不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Che fine ha fatto l'idrogeno ?

2007-06-14 15:22:09 | うんちく・小ネタ

私は理数系の科目はまったくもって苦手。
算数から始まって物理にいたっては
何のことやらちんぷんかんぷん。

なので水素のことなど難しいことはわかりません。
この世の中で最も軽い元素が水素。
水の惑星「地球」にはこの水素はいろんな形で存在していて
全元素のなかの総量の90%を占めているのだとか。
地球上に水素のままで存在するのはごく少量で
天然ガスに微量に含まれているほど。
環境対策があちこちで論じられる中
未来のクリーン・エネルギーとして注目されるのが
この水素を上手に利用したエネルギー。

地球上に存在する物質から水素を取り出して
酸素と結合させる時に生まれるエネルギーを使うということらしい。
そんなわけで排気ガスの代わりに水蒸気がでるだけの
まさにクリーンなエネルギー。

では問題は何から水素を作るかという点。

イタリアはこういう問題に無頓着なのかと思いきや
実はフィレンツェの目と鼻の先で
地道な実験と研究が繰り返されています。
フィレンツェとリヴォルノを結ぶ自動車専用道路。
この幹線上にCollesalvettiというジャンクションがあり
その先に大きなAGIPのガソリンスタンド。
ここでガソリン、メタンガスと並んで「水素エネルギー」も供給中。
とはいっても現在はこの水素エネルギーで走行できるのは
改造されたわずか4台のFiat社Multiplaのみ。
ピサの外れにある会社ILTが開発したもので現在試験稼働中。

水分子を分解することによって
水素を取り出しているらしいのですが
このためにガソリンスタンドの屋根の上には
分子分解に必要な熱エネルギーを採取するための
ソーラーパネルが埋め込まれていて
地球の恵みだけを使って
エネルギーを生み出しているところが特徴。
なんと世界で唯一の
クリーンエネルギーの生産&供給の場所となっているのだそう。

現在はこのフィレンツェ-リヴォルノ間に一基のみですが、
近いうちにマントヴァ、キエーティ、トリノにも設置される予定。

太陽の恵みの豊かなイタリア。
この豊富な太陽エネルギーを利用しない手はないのです。
環境改善のために一役担えるとしたらすごい!!

もちろん水素エネルギーは開発途上。
水素エネルギーを利用できるようなタンクを搭載するのには
それなりの投資が必要になるので、
大手自動車メーカーも渋い顔を続けているらしい。
Multiplaを水素エネルギーで満タンにしても
走行距離はわずか120キロ。
(伊豆から東京まで、フィレンツェからピサまで片道は行ける!)
オリジナルが100馬力のところ
48馬力まで落ちるのでパワーがなくなるけれど
街中の日常使いには特に大きな問題はないはず。
水蒸気しか排出しないので
文化遺産が山ほどあるイタリア各都市の市内を走ることも可能。
環境問題についての「京都議定書」も大いに尊重。

現在は100%水素エネルギー車の開発と並んで
既に利用されているメタンガス利用車を改造することで
30%の水素ガスを混合して排気ガス量を減らす開発も進行中。
こちらなら現存のメタンガス対応車に
そのまま導入が可能ということで
少しずつシフト移行ができるとの見通し。

開発にはまだまだコストがかかりそうですが
実現すれば高騰を続けるガソリンに比べて
格段に安いエネルギーとなり
満タンにしても6-7ユーロ(税抜き)。
1ユーロで15キロ走行できる見込みなんだそうです。
現在ガソリン満タンにすると
40-50ユーロかかってしまうのに比べたら夢のような話。

家計にも環境にもやさしいなら、頑張れイタリア。

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