ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2024.3.28 フェスゴ2回目6日後のこと 旅は3日目 40年ぶり水の都、ヴェネツィアヘ リベンジ大成功!

2024-03-29 06:42:14 | 
 昨夜は入浴後、早々に就寝。そのまま眠れば8時間睡眠可能!の予定だったが、いまだ時差ぼけなのか12時半、1時半と目が覚めてしまう。その後4時半までなんとか眠ったが、それからは目覚ましが鳴るまでほぼ眠れずじまい。
 夫は夫で途中一度目覚めたようだが、私は結構長いこと彼の鼾やら寝息やらを聞いていたような気がする。

 身支度をして、パッキングしたスーツケースを部屋のドア内側にセットして階下のレストランに降りる。7時のレストランオープンとともに、私達のグループがほぼ全員揃う。メニューは昨日と変わらなかったが、今朝はピスタチオクリームが入ったクロワッサンを頂く。美味しい。関空から飛び、初日夜遅く到着した加古川のご夫婦と関西話に花が咲いた。

 部屋に戻り、忘れ物がないか最終確認。ロビーに集合してバスが停車している場所まで歩く。今日も冷たい雨だ。ミラノは実に寒かった。もう雨に降られることはないんじゃない?という夫の言葉を信じて自分の傘をしまってしまったことを後悔する。念のため夫の傘だけでも持って出て良かった。

 バスは市内を出て高速に乗る。路駐が凄いことになっている。駐車場事情が悪いとのことで、仕方ないのだそう。ドイツのアウトバーンは有名だが、イタリアのアウトストラーダは日本の道路公団がシステムを学びに来たというほどの優秀な造りだという。

 水の都、ヴェネツィアまでは途中のお手洗い休憩を含み、4時間270㎞のバスの旅だ。前半2時間ほどは外の風景を楽しみつつ過ごす。なんといっても50人乗りのバスを12人で使っているのでバスはガラガラ。一人で2席使っているのでのびのびと好き放題だ。

 通勤電車を見たり、今は木だけの一面のブドウ畑を臨みつつ、バスは走る。EU圏ではバスの運転手さんの就業規制が厳しく、出発時間も休憩時間もしっかり確保するため、なかなかシビアだそう。今日もお客さんが揃っても出発しないし、休憩からお客さんが戻っても、バスに入れないという状態だった。
 途中のサービスエリアは大きなバール状の造りになっていたが、お手洗いを借りた(当然有料)だけ。お茶をしたり、買い物をしたりする時間はほぼなかった。

 後半2時間は知らない間に船を漕いでしまう。まだ時差ぼけなのである。それにしてもしつこく雨がやまない。うーん、雨男、雨女はどこに。

 こちらに来て感じたことは、路上喫煙、くわえタバコが男女ともかなり目立つこと。いきなり煙くて咳き込まないかハラハラする。そして夫は開口一番、ウオシュレットじゃない!紙が固い!と宣う。日本のように、ほぼ全ての公共のお手洗いがウオシュレット完備なんていうことは海外ではありえないのである。

 そうこうするうちに、バスはヴェネツィアに入るチェックポイントを経て、リベルタ橋を渡り、ヴェネツィア本島へと入る。雨降りで外が良く見えないのが残念。青空だったらどんなにか絶景だったことか。国鉄の終点サンタルチア駅を横目に見ながら、私達はトロンケット島の駐車場でバスを降り、そこから船着き場まで歩く。本降りの雨だ。

 2人で入るには小さい折り畳み傘。夫は頭にタオルを被っている。うーん、これはホテルで傘を借りないと、とても午後の観光は無理だ。お迎えのガイドさんにお願いする。
 水上タクシーでホテルまで移動。一艘6人乗りで2班に分かれる。ガイドさん曰く、最近お天気が悪く、寒いとのこと。少し前はぽかぽか陽気だったようだが、ついていない。

 普段だと、宿泊するホテルの前まで水上タクシーが横付けできるというが、水位が上がっており、少し手前で降りて、傘を差して水浸しになった迷路のような道をとぼとぼと歩いていく。それにしても凄い人出だ。どこの国から来ている観光客かわからないが、もう狭い道が大混雑。竹下通りが延々とどこまでも続いている、という感じだ。

 ホテルのロビーで観光に不要な手荷物を預かってもらい、しっかりした大きな傘をお借りする。助かった。
そして、ランチに向かう。バスに4時間揺られてホテルまで若干歩いただけでもうお昼だ。今日のメニューはヴェネツィア名物、イカ墨スパゲティと小海老や烏賊のフリット。お歯黒になるのがちょっとどうよ・・・だったけれど、烏賊の味がしっかりしており、フリットもレモンを絞って頂けてとても美味しかった。
 昨日のミラノ風カツレツもレモンを絞って頂きたかったなぁと思う。昨日のお昼は半分ほど残してしまったけれど、今日はほぼ頂けた。食後はストロベリーアイスクリーム。お腹が心配なので夫に半分横流し。

 そして午後の市内観光スタートだ。ガイドは現地の男性、マリオさん。無情な雨がなかなか止まない。サン・マルコ広場は水浸し状態だ。ビニールの使い捨て雨靴(5€~7€もするらしい。)を履いている人も多数だ。次の日曜日に復活祭(イースター)の行事があるということで、今日明日はサン・マルコ寺院の見学ができないという。
 予定では寺院とバルコニー入場だったが、高さ96.8mの鐘楼の入場に変わる。まさか階段で上がるのなら、私は到底パス・・・と思ったら、しっかりエレベーターがあった。赤いレンガ造りで天を突くようなシンプルなフォルムは、異国情緒たっぷりのサン・マルコ寺院とは対照的な美しさ。
 けれど、何分風が強く、寒い。鐘のある場所からのヴェネツィアの町とラグーナの眺望はまさに絶景なのだけれど、容赦なく吹く風が恨めしいことといったら、ない。カツラを抑えるというストレスが加わる。まぁ飛ばされないとは思うけれど、ズレるのはありだし・・・。ひとまず多方向からの写真を撮り、2時の鐘の音を聞いてさっさと下りのエレベーターに乗り込む。

 続いて隣接したドゥカーレ宮殿へ。ここでも荷物検査がしっかりとある。ヴェネツィア共和国総督の政庁として9世紀に建てられ、何度かの火災により現在の建物は15世紀のものだという。評議員の部屋、大会議室、ヴェニスの商人の審判の部屋等を見ることが出来る。大評議の間の「天国」は世界最大の油絵と言われる。天井画も素晴らしく、相変わらず口をついて出てくる言葉は「凄いね~」だけ、という語彙の貧困が恨めしく、口を開けたまま首が痛いほど上を見る。

 そのまま内部の階段を下りて、溜息の橋を渡る。宮殿の地下牢獄は満水時には水牢になり、この橋を渡ると2度とこの世に戻ってこられないと言われ、橋の小窓からこの世に別れを惜しみ溜息をついたという逸話が残っているそうだ。カサノヴァがこの牢から脱獄したのは有名。牢獄には、囚人が自分の名前を蝋燭の煤で書いたという様が残っており、圧倒される。階段の上り下りが結構大変で、ふうふう言いながら登ったり降りたり頑張った。
 外に出ると、雨が小止みになっていた。

 再びゴンドラの船着き場まで戻り、6人乗りのゴンドラ3艘に分乗。カンツオーネを聴きながら、という触れ込みだったが、くじ引きで決めた音楽隊の人たちが乗り込む1艘には3人が、続いて私達夫婦と小田原からいらしているご夫婦の4人が乗る2艘目、5人が乗る3艘目が順番に出航する。
 波がかなりあり、ゴンドラは揺れに揺れている。救命具も何もつけず、本当に大丈夫?という感じだったが、さすがプロ。難なく水面を走っていく。じゃんけんで勝って私達夫婦は後ろの横並びの席に座ったままでいられたが、ご一緒したご夫婦の奥様は、やれこちらに座れ、やれ前に移動しろ、とバランスを取りながらあちこちに動くように船頭さんに指示され大変そうだった。
 オーソレミオ等聴きなれた歌が響く中、あっという間に30分経過。どこにアングルを向けても絵になること。多くの映画の舞台になっているのも頷ける。

 40年前、卒業旅行でこの地を訪れた時、1か月以上に亘たる長旅で体調を崩し、発熱してホテルの部屋で一人で寝ている羽目になった。文字通りの「ベニスに死す」。同行した友人2人は、ゴンドラに乗るオプショナルツアーに出かけていったのだった。その40年越しのリベンジが叶った。長い長い時間がかかったけれど、またやってくることが出来たことに胸が一杯になる。

 下船後は、ヴェネツィアン・グラス工房へ歩き、職人さんが水差しをあっという間に作り上げる様子を見た後、ワイングラス等の作品を紹介されるが、買い物の時間はなし。欲しい人はまた明日自由時間に訪れてね、とのこと。物欲からすっかり解放されているので、触手は動かない。

 ホテルに戻って、チェックイン。部屋は運河沿いの最高のロケーションだ。ここで夕食の時間まで小一時間。最低限の荷ほどきをして、お茶を淹れて一服する。気づけば水分補給をろくにしていなかったので、がっくり疲れていた。
 少し元気になって、夕食だ。徒歩で2,3分のレストランに案内され、グループごとに席を用意するプライベートディナーという趣向で、夫と2人席に案内される。前菜4品盛り合わせ、魚のラグーソースのペンネ、メインは鯛、デザートはプリン。カプチーノを頂いてお腹一杯。

 食後は、お腹ごなしのためにサン・マルコ広場の夜景を見に行きませんか、と添乗員のTさんから誘われ、皆が向かう。広場を囲む建物に点された灯りに浮かぶサン・マルコ寺院は、昼とはまた違う美しさだった。
 雨が止んで、足元が悪くないのが有難かったが、さすがに冷え込んでいる。昨日の寒さに懲りて、今日もインナーを重ね着し、持ってきた中で一番厚地のニットを着込み、カシミアのマフラーをぐるぐる巻き、ボトムもロングのガードルにタイツ、ペチコートと重ねていたので、大分頑張れた。

 帰路はスーパーでお水を調達して部屋に戻ってきた。明日は一日フリータイムだが、昨日に続き、今日も万歩計は1万歩を優に超えた。
 明日は特に頑張らず、ノープラン。界隈をブラブラ出来たらそれでいいな、と思っているので少し寝坊をして体力温存に努めたい。
コメント
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