夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『真昼の決闘』

2021年09月15日 | 映画(ま行)
『真昼の決闘』(原題:High Noon)
監督:フレッド・ジンネマン
出演:ゲイリー・クーパー,グレース・ケリー,トーマス・ミッチェル,ロイド・ブリッジス,
   ケティ・フラド,アイアン・マクドナルド,ヘンリー・モーガン他
 
入場者数制限中の甲子園
ボックス席のチケットが取れたので、その前に北新地でランチ。
ランチ前に2本観てやろうと画策中でしたが、そうすると仕事に行くときより早起きせねばならず、
そこまで体を張る必要もないかと断念。1本だけなら何観ようかな。
で、“午前十時の映画祭11”にてこんなのを上映していることに気づきました。
大阪ステーションシティシネマにて。
 
だいたい西部劇にはあまり興味がありません。
だから、上映していることに気づいても心が躍ったわけではない。
ただ、有名だし、どういう作品だったのかなと調べてみたら、こりゃ観なあかん。
1952年の作品で、ちょうど赤狩りの時代。
フレッド・ジンネマン監督は、「政治的な意味はない」と言ったそうですが、
背景を鑑みれば、政治的意味合いバリバリでしょう。
本作以降、西部劇の主人公の描かれ方が変わったというのも非常に面白いです。
 
ゲイリー・クーパー演じる主人公ウィル・ケインは、西部の小さな町の保安官
たった今、グレース・ケリー演じるエミーと結婚式を挙げたばかり。
これを機に退職し、エミーと町を出て穏やかな毎日を送ることにしています。
 
ところがそんな彼のもとへとんでもない報せがもたらされます。
かつてウィルが捕らえた大悪党フランク・ミラーが釈放され、
正午着の列車で町に戻ってくるという。
フランクの弟を含む仲間の3人が駅で到着を待ち構えているらしい。
 
ウィルを恨むフランクは、到着するや否やウィルのところへやってくるはず。
町長をはじめとする住人たちが、ウィルとエミーに早く町を出るように促します。
一旦はそれに従って馬車を走らせたウィルですが、
今までの人生で自分は悪党に背を向けたことなどない。
このまま立ち去るわけにはいかないと、エミーが止めるのも聞かず、町へ戻ります。
 
さて、ここからがビックリ。
普通、この流れなら、ウィル率いる町の面々が悪党と対決しそうなもの。
しかしなんとウィルは孤立無援状態に。
 
数名はウィルと共に戦おうという意志を見せる人もいるけれど、相手は非情極まりない奴ら。
10人はいないととても勝ち目がないのに、誰も挙手しないから、その数名も「無理だわ」。
 
善人で有能であるのは誰しもが認めるところ。
でも、ウィルがフランクを捕まえる前は、悪党のおかげで宿も酒場も混み合っていました。
悪党が消えたせいで儲からなくなったことを恨んでいる住人もいるのです。
 
一方、女性たちは、ウィルがフランクを捕まえてくれたからこそ、
安心して暮らせるようになったと感謝していますが、
もしも今この町でドンパチ騒ぎが起これば、駄目な町だというレッテルが貼られてしまう。
どうせフランクが狙っているのはウィルだけだから、
ウィルが町からいなくなるのがいちばんだと言うわけですね。ひ、ひどい。(T_T)
 
町を出て行こうか。それがいいんじゃないか。
いやいや、それで本当に解決するのかというウィルの葛藤。
結局たった1人でフランクたち4人と対決しちゃいます。
と思いきや、銃声を聞いて居ても立ってもいられなくなったエイミーが戻ってきて、
悪党のうちの1人は撃ち抜くんですけど。
 
戦いが終わった後に町に漂う微妙な空気がなんとも言えません。
やっぱり、いつの時代でも、後から胸を張れないことはしちゃいけない。
逃げたってかまわない。でも、人を貶めるような真似はしたらあかん。
 
アメリカ映画ベスト100のうち、西部劇では1位に選出されている本作。
こうして劇場で観る機会があってよかったです。
 
それと、『ブレードランナー』(1982)を観たときに、「元祖壁ドンここにあり」と書きましたが、
元祖壁ドンってこっちじゃないっすか。『ブレードランナー』より30年も前にやってた!
もっと古い作品で壁ドンやってるやつってありますかね?

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