サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその10「Shoeshine Man」

2018-05-18 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー











最後の曲です。












ロストエイジとは思えないくらい優しくて聴き心地の良いポップナンバー。
ゆったりとしたリズムに包み込むような歌声がよくマッチしていて所謂“ロック好き”以外の人々も、
取り込めそうな・・・そういう普遍的な名曲に仕上がってるんじゃないかなあ、って思います。


例えば、
人生の喜びだとか、
生きる意味だとか、
極論を言えばそういうのってあんまり必要なくて、
今日も仕事頑張って(仕事じゃなくても良い)週末に繋いで、
休日はラーメンでも食いに行こうかなー。だとか、
結局は・・・
傍から見れば些細な、
だけど、
その実物凄い確かな希望の数々によって
自分らは生きてるし大げさな出来事なんてなくても、
毎日を楽しくゆったりと生きれるんじゃないか・・・という事をこの曲を聴いていると感じたりします。

つまり、
本当に心に残るのってひと時の栄光とかじゃなくて、
その時その時のさりげない喜びというか、
何気ない楽しみだったり、
下らないやりとりだったり、
実は振り返って「面白かったな。」「充実してたな。」って感じるのはそういう瞬間だったりもするんですよね
日々の、ありふれた、“なんでもないこと”でなんか嬉しいし、ワクワクするし、心が満たされる・・・
そういう日常に根差した楽曲でもあるこの曲はある意味本作を象徴するような楽曲にもなっているなあ。。と







正直な話、
毎日を楽しくするのも豊かにするのも朗らかにするのも全部自分次第というか、
自分が変われば環境も変わるし、意志の力でどうにでも出来るんじゃないか?とも思うんですよね
紆余曲折経て、考え方だったり捉え方を工夫して、自分の力で充足を掴み取っていく・・・
そういう普遍的、だけど、何よりも力強い生命の歌がこの曲には宿ってると思います

一度ライブで聴いた事もありますが、より情感豊かで感動的な仕上がりに進化していたので、
是非生で感じるのもお薦めな一曲です。明後日のツアーファイナルで、是非。


これで「In Dreams」の全曲レビューはお仕舞いです!
一年間、どうもありがとうございました。




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその9「僕のものになれ」

2018-05-07 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー












もうすぐこのアルバムのツアーファイナルですね。









いきなり脱線するんですが・・・
何故人間は相手に過剰なメリットを求めるのか?って思うんです
正直な話、例えば自分の場合、美人だとかイケメンだとか優秀だとか便利だとか
「そういうトコ」で他人を見るのが嫌で極論を言えば、もう「傍に居てくれるだけでいい」っていうか、
まあ、なんでしょうね、、、“それだけで十分”な気がするんですよ
それ以上はないな。。というか、
そんで、この曲は「そういう曲」だと思うんです。


誰かを過剰に求める時、
友達であれ家族であれ想い人であれ、
「ただそこに居るだけで嬉しい。」というか、
そういう感覚・・・を強く呼び覚ます力がこの曲にはあると思います
実際、
個人的に「離れて欲しくない」「消えて欲しくない」って内心感じる“誰か”を思い浮かべると、
自然にこの曲が流れている、、、というパターンが個人的に多いんです

この曲は、
タイトルとかからラブソングと捉えられる事もあると思いますが、
それだけではない、人間の根源的な欲求、欲望が込められている・・・そんな曲にも感じています
それは健気であり、祈りのようであり、だからこそ、共鳴出来る隙間が存分にあって、
オルタナティブロックを主軸にするロストエイジの中でも相当聴きやすい類の楽曲かなあ、と。
それを言ったら「ポケットの中で」なんて更に聴きやすいんですけどね(笑


タイプとしては、
ストレートなロッカバラード。
静かに始まり、サビでグッと熱を込めて、更にCメロ(?)で想いを増幅させる、、、という
三段階に楽曲の構成が分かれているのがユニークで聴き応えのある楽曲でもあります
ゆったりとした良さもあり、
儚げな良さもあり・・・と、
一曲の中で表情がコロコロ変わっていくのも面白い一曲ですね
アルバムの中でも非常にドラマティックな一面を見せてくれる曲なので、
これまた引き出しの広さを見せてくれる渾身のバラッドに仕上がっているかと。







個人的に、
我儘だけど、切実でもある気分の時に大きく作用してくれる、
そんな素敵な曲、、、だと思ってます。




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその8「I told.」

2018-02-03 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー









何も終わってない
何もまだ
それだけ 










ふと目を醒まして「現実」を見ると、
直視したくもない「何か」ばかりが転がっていて
その度に胸が締め付けられる想いに駆られるんですが、
それでも壊れてしまった人形の命は続いていくし、
続いていく限りは何も終わらないし・・・という、そういう曲に思えるアルバムでも屈指に前向きな(?)一曲
明るく突き抜けたメロディに爽やかなコーラスラインも手伝って際立って聴きやすい楽曲に仕上がっていると思います。

冒頭の勢い良く鳴らされるオルタナティブなギターフレーズからしてどことなく、
なんとなく某ブッチャーズっぽいサウンドの片鱗を個人的に感じてしまうんですが、
それも含めて聴き手を後押ししてくれる、
ロストエイジっぽい形容ではないのかもしれませんが(笑)、
聴いていて元気になれる・・・そういった類の楽曲だと感じますね。


毎日生きていると、
何となく自分が既に終わってしまった人間のように感じられる時もあるけれど、
実はそれは自分で決め付けていたり視野が狭くなっているだけで本当は何一つ終わってない
生きている限り「何か」は終わるし、
その度に「何か」が始まる
真実はそんなもの

そういう終わりと始まりの繰り返しに疲れて「壊れかけた」状態になったとしても、
結局は目の前に映る道や未来に於いて「終わっている」ものは何一つない
確かに、
そこで「何もかも上手く行く」なんて能天気な発想を思えるほど純粋ではなくなったけど、
それでも、続いていく限り、「何か」が始まる可能性は存在し続ける。
ただ、それだけ。
ただ、それだけを伝える為の、剥き出し且つ真摯な一曲です。
朝、通勤の時に聴くのもおススメな楽曲ですね。




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその7「戦争」

2018-01-11 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー









正しい 僕らはいつだって
楽しい あんたらはいつだって













このアルバムはメロディがきっちり作り込まれたアルバムだと思うんですが、
その中でも異色・・・っちゅうか、ある意味本来の(?)ロストエイジっぽい曲がこの曲ですね
不穏なアレンジ、雰囲気、シャウト中心のぶっきらぼうなロックンロール・・・
純粋に「良い曲」を集めた本作に於いてはとても刺激的なオルタナロックに仕上がっています。


で、歌詞がまた良い。
自分の全部を否定するのは楽ですが、
でも、
どうしても「えっ、俺(私)が悪いのか・・・?」って思える時もあるじゃないですか?
ぶっちゃけた話全部を自分の所為にするのはちょっと無理があるんじゃないか、とか思える出来事だってあって
そういう・・・
ある種“やり切れない気持ち”ですよね
胸の内に溜め込んだ感情を時に激高し、時に陰鬱に表現してみせている新譜の中でも飛び切り鋭いナンバーですね。

理屈では、
頭では理解していても
「それは違う」って思える事も世の中には多くて、
ただ、
う~ん、
結局波風起こしたもん負けな部分も往々にしてあったりするから、
そこでまたモヤモヤが生まれてしまうというか、そういう考えでいればいるほど損をしていく生き物だなあ、と。
違和感を覚えるか、慎ましやかに同調するか・・・それもまた選ぶか選ばないか、なんだと思います。

タイトルの「戦争」は、
自身の内面的な戦争を表現しているようにも聞こえます
それはきっと、
どうやっても、
何年経っても、
それこそ死ぬまで終わらないようなライフワークだったりするんでしょうね
そういうやり切れない想いと煮え滾るような憤りに呼応してくれる、これまた(別の意味で)染み入る楽曲です。
ライブで聴いても当然格好良かった!




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその6「泡沫の」

2017-11-29 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー










触れることもできるはずのない微笑みを
ただ頷いてその胸に染み込ませる











この曲は中盤に入っているミドルテンポのややバラッドっぽい曲です
淡々と、しかし切実に鳴らされる物寂しげな音像が聴いていて胸を打つ一曲
正直新譜の中でも凄く好きな楽曲ですね。


例えば、
有り体な正論だったり、
理論上の正解だったり、
まあ色々ありますけど・・・
そういう言葉や思慮では割り切れない「何か」がこの世には存在するじゃないですか?
なんかね、そういう“化け物みたいな寂しさ”を目の前にした時に物凄く響く一曲なんじゃないか・・・って
個人的にはそう感じてます。

思えば、こういう限りなく詩的で深い意味を持つ楽曲は初期の頃にはあまりなかったように思う
いや、それだと語弊があるな 初期はもうちょっと曖昧で断定的ではなかったんですけど
この曲はそこから比べると本当に心情を美しく詩的に表現している曲で、
ある意味今のロストエイジだから「こそ」作れた曲のように感じるんですよね
自分が「そこ」に至らない人間だと気付いてしまった、
それは努力だとか、
センスとかの問題ではなく、
ある種の絶対的な感覚ですよね・・・
頑張れば分かり合えるだとか通じ合えるとかは正直幻想に過ぎなくて、
この曲みたいになってしまうのがまた現実だとも思うんですけど、
それをただそのまま描くのではなく、
詩集にしてもいいぐらいのクオリティで描き出しているその描写力が何よりも優れている楽曲だと思っています

同時に、この曲はロストエイジが普遍的な名曲を追求している(と、聴いてて思える)本作に於いて、
「ポケットの中で」に並ぶくらいシンボリックな一曲にもなっている・・・と感じますね
シングルっぽいタイプとはまた違いますけど、
この曲もまたCMで流れててもそんなに違和感が無さそうな曲かなあ、と








別に、
そこから答えを導くのではなく、
過剰なまでに絶望するのでもなく、
ただただ途方に暮れているような、
放心しているような、
届かない感覚に苦しんでいるような・・・
そんな「そのまんまの悲しみ」の表現に終始してるのがまた粋に思える、
決して派手さはないですが、聴き込めば聴き込む度に味が出て来る、隠れた名曲・・・だと、個人的には。




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその5「REM」

2017-10-29 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー











やりきれないことばかりだけど
誰もが今日も眠り夢を見るよ













どんなに暗い人間でも、
前向きな事を一切考えてないか?と言えばそれは違うだろう
正直ファッションでやっている人以外そんな事はあり得ないと思う
人間は誰もが誰も常に「都合の良い想像」を抱えて生きているのが事実であって
それがあんまり達成されないからこそネガティブな心情に陥るのだと思う
つまり、
本当は誰もが誰も夢を見ている
それは壮大な夢ばっかりという訳でもない
例えば、「仕事に行かずにこのまま眠りこけていたい。」なんてのも
夢っちゃあ夢ですから(笑)。
そういう人間のほんの少しのポジティブな気持ちを集約させたのがこの「REM」という曲だと思う。


かくいう自分も、
「こうなればいいな」
「ああいう風になりたいな。」的な
夢に近い感情は(ある程度は)胸に秘めている
勿論、その為の努力を常に遂行出来るほど能動的な人間ではないんですが
それでも何となく、ふんわりと思い続けている事で案外「その為の一歩」は達成出来ちゃってたりもする
だから、この曲を聴いているとそういう気持ちに自然となっていく感覚が(個人的に)あって、
それがまた素敵だなあ。というか、
“生活感に根差す”という今作のテーマ性にも似合っている普遍的なポップ・ソングに仕上がってるかな、と。

また、
これをこのキャリアのロストエイジが演奏している~ってのにグッと来る節も自分的にはある
デビューしたての若いバンドが歌うのと既にベテランの域に差し掛かっているロストエイジが歌うのとでは全然違う
年食っても、おっさんになっても、夢を見る事は出来る。現に、常に何かしらの夢を見て生きている。
そういう素敵な雰囲気にも満ちている今作でも随一に聴きやすいナンバーだと思います
ちょっとアンセムっぽい聴き応えもあり、コーラスワークもまた秀逸な一曲。




LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその4「ポケットの中で」

2017-10-15 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー











彩りのない朝を迎え 僕は息をして
痩せた手を握りしめる ポケットの中で












特に何も変わりそうにない生活と、
とっくに上限が見え透いている絶望的な伸びしろが目の前にあって、
それでも続いていく日々のサウンドトラック的な楽曲だと思います、「ポケットの中で」。

努力や頑張りだけで変えられる領域はあらかじめ決まっていて
それだけじゃ埋められない「何か」が常に自分の側に渦巻いている
そんな途方もない壁に俯きながら、
それでも淡々と働いて休んでまた働いて・・・っていう
冴えない、だけど、確かに息づいている“我々の日常”を美しくアンセムにしてしまった本作でも屈指の名曲かと思う。


そもそも、上手く行く/上手く行かないなんてタイミングや運の問題でしかなくて、
何となく八方塞がりな感覚を抱えながら生きているのも結局は他人と比べてその要素が薄いのが関係していると感じる
だけど、一番肝心なのは「続けているからこそ、そのタイミングは巡って来る」という事で。
何となくやりきれなくても、
何となく満たされなくても、
取り合えずしんどさを隠しても隠さなくても別にどっちでもいい、
兎角俯きながらでも当たり前のように進んでいく・・・大切さが描かれている楽曲だと(個人的には)思っていて、
いいことだとか奇跡だとか報われるとか、そういうの、もうあってもなくてもどっちでもいいから、
「まあ取り合えず続けようよ。」っていう・・・
そういう類の強さが感じられる、
そしてそういう平熱の感情こそ生きる為には最も必要なものなんじゃないかなー。と
この「ポケットの中で」を聴いていると強く感じたりもしますね。イントロの時点で既に名曲感たっぷりです。



繋がりたいと毎日を怯え 僕は俯いて
打ち鳴らす 叫び出す ポケットの中で



冴えないと嘆いたところで、
届かないと騒いだところで、
世界はまるで何事もなかったかのように息づいて今日も進んでいく
その中に於ける自分の無力感や倦怠感をリアルに表現しつつ、
それでも心の中に「何か」を抱えて、一見淡々と生きてるようでも内心沸々とした感情も抱えて生きていく・・・
そういう過剰さを抑えて本当に現実的なトーンで“生活”を描いて見せた現時点でのロストエイジの到達点のような楽曲です
有志でPVも作られてyoutubeにUPされてるので、是非気軽に聴いて良かったら音源を買うなりライブに足を運んで欲しい。
今作でシングルカットするなら間違いなくこの曲だろうな、って思います。

現状に不満足で、悔しさを抱えながらも、しっかりと自分の意志で毎日をこなしていく。
そういった意味でのある種本当のリアル(本当のリアルって言い方はおかしい気もしますが笑)が内包されている、
これもまたロックンロールと呼んで差し支えない楽曲だと思う。サウンドの心地良さにも注目です。





LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその3「窓」

2017-08-05 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー











はじまりを見過ごしていた
いつからか見慣れた景色の中へ











ある意味この季節・・・
特に風通しの良い午後に聴いたらいかにも気持ち良さそうな曲です
だけど、個人的には上記に挙げさせてもらったフレーズがやたら印象に残ってしまった。

人間は、「はじまり」を見逃しがちな生き物だと思う
「その内やろう。」と決めてたらいつの間にかチャンスを失ってしまい
一旦興味を失くした何かに今更になって惜しむ気持ちや悔しい思いが沸いたり、
その時々では気付かなかった色々に時間が経ってからいちいち気付いてショックを受けてしまうおバカさんなのだ
自分もこれまでの人生でどれだけの数の「はじまり」を見逃して来たんだろう・・・とふと考えると空しい限りである

不意に俯瞰して見て閉口してしまうような現実が心身を痛めつけるように存在しているのは、
やっぱり自分が「今」に繋がる「はじまり」をことごとく見逃して来た罰のようなものなんです
自分自身気付けてすらいなかった沢山の「はじまり」たち、
それを思う度に悲しい気分にもなりますが、
その一方でこの曲はこんなことも歌っています。



ところで僕らの約束の時間にはまだ間に合うだろうか?


気付けてすらいなかったはじまりに、
見失ってしまった自分自身。
だけど、
その一方でまだ「間に合う」って信じていたい
「何とかなる」って思い込みたい自分がいるのもまた事実です
この曲では「はじまりを見過ごしていた」と歌われていますけど、
でも逆に考えればそういう自分や悔しい気持ちに気付けただけでもある種の「成長」ではあるんですよね
まだ、手遅れじゃないって信じたい。何かになれるって信じたい。頑張れば報われるって信じたい。
暑苦しさはない曲ですが、その代わりに「横顔が夢を語る」とさり気ない希望が歌われている大切な一曲です
今はまだ見失ってる状態かもしれない、「はじまり」を見過ごしたのかもしれない、だけど、これからは――――――。
自覚して歩き出す“夢”に似た何かをくれる、爽やかでありながら情熱溢れる楽曲です。
何気に日々の倦怠感が歌われている生々しさもまた好みの曲ですね。
こういう足掻くようなテーマ性がやはり似合うバンドです。



LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその2「ガス」

2017-08-02 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー








順調
順不同
競争に飽いて











この「In Dreams」ってアルバムは従来の作品と比べて、、、
メロディに重きを置いている楽曲が多いように感じられるんですけど、
その中でも割とこれまで通り・・・というか、十八番であるオルタナ路線を突き詰めている曲だな~と感じるのがこの「ガス」です
例えば「窓」とか「REM」は今作に収録されているからこその楽曲だと思いますがこの曲は他のアルバムに入ってても
あんまり違和感がないくらいにロストエイジ印のオルタナティブ・ロックンロールが響いている印象
きっちりと整理された格好良いアンサンブルに不穏なアレンジ、凍てついた雰囲気・・・と
従来のスリリングなロックが鳴っているこの曲は良い意味でバランスメーカー的な役割を果たしていると思います。
テンポはスロウだし、シャウトをかましている訳でもないんですけど、聴けばもうLOSTAGEだ!っていう。そんな一曲。


例えば、
ストイックという言葉がありますが
365日24時間そういう気分でいられるか?って言えば違うと思うんです
日本人は見栄っ張りだから常に「頑張ります!」って姿勢を見せたがるものなんですが、
ぶっちゃけそれはハリボテというかインチキというか、そんな気持ちばっかりな訳がないんですよね
いや、中にはいつもそういう気持ちで居られるのが俗に言うスーパースターなのかもしれませんが、
現実的に考えた場合ある程度ガスを抜かないと精神的に無理が祟る場面の方が多い
頑張らなくちゃ!って決意する時間も大事ですけど、
妥協ではなくここはそこまで頑張らなくてもいい。っていう時間を選択して作っていく事も大切だと思うんです
一瞬で終わるような短い人生ならば、常にストイックでも構いませんが、大抵引き延ばしの漫画みたいにダラダラ続くんだから(笑
良い意味で適当に、ガスを抜いてあげる行為も必要なんじゃないか、と・・・そんな事をこの曲からは感じました
「競争に飽いて」って歌詞がまたそれを深く象徴しているなあ、、、って個人的には強く思いますね

順不同・・・
誰かと自分を比べてその出来や差に落ち込むのもよくある、むしろ茶飯事ですが
ただ最終的にその考え方で行くと誰もが誰もに劣っていて頂点には一人しか立てない訳なんです
じゃあ、その頂点にいる人や付近の人々しか幸福ではないのか?と言えば、それは違いますよね
要するに、キリがないんですよ。そういう行為、というか思想には。
だったら、もう最終的には順不同ですよね
今の自分の幸福をちゃんと認めて、誠実に一歩一歩進むことを誓って・・・
本当は誰が勝利者とか敗北者もどうだってよくて、ただ目の前にある興味や壁に邁進していけばいい。
それだけの事だと思いますね。それもまたこの曲を聴いて感じたことであると同時に、
「競争に飽いて」って歌詞自体が岳久さんの本音なのかもなあ。って推測してしまいますね。
格好良くもシビアできちんとロールしているLOSTAGE従来の魅力に満ちている一曲です。またドラムが凄まじくキマってます。








アルバム全体のレビューもぜひ
In Dreams/LOSTAGE



LOSTAGE「In Dreams」全曲レビューその1「さよならおもいでよ」

2017-06-22 | LOSTAGE「In Dreams」全曲レビュー








借りてきた借り物は
いつの間にか壊れてる
同じように揺れている
同じように目を逸らしている
私のもの
私の心 (さよならおもいでよ)







ここ日本では所謂・・・
人と人との間に「流れ」があって、
そこを上手く泳げないとついていけなくなったり、苦しい気持ちになったりする訳なんですが
そこに上手く順応しようとして、自分を捻じ曲げてまで「誰か」の振りをしたところで、
本当の意味合いで救われるのか?って言えばそれは違う気がする
自分の思ってもない事をいって、
「みんな」に合わせて本音を押し殺して・・・

それで流れに乗れたとしても、、、
楽しい人は楽しいんでしょうけど、自分は正直それを「悲しい」って思うんです
「それ」は自分の感情じゃないし、「それ」で例え上手く行ったとしても、本当の自分が消えてしまったようで空しい

借り物の感情で満たされた振りをしても、
自分が求める“本懐”には一歩たりとも近づけない事を、俺は知っている
だからこそ、この曲のそんな歌詞にはグッと来たし、正直聴く度に頷いてしまうんです
本当の自分だけを、
本当に追及していたい。
借り物の自分なんて所詮ハリボテに過ぎなくて、
誰かに溶け込むことを諦めてまでも守りたい「俺自身」が存在している・・・
からこそ、シンパシーを(勝手に)感じるし、聴いてて泣きそうにもなるんでしょうね

別に、泣きそうになる/泣きそうにならない、なんて音楽の絶対的な価値ではないけれど
ただこの曲を聴いてると、やっぱり「本当の自分」で勝負したい、
それで負けたとしても、それはそれで仕方が無い。
そんな風に思えるし、
そういう「自身を貫くこと」を頑張れとか諦めるなみたいな陳腐な言葉で表現せず、
あくまで間接的に表現している粋な部分が光っているロストエイジの新しいアンセムだと思います
疾走感溢れるバンドサウンドに、要所要所でダイナミックに迫る音塊の爽快感など、
まさにファーストアルバムの一曲目のようなみずみずしさに満ちている定番化必須な新曲ですね
イントロだけでも今作に込めた気合が直で伝わって来る、本当に素晴らしい一曲です。








今は、「手前らしく生きる」事が、
繋がり繋がろうの時代になって来ていて(雰囲気的に)貫き難い時代なのは確かです
でも、だからこそ、そこで泣き寝入りするんじゃなくて、
孤独を選んでまでも本懐を選ぶ事も時には重要なことのように思えます

「誰か」に自分を寄せたって、
「誰か」になろうと頑張ったって、
「誰か」の真似して安心感を得たって、
結局は「本当の自分」が死んでいくだけ。
だったら、惨めだとしても、「愛されない自分」を選んだ方がまだマシに思える。
そんなマイノリティに贈る最高の応援歌だと思います。超自分勝手な聴き方ですけどね(笑