不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Museo Gucci

2011-09-27 23:51:00 | アート・文化

フィレンツェのシニョリア広場、
ヴェッキオ宮殿の陰に隠れるような位置にある
Palazzo Mercanzia(メルカンツィア宮殿)。
古代ローマ劇場の跡に建てられた宮殿です。
もともと二つの宮殿から成り立っていて
ひとつはPalazzo Della Condottaで1337年から
傭兵隊総指揮本部が置かれていました。
その隣にあった小さめの建物に
ルネッサンスの時代に商業を生業としていた組合
(両替商、毛織物商、絹織物商、薬商)が入居していたことから
商業関係の事務所として
Palazzo Della Mercanziaと呼ばれるようになります。
商業の拡大を目的に拡張工事が行われ
1362年に宮殿の下部が完成、
上部はコジモ1世の時代(1540年)にようやく完成となり
現在の大きさの建物となりました。
後にコジモ1世はこの宮殿内に塩関税事務所を設けています。
1647年に小間物商人のFelice Ferdinando Chellini所有となり
1773年に再び塩専売局によって買い取られています。
1808年にはナポレオンの統治時期に
上層部をナポレオン所有とされたものの
1814年に再度建物全体がフィレンツェの所有となります。
その後も都市計画によって解体も何度か検討された建物で、
1871年には
南脇を抜ける通りの拡張のため一部削られたものの
現在もほぼ1600年代の様相のまま残っています。
ちなみにこの1871年の工事のときに
その下に眠る古代ローマ劇場跡が見つかっています。

今年創立から90年を迎えるGUCCIは
数年前から自社美術館を構えるという夢を持ち続けていて
3フロアで1715平方メートルのこの空間に、
自社の歴史が詰め込まれた美術館を完成させました。
内輪でのお披露目パーティは9月26日に盛大に行われ
9月28日から一般入場可能となっています。

現在のグッチのクリエイティヴ・ディレクターである
Frida Giannini(フリーダ・ジャンニーニ)によって企画設計され
グッチのモットーでもあるFOREVER NOWを
体現する空間となっているそうです。
若いころには
ロンドンのサヴォイ・ホテルのリフト・ボーイとして働いた
創設者Guccio Gucciになじみのある
「旅」をテーマにした展示から始まり、
グッチらしいモチーフを集めた展示、
歴代のバッグ類の展示などの常設展のほかに、
現代美術の特別展示用のスペースも用意されています。

ブックショップではファッションに関する書籍のほか
フィレンツェのためにFrida Giannini自ら手がけたという
オリジナル商品などを扱っています。
また美術館入場とは関係なく
誰でも利用できるカフェも併設されているので
観光の合間の骨休めにも利用できそうです。

Dscf1358

グッチ美術館入場料は6,00ユーロで
売り上げの50%はフィレンツェの重要芸術作品の
保護&修復のための基金に寄付されるそうです。