サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその9「開け放たれた窓」

2024-05-22 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー











君に本当のこと言わなくちゃ
君に大事なこと伝えなきゃ










いきなりですけど、
PC…というか回線の絶不調でこの文章はスマホで書いています
いつもとは違う感じになるかもしれませんがよろしくお願いします
実は昨日もギリギリまでルーターと格闘してたけど無理でしたね・・・。  


さて、
この「開け放たれた窓」という曲、
実はライブで聴いた事が一度もありません
これは今作に於いては唯一でリリース記念のツアーでも演りませんでした
恐らく、生演奏ではなく電子音が中心の楽曲であること
それと静謐系でもなく
ロングスパンで展開が変わるエモーショナルな曲でもない
勿論激しくブチ上がる様な曲でもない・・・って事で演奏されなかったのでは?と思うけど
単に楽曲数が増えて来て今までの定番曲との兼ね合いで外されたのかもしれませんね
結構ミニマムでポップな小品〜という感じですからね。
ただ、無観客のライブDVDには収録されてるのでそちらでライブ版を楽しむことは出来ます。

 

そう、
このアルバムは俗に言うコロナ禍の真っ最中、
しかも手探りだった時期に出たので
まずは大谷資料館での無観客公演が最初のリリース公演だったんです
そして
この曲自体もまたそういう時代の空気を反映している様に思えます

まず、
先述の様にアレンジがエレクトロ中心のポップなものになっていること
自宅でゆっくり聴くのに適してるアレンジに仕上がってるのがライブ向けではない感覚があります
そして歌詞もそう
冒頭に引用した歌詞…..
ゆったりとした優しい曲調とは裏腹に
とても切羽詰まった心境が如実に出ている風にも感じます
言えなくなる前に
会えなくなる前に
大事なことを伝えなくちゃ・・・っていうのは
当時の焦燥感を反映させている〜とも言える

だけど、
今自宅のコンポでじっくり聴いていると
あの頃よりも更に管理人自身が年齢的を重ねているからか、
(そもそもあのご時世から4年も経っている!)
何もかもが有限である、、、
そんな事を感じているんですね
だから、
「君に本当のこと言わなくちゃ
 君に大事なこと伝えなきゃ」
っていう歌詞は
「いつでも言える」
「今は心の準備が足りてないからまた今度〜」っていう
そういう意味があるようで意味のない先延ばしに対するアンチテーゼにも感じられるんですよね
それと、
ここ最近は急な訃報も多いから。
そういう意味では、
当時の時勢を加味した歌詞だと思うと同時に
思ってること/したいことは今すぐにやろう。
そんなメッセージ…って訳ではないだろうけど、
ある種一歩踏み出すための背中を押す楽曲としても機能する内容に仕上がってると思いますね。
なんだかんだ心の中で感謝してるだけとか、厳しい言い方をすると自己満足でしか無いですからね。
でも、やっちゃうんだけどね笑

ただ、
落ち着いた滑らかなメロディラインに乗せて
スロウでミニマムなアレンジで、
そこまで前のめりで歌ってる訳でもない
そこがまた余計な押し付けがましさが無くて良いんだと思います
派手な曲ではないですが、
この曲もまた小林さんのメロディメーカーとしての質の高さが感じられる一曲でもありますね。










という訳で、
約4年も掛かりましたが(マイペースすぎ!)
無事に「At The Beginning」の全曲レビューが終わりました
その間に新しいアルバムも出てましたが、根性と愛でここまでやり切りました
THE NOVEMBERSに関しては常に愛聴している様な状態なので、
きっとこの先の人生でもずっと大事に聴いていくんだろうな、と思います
今作はライブの定番曲も多く収録されてるし全体的に聴きやすい一枚に仕上がってると思うので
入門編にも向いてるかと思う。
これからも、
大好きなノベンバの楽曲やライブに関してブログやXで想いを綴ってゆきます!



THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその8「Hamletmachine」

2024-05-20 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー










ベルトコンベアの上を流れてくる
ガラスの靴は
もうとうに役に立たない












「Hamletmachine」はアルバムのセミファイナルを飾る曲
今作で最後の盛り上がり・・・もっと俗的な言葉で表現するなら「爆アゲ」を演出する曲です
のっけから肉感的なバンドアンサンブルが耳を襲う海外のハードコアにも通じるヘヴィな演奏が聴けます
攻撃的なギターリフに
ドクドク感半端無いリズム隊、
更に、
シャウトを駆使する小林祐介のボーカリゼイション...
海外のエッセンスも感じるんですがどことなくDIR EN GREYや
THE MAD CAPUSEL MARKETS等からの影響も感じられるアレンジでもある
冒頭からシャウトの連発、それが済んだと思いきや美麗なサビメロからのシャウトで締め~と
疾走感というよりは落ち着いた重さのある曲なんですがその割には展開は目まぐるしい印象もありますね。
それがまた聴いていて気持ちが良いです。

そう言えば、
この曲が出た4年前、
「At The Beginning」の中でも特にお気に入りの一曲で
この曲か「薔薇と子供」のどっちかで紅白出て欲しい。みたいな事を
Ⅹでポストした記憶がありますね
それは完全な冗談でなく、
TVという媒体でこういうハードなロックナンバーを聴いてみたい~という願望から出たものでした
あれから4年経って一応関ジャムのトークゲストに出たりして地上波進出は果たしてはいるんですけどね(笑
 兎角、
聴いていると
BACK DROP BOMBを熱心に聴いていたキッズの頃の血が騒ぐ激しくも美しい一曲になってます
そういう意味では40代の一歩手前の世代の影響観が良く出ている曲かもしれません
ライブでもたまに演奏しますがCD以上のド迫力でビンビンな生演奏で魅せてくれる大好きな曲です
去年はこの曲を2回も生で聴けてそれも嬉しかった記憶として残っていますね。



歌詞に関しては、
あくまで個人的に感じている事なんですけど
メインストリームからの脱却というか
メインストリームからってことでもないかもだけど、
俗に言う
「こういう空気」とか
「群集心理」とか・・・そういう事柄に別れを告げる~みたいな感覚がありますね
作中の「花束を抱えて~ステージから飛び降りよう」っていうのは自分だけの道というか、
自分だけの世界を構築していく。みたいな
まあ、
事実はそうじゃないのかもしれない
ただやっぱり受け取り方や聴き方は自由だと思うんで。
 私的に、
空気を読んで選ばされたものと
本当に自分の趣向に寄り添って選んだものって
愛着がまるで違うな~と感じるんです
それは、
メインストリームの中で
「これは好きだな。」って素直に感じて選び取った場合もそう
つまりは自分の思考で感性で本心と向き合いながら❝好き❞をしっかりと自力で掴んでいくことが大切で。
この曲をCDで聴いたり或いはライブで聴いたりするとそういう感情を刺激されて
物凄い覚醒感を得ることが出来るのでそういう意味でも大好きな一曲
特に、
去年WWW Xで観た時はピンクの妖艶な照明が相俟ってマシマシで格好良さを味わえた記憶があります
そういう思い出も加味してちょっと迷いが生じた時にある種の羅針盤としても機能してくれる、
管理人にとっては大事な楽曲の一つ・・・ですね。
何気に、
タイムラインを否定している曲に聴こえるのも面白い曲です。














そう言えば、
今年はツアーに集中してるせいか、
ノーベンバーズのライブ1回しか観れてませんね
去年は二桁観たのを考えるとノベンバ成分足りてねーな。って思う
ただ、夏から秋にかけて何本か観に行く予定があるので
それまではCDとか聴きながらゆっくりとその時を待っています。通勤時にもよく聴いてるんですよ。


THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその7「New York」

2023-09-12 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー










冷蔵庫の中で
賞味期限切れのファンタジー











The Novembersと言えば、
最初は俗に言うギターロックやオルタナティブロックというジャンルから始まったと思うんだけど、
この曲に関して言えば完全にヒップホップの領域に足突っ込んでるんですよね
まずABメロがラップ調だし、サビはちょいメロディアスっていうのが
正(まさ)しくヒップホップ的なサウンドデザインというか...
それも日本で培われたものに近いと感じる。
今でこそ、
この曲はファンに受け入れられてる感じ強いですが
初めて聴いた時はその衝撃的なアプローチにビックリしましたね(笑

ただ、
3年前くらいのレビューでは
「薔薇と子供」「Hamletmachine」そしてこの「New York」を推しの3曲に据えてたんですよね
なので今「New York」が高確率で披露される定番曲の一つに成ってる~って事実は
少しだけ先見の明があったかもしれないですね
とは言え、
今年その3曲全曲ライブで聴けたんですけどね!(嬉々)。



歌詞に関しては、
引用させて貰った上記のフレーズがある意味この曲のすべての様に思えます。
例えば、
「今は疲れてるから後にしよう」
「その内やろう」
「機会があったら」
「また元気な時に」
「いつかはやってみよう」

これらの考えって、
後々振り返って見れば全部無意味且つ自分で自分を追い込んでる悪手だったりもしたんです。
人生長いって云うけど、一番大事な思春期辺りってすぐ終わっちゃうでしょう。
その時期に「すべきだったこと」に今気付いても遅すぎるというか。
人間は、
人間が思ってる以上に時間って無いし、
若い人がおじさんおじいさんを笑っていても、
あっという間に自分自身もおじさんおじいさんになっていくものですしね。
全く上手く行ってない事柄を全く上手く行ってない方法論でいつまでも無為にやっていると、
最終的には持ち抱えたままで腐らしてしまう最悪の結末に自分で自分を導いてしまう。

それがサビで思いっ切り痺れる様な歌声で歌われてるのがこの曲の素晴らしい部分ですし、
だからこそ強いメッセージ性も内包されている様に感じられる名曲だと思いますね。
打ち込み中心の鮮やかでポップなアレンジもまた聴き心地が良い一曲です。










ところで、
この曲はライブでめちゃくちゃ育ちまくった一曲でもあります
ライブでは小林さんがお立ち台に登って扇動し、
「あ~あ~あ~あ~あ」の不気味で気持ち良いコーラスワークも今や
シンガロングの領域まで突入し(それが民族音楽っぽくもある)、
更に、
アレンジもよりダンサブルに変化して最近では❝暗黒ディスコ❞みたいになってますね笑
ネガティヴをネガティヴなままにせず、むしろカタルシスにまで昇華させるエネルギッシュさを感じます
その独特で癖になるトリップ感は音源以上の迫力に満ちているので生でも体感して欲しい一曲です。


THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその6「楽園」

2023-09-05 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー











悪もここではおとぎ話さ
ただの幻想
かびた舞台装置









「At The Beginning」というアルバムはデジタル色も強い作品なんですけど、
この楽曲はそんな中でも最も打ち込みの占める割合が多い曲になっています。
ロックバンドの生々しさよりも、
気持ち良くも不穏でもあるドクドクした電子のアレンジが際立っている一曲
ちょっと民族音楽っぽい部分もあったり
そういう側面もまた聴いてて陶酔出来る粋で面白い楽曲だと思いますね。


さて、歌詞について。
この曲でははっきりと「悪もここではおとぎ話さ」と断言しています
でも確かに...
生きていて本物の悪に出会った事って一度も無いかもしれません
というのは、誰かに対して気に入らない側面だったり腹立たしい感情を憶えても、
そんな誰かもまた自分とは違う他の誰かに信頼されてたり絆を育んでいたり
要するに、
自分にとって都合良く悪に出来るものって意外と無いんですよね。
斯く云う自分も
誰かに優しい振りして良い人みたいに振舞ってたとしても
誰かに対しては冷たく振る舞い通す事もある訳で、
そこだけ切り取ると悪に見えるかも
そう思うと、
本当は誰もが嫌悪するような分かりやすい悪ってどこにも居ないんじゃないかなって感じる
誰かを激しく嫌悪して忌み嫌ったとしてもそんな自分自身も誰かにそういう感情を抱かれてるのかも






絶望もコメディも葛藤もない
ただみんな微笑みだけを浮かべてる







誰もが悪で、
誰もが正義ならば、
昔のノベンバの曲にもあったけど「問題」などどこにも無いのかもしれない。
要するに、みんな各々の領域の中で自由に信ずるままにやればいいだけっていうか。
それを❝楽園❞と、
その状態を❝楽園❞と定義しているのならば、
なんて物悲しくて誠実な歌詞なんだろう。っていちファンとして素直に感じますね
残念な事にそんな簡単に仮想的として憎めるだけの存在は存在せず、
自分にとって許し難い人は誰かにとっての大切な人だったりもする。
ならば、それでいい
自分は自分らしく踊ればいい、だけ。
理解し得ない断絶の中で(ある程度は)好きに生きれるこの世はそういう意味で楽園なのかもしれない。
そんな事を感じながら管理人はこの曲をいつも聴いています~って事を言いたい記事ですね。











ところで、
音源で聴いても素敵な曲ですけど、
この曲はライブで数段化けるので生で聴くのもおススメな一曲です
最近は「New York」に代わってるけど以前は中盤のカオス曲としてほぼ毎回演奏されてました
ただ、この間のライブでは演奏されていて生で爆音で聴いてるとより音の世界観に浸れて
早い話かなりのトリップ感を得れるので想像以上にライブ向けの楽曲だと思います。
管理人は、
この曲のピークに来ると敢えて目を閉じて音だけに集中し、
照明に因って鮮やかさも灯った世界で独りだけの興奮を味わったりもします
その時の快感はある意味音楽的オルガズムと言って差し支えないもので
ノーベンバーズにとっては宝のような一曲である・・・と言えます。


THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその5「消失点」

2021-04-30 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー
                    






僕らは現在進行形の宿題を
新しい名前で呼び合って
標本箱の昆虫のように
留まっている
止まっている







この曲が入ったアルバムが発売されたのは、
今からちょうど1年前だったでしょうか
上記の歌詞っていうのは、
(たぶん)今のこの状況を謳った歌詞だと思うんですけど、
あんまり変わってない・・・どころか、
むしろもっと酷くなっている気さえしますよね(笑
いやでも、
それだけじゃないかもなあ
人間って、否、日本人って結構保守的な生き物だから、
今まで馴染んでたものと比較してどんどん新しい価値観に~という選択肢になり辛いところがある
でも、この曲には、自分なりにどんどん新しく生まれ変わって行こう。という価値観があって、
それが何よりも素敵な楽曲に感じられた、今作でも随一にポップなナンバーに仕上がっています。





今から一本だけ補助線を引いて
いままで見えなかった風景
聞こえなかった声達を
迎えに行こう
その瞬間
世界が変わる





去年は有観客ライブ自体がほぼ無かったので、
勿論この曲を1年経った今でも生で聴いた事は無いんですが、
それでも家のコンポでじっくり聴いてると伝えたかった事は伝わって来ます
この世界自体は(待ってたって)いつまでも変わらないし都合良く動いてくれる事もない
ただ、世界は変えられなくても、自分自身が変わる事はいつだって出来る。
それによって、
見える世界をいつの日も美しく心地の良いものにする事が出来る・・・
要するに、いつだって「何か」を変えるのは自分自身でしかない、って事なんですよ
一番最初に挙げた歌詞と上記の最後の歌詞を対比させれば、
きっと自ずと見える世界も変わって来る、、、と思う
そういう意味では、
THE NOVEMBERS流の一つの応援歌・・・だったりするのかもしれません。







そういえば、
7月に超久々の有観客ツアーが決まりましたね
この曲含めて色々な新曲を是非生で味わいたい・・・ものです。




THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその4「Dead Heaven」

2021-01-19 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー
                    







踊ってる俺を
誰が
どこの誰が
踊らせることができる
どこの誰が







衝撃的なロックンロール・ナンバー。
どこが衝撃的かって言えば、
始まりからしばらくはボソボソ呟くように歌ってたのに、
いきなりサビで発狂したかのように叫び出すトコですかね笑
恐らく、
(歌詞含めて)今作で最も尖っている楽曲だと言えます
そもそも、直訳して死んだ天国~っていうタイトルからして刺激的ですからね。
個人的にはかなり好きなタイトルであり、また曲でもあります。

この曲が伝えたいこと・・・
否、
「伝えたい」とか別に思ってないかもしれないですが、
「伝わって来ること」はとてもシンプルです
要するに、
“貴様の言う事は聞かない”
それでしょう。
云い方を変えれば「俺は俺の好きな様に生きる。」っていう
音もそうなんですが、精神的な意味合いでもかなりパンキッシュな楽曲に仕上がってる・・・と言えます。


以前、
「Fiedel」っていう曲で、
お前が天国だと思ってるなら、その道を行けよ。みたいな、
応援的な言葉を一切使わず聴き手を鼓舞するようなフレーズを歌っていて・・・・・あ、
その曲が今最も象徴的だと感じたので敢えてその曲を挙げたんですが、
他にもノーベンバーズの曲って
そういう・・・
直接的な分かり易い言葉を使わず聴き手のモチベーションに火を注ぐ曲が多かったように思えるんです

だけど、
この曲は、
俺は俺の好きな様に踊るんじゃー!とか
踊らせられるんなら踊らせてみろよ。っていう、
今までのモチベーション・ソングとはまた違った・・・もしくは、
一歩踏み込んだ表現になってると感じたんですね
それは「抵抗」であり、
または「覚悟」でもあると思います
個人的解釈で要約すると「俺は俺の好きなように生きる。」っていう、
曖昧ではなく明確な意思表示がとっても逞しく聴こえる新機軸のロック・ナンバーになってるかと。

結構、
シャウト系の曲調なんで、
ノーベンバーズの18番的な感じでも聴けちゃう曲なんですが、
頑なに気持ちを貫き通す意志のパワーが今までよりも更に踏み込んだ表現で歌われてる、、、ので
そういう意味合いでは“新しさ”も感じられるラウド・ロックになっていると思います。
そして何よりも物凄く「ロックバンドらしい」一曲だと感じました、ね。

あと、単純にバッキバキのサウンドが純粋に格好良いです!
今年はこの曲も生で聴けると良いなぁ。




THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその3「理解者」

2020-12-19 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー
                    







もう要らないよ
もう食いたくない
これ俺の気持ちだっけ?
これ俺の?
ねえ






この曲は、
前の2曲と違って美しさを表現している曲ではなく、
攻撃的なデジタル・ロックに仕上がっています
そして、
上記に引用させてもらった歌詞がもうこの曲の全部を語っていると言っても過言ではない・・・と思います。

生きてると、
まあ、
ぶっちゃけ・・・
自分が思ってもいない
自分が感じてもいない
そういう感情を他人から押し付けられがちだと思うんですよね
それに対して、
八方美人的に「それもそうだよね。」とか「そういうことも大事ですよね。」だとか、
波風立てないように返したり行動したりするのは個人的には“違う”と思うんです

時には、
他者を傷付けたとしても、
他者に報いれなかったとしても、
「自分はこう!」っていう強い感情を剥き出しにする事も大切だと思うんですよね
そうでないと、
一生他人の顔を伺って生きる退屈な八方美人になってしまうなと考えちゃうんですよ
ある程度孤独になっても良いし、
逆にマジョリティに加わっても良い。
大事なのは、
「これが俺の気持ちか。」
「本当に自分が思ってる事なのか?」

それをいちいち自分の中で自問自答して、
それを貫き通すこと・・・だと感じています

その結果、誰かと重なる方がよっぽど自分的には幸福な事なんじゃない?って思いますね
そして、押し付けられた感情に対する強烈なアンチ精神を爆発させているこの曲が自分には必要だな、と。
ま、 誰かの徳だったり承認欲求を満たす為の都合の良い道具では無い、という事です。「自分」は。






この間、配信ライブもありましたけど・・・
個人的にはやっぱり最新ライブを観るなら「生」で観たいなあ。
贅沢な欲求ですけどね笑



THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその2「薔薇と子供」

2020-11-29 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー
                    







今日は君の誕生日
君が息をしてる







まず初めに言っちゃうと、
この曲かハムレットマシーンで今年の紅白出ると思ってましたね(笑
それは冗談ですが、冗談ではないんです。
これは真面目に語ってる事です
冗談っていう気持ちもあるけど、
冗談じゃないっていう気持ちもある・・・
相反する感情が同時に存在するのが人間の本質だと思ってます
なので、「ないでしょ。」って気持ちと「歌うべき!」っていう二つの感情がある、っていう
しかもこの記述に関して誰かに分かって欲しい~とかいう感情すら一切無く、
ただ自分が感じた事を素直に出したいだけ~という事も付随させておきます
そしてそういうのが個人ブログでしょ、とも思いますね。
いきなり前置きが長くて申し訳ない。

この曲は、
端的に書いて“名曲”です
正直な話それ以上の言葉は野暮になってしまうんじゃないか?ってくらい
有無を言わさない素晴らしさが籠っている渾身の楽曲だと思います
出だしこそ重めのビートから始まりますが、
どんどんと雰囲気が柔らかくなって、
サビでスロウテンポながら一気にメロディアスな音像に変わる・・・っていう
あれですね、
どんよりした曇天から、
徐々に雲間から光が差して晴れ渡る瞬間、、、を
描いているような一曲に仕上がってると思います
どこから聴いても美しいメロディ、
流麗なアレンジ、
神々しい雰囲気、
そして、
今生きてる生命そのものを「ただ」肯定するような歌詞・・・と完璧なポップ・ソングに成ってるかと。


この「ただ」っていうのがとても重要で、
理屈付けてもいないし、着飾っても無い、大げさに讃えてる訳でもない
何かしらのドラマを演出してもいないし、勿論頑張れ/諦めるな/負けるな等の
聴き手を応援とかしている歌詞では全く無い・・・んですが、
何故か聴いてると良い気分になれる
人生謳歌すっか。という気持ちに自然となれる
それは、
「ただここにいる」自分そのものを描いているから
「生きている」そのものを肯定しているから・・・に他ならないと思う
何の着色も無しに、ただ生きて欠伸をしている風景を描いている
でもその事実こそが最も尊い。
し、
言ってみれば毎日が「新しい自分の」誕生日であって、
その度に新しい人生が待っている・・・という感じに聴くと物凄い前向きな想いで聴く事が出来る楽曲
余計な情報も比較もドラマも一旦オール排除して、
今生きている
今息をしている
「ただ」それだけを描く、っていう
潔さとシンプルさが兎角素晴らしい名曲然とした名曲に仕上がった一曲と感じました。

・・・結局、
長々と説明してしまったんですが(笑
聴けば一発でこの曲の凄味が分かるレベルの曲になっていると思う
そして、こういう音楽が自分は大好きだ。とも強く感じました
来年は、
是非この曲をライブ会場で、生で聴けますように。



THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビューその1「Rainbow」

2020-10-31 | THE NOVEMBERS「At The Beginning」全曲レビュー
                    









君はいつも
いまがはじまり
そうさ君はいつもここが

はじまりさ







自分は元々は音楽レビュアーだった過去が既に忘れられてそうなので(笑
今週は意図的に音楽系の記事を増やしてます
で、
今年5月に出た今作の全曲レビューも始めようと思う
ノーベンバーズのアルバム全曲レビューは「Hallelujah」以来ですが、
あのアルバムが全11曲だったのに対し今作は全9曲と比較的コンパクトに纏まってるので、
割とそこまで時間掛けずに終えられると考えます。
というか、
シシャモ6もそうだったんですけど、
本当は一回ライブで聴いてからこういうの書きたかったんですよねー
正直ライブの印象って結構大事じゃないですか・・・バンドは生で観てこそ、なので。
でもいつ普通のライブが出来るようになるのかも分からないような状況下なんで、
それが再開するの待ってたらぶっちゃけ次の作品出てそうでしょう?笑
んー、
だからまあしょうがない、んですけど
でも今は音源をじっくりと楽しむ期間だとも思うんで
妥協ではなく、自分なりに真剣に聴き込んで感じた事をこの場で発表しようかな、と。


で、この曲
タイトルを直訳すると「虹」
そういえばラルクにも「虹」って曲がありますね・・・
日本語にしなかったのはそうすると狙いすぎ、だからでしょうか笑
冒頭からデジロック臭の強いアレンジですが歌声は耽美そのものなんで
その良い意味のギャップが面白く、清廉とした雰囲気も素敵な名曲に仕上がってると思います。

この曲の歌詞の、
「君はいつもいまがはじまり」って応援とかメッセージじゃなくて、“事実”だと感じたんですよ
例えばゲームやドラマならゲームオーバーとか最終回とかで一応の区切りが付きますけど、
現実ってぶっちゃけ・・・
終わりがあるようで終わりが無いものなんです
正確に言えば寿命という終わりは誰しも訪れるものですが、
そこに辿り着くまでの長さがゲームとかドラマの比ではないですもんね
過去のノーベンバーズの楽曲の歌詞を拝借すれば、
映画みたいに2時間半できっちり綺麗に終わるようなものじゃないんで、
例えどんなにショックな出来事があっても、
報われない日々であっても、
「終わり」は半永久的に来ない
だから、自分はいつでも“今”がはじまり
この瞬間から既に自分が目指す「何か」に向かって始まってる訳なんですね
そう考えると・・・
逆にちょっとした希望的なものを感じられませんか?っていう(笑
でもそれは誤魔化しとか屁理屈とか慰めではなく、純然たる“事実”なんですよ
挫折しました、でも、なんか別に日常が終わる事もなく、朝起きたらまた最新の一日が始まってます。。
これですよね、はっきり言って。


その中で、
自分の中で色々と考えて、
考えたことを咀嚼して、
今の自分が出来ることを、
今の自分がやりたい事を、
「必ずそうなる、そうする」という想像力を持って、
現実にする為に自然と前を向いて進んで行く。
 別に聴き手を応援する意図とかは無いとは思うんですが、
それでも聴いてると一日や人生に於いて何かしらのエネルギーが貰えるような・・・
そんな素晴らしい「始まりの一曲」に仕上がってるな!と自分は感じました。
大好きな楽曲です。



どんな時も君の味方でいるよ
何があろうと君の味方でいるよ いつも



それと、
終わりの方のこの歌詞、
正規の意味合いにも捉えられますが、
個人的には「自分が自分に語り掛けてる」・・・
そういう意味合いでも聴けると(勝手に)思っています。
自分の心を後押し出来る、信じてあげられる人ってやっぱり自分しかないから。
究極的には、ね。