導き出した結論は、
「教科書が読めない→予習も復習もできない。貧困下でも塾に通わなければならない→AIに職を奪われる、新しい職種に移動できない→労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大→格差拡大、内需低下、人口がさらに減少」したがって、「中学を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが公教育の最重要課題」とのこと。
①~③は調査するまでもなく、予測できると思いつつ聞いていたが、読解力がないことで「労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大」と結論づけるのは暴論だ。首切り自由・非正規雇用を進める国の政策に目を向けず、向けさせず、それが各人の読解力=学力に起因すると結論づけ、生徒の自己責任とするものだ。
講義の後、小池都知事や教育委員から質問ややりとりがあった。その中から幾つかを挙げる。
小池知事:東京は英語教育を早期から行なっている。幼いときから英語をやると、読解力がなくなるか。
新井:母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていいのでは。英語を使いたいのであれば、音声翻訳が使える。
小池知事:プログラミング教育も東京では早期にやっているが、それも良くないのか。
新井:プログラミング教育をイベント的に年に何回かしても成果はない。プログラミングの基本は、定義をよく読むこと。
宮崎教育委員:英語よりも母語のマスターが先だ。
学習指導要領の改定に伴い、今年度から3,4年生が英語活動を、2020年度から5,6年生は英語が教科化される。都教委は全国に先駆けて英語教育に力を入れ、多大な金をつぎ込んで、英語村・体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」をこの9月に開業させる。宮崎教育委員も他の教育委員も、英語教育に反対する発言を定例会の場でしてはこなかった。ここでの宮崎教育委員の発言の趣旨は何だったのか。
新井教授の発言を受けて、都教委は英語教育を再考する用意はあるか。
根津さんの、
「読解力がないことで「労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大」と結論づけるのは暴論だ。首切り自由・非正規雇用を進める国の政策に目を向けず、向けさせず、それが各人の読解力=学力に起因すると結論づけ、生徒の自己責任とするものだ。」に共感。
以下転載〜
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根津公子の都教委傍聴記(2018年8月23日)
「英語より母語のマスターが先だ」
<第1回東京都総合教育会議>報告
今年度総合教育会議はこの日が第1回目。「これからの時代に必要な『読解力』を育てる』という議題で、2011年度から「ロボットは東大に入れるかプロジェクト」を立ち上げ、調査研究をしてきたという新井紀子教授(国立情報学研究所、(社)教育のための科学研究所)が「AI時代を生きるための『読解力』とは」と題して講演。その後、淵江高校数学科の主任教諭と江戸川高校の国語科教員から短い報告があった。
新井教授の話は――。AIは、意味は理解できないが、キーワードを上手くたくさん入れれば、「よく当たる」こともある。一方、意味がわかるはずの高校生が、意味のわからないAIに敗れるのはなぜかを、文章題の質問に答えさせることで調査した結果、
① 正答率(読解力)と偏差値とは相関関係にある。
② 就学援助(金受給)とは強い負の相関関係にある。
③ 中学生は学年が上がるごとに読解能力が上がるが、高校生は上がっているとは言いがたい。 とのこと。
この調査結果から新井教授が導き出した結論は、
「教科書が読めない→予習も復習もできない。貧困下でも塾に通わなければならない→AIに職を奪われる、新しい職種に移動できない→労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大→格差拡大、内需低下、人口がさらに減少」したがって、「中学を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが公教育の最重要課題」とのこと。
①~③は調査するまでもなく、予測できると思いつつ聞いていたが、読解力がないことで「労働力不足なのに失業や非正規雇用が増大」と結論づけるのは暴論だ。首切り自由・非正規雇用を進める国の政策に目を向けず、向けさせず、それが各人の読解力=学力に起因すると結論づけ、生徒の自己責任とするものだ。
講義の後、小池都知事や教育委員から質問ややりとりがあった。その中から幾つかを挙げる。
小池知事:東京は英語教育を早期から行なっている。幼いときから英語をやると、読解力がなくなるか。
新井:母語がしっかりする前に慌てて英語をしなくていいのでは。英語を使いたいのであれば、音声翻訳が使える。
小池知事:プログラミング教育も東京では早期にやっているが、それも良くないのか。
新井:プログラミング教育をイベント的に年に何回かしても成果はない。プログラミングの基本は、定義をよく読むこと。
宮崎教育委員:英語よりも母語のマスターが先だ。
学習指導要領の改定に伴い、今年度から3,4年生が英語活動を、2020年度から5,6年生は英語が教科化される。都教委は全国に先駆けて英語教育に力を入れ、多大な金をつぎ込んで、英語村・体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」をこの9月に開業させる。宮崎教育委員も他の教育委員も、英語教育に反対する発言を定例会の場でしてはこなかった。ここでの宮崎教育委員の発言の趣旨は何だったのか。
新井教授の発言を受けて、都教委は英語教育を再考する用意はあるか。