ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2012.5.3 昨日の通院日に読んだ3冊

2012-05-03 21:25:18 | 読書
 久しぶりにこの題名(昨日の・・・)で、記事を書くことが出来た。先月の分はまた後日、ということで記憶が新しいうちのご紹介である。

 1冊目は柴田よしきさんの「いつか響く足音」(新潮文庫)。
 帯には「孤独で、憂鬱で、不安だけれど。私には、待っていてくれる人がいる。団地を舞台にした連作小説集」とある。柴田さんの作品は何冊か読んでいるが、いつも興味深く、外れがない。今回も「かつては理想郷、今となっては古臭いだけのこの団地。借金まみれのキャバ嬢に、息子夫婦から絶縁された孤独な姑、猫に執着するカメラマン、多額の保険金を手にしたバツ2の未亡人。」と裏表紙の紹介にあるとおり、団地の住人たちがささやかな日常を「共に生きる」お話。
 実家の傍にこれに似た団地が沢山あったので、昭和の夢の産物であるニュータウンの団地がリアルに想像でき、あっという間に読破。解説に作家・椰月美智子さんが書いておられる通り「人がたくさん死んでいる短編集」だが、本編で殺人事件があるわけでなく、主人公たちの過去の身の上話による。登場人物は皆一様に心の闇を抱えているが、不思議と読後感が爽やかなのは、過去に栄えた団地の中で、主人公たちが明日に向かって強く生きてゆく、ということが伝わってくるからなのだろう。

 2冊目は芦崎治さんの「ネトゲ廃人」(新潮文庫)。
 帯には「『私が眠ると、みんな死んじゃう』リアルを失ったネットゲーム依存者の真実に迫る衝撃の書」とある。裏表紙には「現実を捨て、虚構の人生に日夜のめり込むひとたち。常時接続のPCやスマホが日用品と化した今、仮想世界で不特定多数と長時間遊べるネットゲーム人気は過熱する一方だ。その背後で、休職、鬱病、育児放棄など社会生活に支障をきたす「ネトゲ廃人」と呼ばれる人々を産んだ。リアルを喪失し、時間と金銭の再現ない浪費へ仕向けられたゲーム中毒者の実態に迫る衝撃のノンフィクション」とあり、怖いもの見たさで思わず手に取った。
 序章では、著者は「人は、どうして死ぬまでゲームをやるようになったのか?ネットゲームの何がそこまで魅力なのか?ネトゲ廃人たちは、どんな人たちで、何を求め、どんなふうに生きているのか?今、この日本で、子どもや大人たちに、いったい何が起きているのか?ぼくは、ネトゲ廃人を求めて、旅を続けている。」とある。
 実際に、本書は様々なプレーヤーのインタビューから成り立っている。先入観をなるべく持たないように、と読み始めたが、やはりのけぞった。解説で島根大学・臨床心理学教授の岩宮恵子さんが書いておられるが、ネット上で気が合ったといって実際に会ってみて、その初日から男性宅に転がり込んでしまう女の子、初対面の女性の家で年越しをしてきた青年等、いずれもネットゲームで知り合った異性同士。引きこもりで家族以外と顔を合わせることも、リアルでは異性どころか同性の友人さえ見当たらないのに、ネトゲで知り合った異性と初対面でのその発展ぶりに驚愕する。
 著者の考察によると「リアルで直接会って、お互い気に入ると、ゲーム画面を『ピューッ!』と移動するキャラクターのように相手の家に入ってしまう。個人の領域や境界線のようなものがない、段階を踏んで接近してゆくコミュニケーションが希薄な感触」「動物のような警戒心が欠けている。注意深く相手を見極めようとする他者への緊迫感を感じさせない」という。一方、インタビューを受けた誰しもが口を揃えて「自分の子どもや弟にはやらせない」と言っている。読後、しばらくの間、考え込んでしまった。

 3冊目は酒井順子さんの「女流阿房列車」(新潮文庫)。
 帯には「まさかの東京メトロを一日で全制覇、東海道53回乗りつぎ・・・百先生もびっくり?阿房系鉄道エッセイ」とある。裏表紙には「電車に揺られてうとうとが大好きなゆる女子鉄の著者が、鉄人編集者のマニアックでむちゃぶりな鉄道旅プランに身を投じ、線路の果てまでいざ出発」とある。酒井さんが女子鉄なのはご存知のとおりだが、彼女のエッセイはどれも面白いし、鉄男の息子が読んでもいいかな、と手に取った。
 「鈍行列車に24時間」、「九州一周揚げ物紀行」などなど、実に読ませてくれる内容で、鉄ママの私も十分楽しんだ。実際に私が旅した場所はそうはないが、昨年乗車した京都のトロッコ電車等はまだ記憶が新しく、懐かく読んだ。また、同行はしていないが、夫と息子の弥次喜多道中鉄道旅行の旅先の根室本線、北陸本線旧線、東京から博多間新幹線の旅、四国の旅など、想像できるものも数多くあった。学生時代にお世話になったかつての大垣行も、今や臨時の「ムーンライトながら」になっていることで年月を感じる。
 仕掛け人の編集者さんの解説によれば、次回の鉄道旅行はアジアに飛ぶ気配。これまた楽しみなことである。

 さて、体調。昨夜の夕食は控えめにして、ロキソニンとマグラックスを飲み、珍しくわりとすんなり眠りにつくことが出来た。早朝覚醒はあり、残念ながら目覚めた時は気持ち悪さを感じたが、ステロイド投与の後なのに4時間ほど連続して眠れたので、気分が最悪というわけではなく安堵した。

 今日は息子が部活の新入生歓迎ハイク(JR一筆書き130円の旅)で早朝から出かける予定だったが、大雨警報が出ていたため、6時に中止の電話連絡。息子は、それをいいことに当然のごとくベッドに潜り込んでしまった。
 私はそのままベッドから出たものの、タイマーで洗いあがった洗濯物を干した後は、リビングでダラダラ過ごす。それでも午前中のうちに各種薬を飲まなければいけないので、軽くブランチ。食後イメンド80㎎、ロキソニン、マグラックス、ナゼアを飲んだ。
 何となく火照りもあったが、“仕事に行く”という至上命題がないため気持ちがゆったりしているのか、遅い昼食もナウゼリンを飲むこともなく食欲不振、むかつきを感じる程度で済ませることが出来た。が、さすがに夕食になってナウゼリンの助けを借りてみたものの、殆ど食欲がない。火照りもカーッと強くなってきて、ちょっと憂鬱だ。明日は少しでも軽減していますように。
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