夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『うみべの女の子』

2021年09月10日 | 映画(あ行)
『うみべの女の子』
監督:ウエダアツシ
出演:石川瑠華,青木柚,前田旺志郎,中田青渚,倉悠貴,村上淳,宮崎優,
   高橋里恩,円井わん,西洋亮,高崎かなみ,いまおかしんじ他
 
シネ・リーブル梅田にて、『ある家族』『サマーフィルムにのって』→これ。
3本ハシゴの〆でした。
 
原作は浅野いにおの同名コミック。
隔月発刊の漫画雑誌『マンガ・エロティクス・エフ』(現在は休刊)に、
2009年から2013年まで連載されていたそうです。
成人向け青年漫画という括りになるんですね。
それを映画化した本作は、ふーむ、R15+指定ですか。なかなかにヘヴィー。
 
海しかないような田舎町に暮らす中学2年生の佐藤小梅(石川瑠華)。
憧れの先輩で不良の三崎秀平(倉悠貴)に喜んで会いに行ったら、
フェラを強要されたうえにフラれてしまう。
そのショックから、1年生のときにコクってきた同級生の磯辺恵介(青木柚)を誘い、
とっとと初体験を済ませることにする。
 
以降、つきあっているわけでもないのに、磯辺から呼び出されると会いに行き、
呼び出されなければ磯辺の家へ押しかけ、いわばヤリまくり状態。
 
小梅の幼なじみである鹿島翔太(前田旺志郎)は、
磯辺と小梅がこっそり会っているのに気づいて黙っていられず。
そんな鹿島に想いを寄せている小林桂子(中田青渚)は小梅の親友で……。
 
女子でひとり脱いでいる小梅役の石川瑠華は24歳です。
この脱ぎっぷりの良さで20歳未満なら怖い気もするからよかった(笑)。
 
アンタ、私のこと好きなんでしょ、だったらヤラせてやるよ、
みたいな上から目線で磯辺を誘ったはずが、気づけば磯辺に振り回され、
小梅はもはや彼なしでは生きていられないぐらいになります。
磯辺が撮った写真に映る「うみべの女の子」への嫉妬に狂う。
 
一方の磯辺は村上淳演じる父親と二人暮らし。
仕事でほとんど家にいない父親がたまに帰ってくると、終始反抗的な態度を取ります。
この親子は不仲というわけではなく、間に何か乗り越えられないものがある。
それが、磯辺の兄がいじめを受けて自殺したからだと観ている私たちは知らされます。
 
海に入って命を絶った兄。
事故で片付けられたけど、町の誰もが「いじめられて死にやがった」と知っていて嘲笑う。
弟が町に残っているのはなぜなのか。復讐したい一念なのか。
いじめられた経験がある人なら、磯辺の気持ちがわかるでしょう。
 
うみべの女の子は、生前の兄が想いを寄せていた相手だろうと私は思ったのですが、違うのかな。
小梅がそう思わされたように、うみべの女の子が本当に磯辺のナンパ相手で、
彼女がいる高校へ進学することに磯辺が決めたのなら興醒めです。(^^;
 
はっぴいえんどの“風をあつめて”はピッタリ。
「この歌、どういう意味?」という台詞に、松本隆の歌詞をもう一度なぞりたくなる。

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