不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Dimora fiorentina di Vasari

2011-09-06 23:28:00 | アート・文化

Giorgio Vasari(ジョルジョ・ヴァザーリ)が暮らした
フィレンツェの邸宅は
ヴェッキオ宮殿の裏手
Borgo Santa Croce(ボルゴ・サンタ・クローチェ)にあり
今年の生誕150周年に合わせて、
2009年1月から進められていた修復が完了しました。
ちなみにこの修復を手がけたのは
Guido Botticelli(グイド・ボッティチェッリ)、
Gioia Germani(ジョイア・ジェルマーニ)。

ヴァザーリが暮らしたわりに
あまり知られていないこの邸宅は現在も個人の所有です。
長い歴史の中で様式が混在していますが、
正面ファサードは1500年代風の装飾が施されています。

建物自体は中世の時代に建てられたもので
1557年にCosimo I de Medici(コジモ1世)によって
ヴァザーリに与えられ、
画家自身が邸内のフレスコ画を手がけています。
当時、画家・建築家としてコジモ1世に仕え、
高く評価されていたヴァザーリは
ヴェッキオ宮殿の改装工事を進めているところで
またウフィツィ美術館の元となった
官庁舎の建築(1560年)に取り掛かろうというときでした。
つまり仕事場の近くに
依頼主から住居を与えられたのですが、
ようやく画家や建築家の
社会的地位があがってきていた時代に
そうした仕事場近接の邸宅を持つことは
それ自体がかなり高いステイタスだったと考えられます。

Borgo Santa Croceに面する1階部分に
Sala Grandeと呼ばれる部屋があり、
ヴァザーリによってフレスコ画が描かれています。
この作品のテーマは
古代の画家の生活、芸術のアレゴリー、
芸術家の肖像などとなっています。
ヴァザーリ晩年の作品であり、
Jacopo Zucchi (ヤコポ・ズッキ)などの弟子たちに
支えられながら完成させたといわれています。
コジモ1世が1570年に授けられた
トスカーナ大公の冠をあしらったメディチ家の紋章が
描かれていることからも制作年が考証できます。

このテーマを選ぶときに協力したのは
ヴァザーリの友人で
博識で知られるDon Vincenzo Borghini
(ドン・ヴィンチェンツォ・ボルギーニ)で
彼はヴェッキオ宮殿やドゥオーモの装飾に使うテーマについても
ヴァザーリに助言しているといわれています。

ヴァザーリ生誕150周年に当たる2011年は
活躍したフィレンツェと生誕の地アレッツォを中心に
ヴァザーリに関する様々なイベントや展覧会が行われています。

9月25日にフィレンツェの邸宅が一日限りですが
一般に公開されます。
この機会にフィレンツェにいる方はぜひ足を運んでみてください。

Dimora fiorentina di Vasari
Borgo Santa Croce 8
Firenze