近年教科書採択への政治的な介入はあまりにも露骨です。特に、昨年、東京や大阪、他で起きた「実教日本史」はずしは、このまま看過することのできない問題です。
当ブログでも、教科書排斥問題として取り上げて来ましたが、今回、この問題が初めて司法の場で問われることになりました。
2月7日、67人の教員、市民が原告となり東京都教育委員会を被告として東京地裁に提訴しました。レイバーネットHPより転載します。
http://www.labornetjp.org/news/2014/0207shasin
民主的な「実教出版教科書」を排除するな!~暴走する都教委を提訴
昨年(2013年)6月都教委は、実教出版社の『高校日本史』を不適切として、学校で使ってはならないと議決した。理由は、国旗掲揚・国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述されていることが、都教委の考えと異なっているからというもの。「君が代」強制を続ける都教委のカンにさわったのだろう。結果、この教科書を採択した都立学校(約200校)はゼロだった。この議決(処分)の取り消しを求めて、2月7日、67人の教員、市民が原告となり東京地裁に提訴した。
*都教委が問題にした記述
訴状提出のあと行われた記者会見で、大口昭彦弁護士は「都教委の処分は、憲法をはじめ、さまざまな国際条約に違反しているし、独占禁止法の不公正取引にあたる。国の検定を通過している教科書を禁止するのは違法、不当な政治介入だ」と述べた。
*記者会見に臨む左から大口昭彦・佐藤昭夫・高嶋伸欣・増田都子の各氏
原告団長の佐藤昭夫弁護士は、「そもそも実教出版教科書は歴史学の成果に基づき、時の権力と闘った民衆史を重視している。都教委は、生徒に事実を知らせず、自分の頭で考えさせないためにこれを排除した。これは戦前の教育とそっくりだ」とし、原告団・共同代表の高島伸欣氏(写真下)は「日本の教育が国家主義化していることに危機感を覚える。主権者の一員として黙っていられない」と語った。
原告団・事務局長の増田都子さん(元教員・写真下)は、「安倍政権は天皇を元首化して戦前の体制にもどすために教育を変えようとしている。日本を取り戻せとは、軍国日本を取り戻せということだ。その先兵の役割を都教委が果たしている。自分たちの考えに合わないものはつぶす。これはファシズム。それが教科書まで来てしまった。この裁判を通して何とか都教委に歯止めをかけたい。やむにやまれぬ気持です」と語った。(佐々木有美)
↓提訴前にインタビューに応じる増田都子さん