電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」プロローグと第1幕を見る

2006年09月25日 21時11分59秒 | -オペラ・声楽
ヴェルディの第20番目のオペラ、「シモン・ボッカネグラ」のプロローグと第1幕第1場を見ました。先に入手したのは良かったのですが、家庭の平和を優先し、某隣国のドラマにおつきあいをしたために、これまで見る機会を得なかったものです(^_^;)/

さて、2002年6月、フィレンツェ歌劇場の照明が暗くなると、げっそりと頬のこけた指揮者クラウディオ・アバドが登場します。病が癒えたばかりの頃でしょうか、それでも指揮が始まると、波間に漂うようなヴェルディの不思議な音楽で、プロローグが始まります。

青い光の中の幕開きは海を表す演出でしょうか、舞台は平民派と貴族派が対立する誇り高き海洋国家ジェノヴァ(*)共和国です。平民派の有力者パオロが同じ階級のピエトロに、新総督として海賊の頭シモン・ボッカネグラを推すよう働きかけます。パオロはシモンを呼び寄せ、貴族階級の父(フィエスコ)に幽閉されている恋人マリアを救うためにも、シモンに総督になることを承諾させます。

赤の衣装と青の衣装は、平民派と貴族派の対立を表すのでしょうか、幽閉された美しい娘マリアの姿が見えなくなって久しく、扉が開くのは尊大な貴族に対してだけだとパオロは民衆を扇動し、民衆はシモンを候補とすることに同意します。

貴族フィエスコは、シモンを愛し幽閉された娘マリアの死を悲しみ、その原因となったシモンを憎みます。マリアの死を知らないシモンは恋人の父に和解を求めますが、遺児を渡すよう求められ、行方不明になっていると告げて和解を拒絶されます。館に入ったシモンは、恋人マリアの死骸を目にして呆然としますが、民衆が新総督の選出を喜び、シモンを取り巻き熱狂します。

第1幕は、プロローグから25年後のジェノヴァ。青い光が美しい、海の見える夜明けの音楽で始まります。「このほの暗い夜明けに」を歌うアメリアのもとへ、若い恋人ガブリエーレ・アドルノが訪れ、アメリアは喜びます。そこへ侍女が総督の使いの来訪を告げます。これは、腹心のパオロとアメリアとの結婚を仲介するためでした。しかし、アメリアはシモンに自分の出生の秘密を告げます。「あばら家に住んでいた貧しい女が」をつむぎ出すオーボエの旋律、そして続く二重唱の見事さ。

「言っておくれ、そこに他の人が来なかったか」に続く、失った娘との再会に感動する父親の姿に、もし生きていればこうであったかもしれないという、死んだわが子を悼むヴェルディの心情も思われ、思わずぐっときますが、今日はここまで。

TDKコア(株)発売のDVD(TDBA-0049)、カルロ・グエルフィのシモン、ジュリアン・コンスタンティノフのフィエスコ、カリタ・マッティラのアメリア、ヴィンチェンツィオ・ラ・スコーラのガブリエーレ、ルーチョ・ガッロのパオロ、それぞれの歌唱もフィレンツェ五月音楽祭管弦楽団と合唱団の演奏も、そしてペーター・シュタインの演出も、素晴らしいできばえです!これから第2幕と第3幕が続きます。楽しみ~!

(*):ジェノヴァ市へようこそ~ジェノヴァ市公式ホームページ(日本語)
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