夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『共犯』

2015年08月10日 | 映画(か行)
『共犯』(原題:共犯)
監督:チャン・ロンジー
出演:ウー・チエンホー,チェン・カイユアン,トン・ユィカイ,ヤオ・アイニン,
   ウェン・チェンリン,サニー・ホン,リー・リエ,アリス・クー他

ダンナの帰りが遅くなることがわかっていた先週月曜日、
午前中は普通に出勤し、午後から休みを取って心斎橋へ。
映画のハシゴにはいろんな選択肢があったけれど、
この暑さでは劇場のハシゴが体にこたえそうで、
劇場は移動せずにシネマート心斎橋で3本観ることに。

13時すぎにはシネマートに到着したので、4本ハシゴも可能だったんです。
だけど、13時半から上映されるのは『犬どろぼう完全計画』
もう一度観ようかと思うほど好きな作品だったので相当迷いましたが、
15時半からの3本にとどめて、劇場1階下のインド料理店でひとりランチ。

大きなナンとカレー2種、サラダがセットになっているものを注文。
アルコールの1杯も飲みたいところですが、週末に飲みすぎているので我慢。
100円追加すればおかわり無料のソフトドリンクを頼み、
1杯目だけラッシーの注文も可能だというので、1杯目にはラッシーを。

料理をたいらげてからアイスコーヒーを頼んだら、
グラスになみなみ注がれたアイスコーヒーを持ってきてくれましたが、ストローが付いていない。
「これはストローなしなのかな」と思ったら、
インド人のウェイターさんが、下げようとしているラッシーのグラスを顎で指し、クイッ。
おおっ、このラッシーで使ったストローを再利用せよということなのね。
私がラッシーのグラスからストローを抜き取ると、ウェイターさん無言で頷く。
これ、日本人がやると横柄かもしれませんが、そうじゃないとなんか楽しい。

このアイスコーヒーをいただきながら、ヒキタクニオの『原宿団地物語』を読みました。
ヒキタクニオの『消し屋A』は面白かったけど、残念ながらこれはイマイチ。
残り50頁ほどになったところで1階上がって劇場へ。

『光にふれる』(2012)で注目を集めた台湾の新鋭、チャン・ロンジー監督の2作目。
1作目と趣を異にする青春ミステリー。これも非常に良かったです。

男子高校生ホアンは、ある朝、路地裏で同校の上級生女子シャーの死体を発見する。
呆然と死体を見つめているときに通りかかったのが同校同学年の男子イエとリン。
リンが警察に通報、3人は死体発見者として警察へ。
現場の状況から事件の可能性はなく、シャーの飛び降り自殺と断定される。

ホアンはいじめられっ子、イエは不良、リンは優等生。
同じ高校にかよう生徒ながら、それまで言葉を交わしたこともなかった3人だが、
このような尋常ではない体験を共有したことで急速に親しくなる。

ホアンの提案により、3人はシャーの後輩として葬儀に参列。
面識のなかったシャーのことを知りたくなり、彼女の自宅マンションを訪れる。
母親が出かけていたのをいいことに、3人は彼女の部屋へ忍び込むと、
なぜ彼女が死ななければならなかったのか、手がかりを掴もうと調べはじめる。
やがて、彼女が同級生によって死に追い込まれたのだとホアンが言いだして……。

死体発見後も普通に通学する3人の姿に、さして動揺の色は見えません。
学校側はおざなりなカウンセリングを受けさせるだけ。
それを笑い飛ばす3人は余裕すら持っているように見えましたが、
観客は彼らの心に巣くう闇を徐々に感じるように。

ネタバレですが、主人公と思われていたホアンが早々と事故死して事態も急展開。
イエとリンに出会うまでは友人がいなかったホアン。
ホアンの死によってイエとリンが置かれる苦境と、明らかになる真相。
心がギュッと絞られるようでした。悲惨なのに切ない。
『光にふれる』同様、この監督は光の取り込み方が素晴らしい。

いい加減、時間の隙間を見つけて映画を観るのもしんどいなぁと思うのですが、
こういう優れた作品に当たるから、やっぱり映画を観るのはやめられない。

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