サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

【誰よりも蒼く】灰と幻想のグリムガル 第9話から第12話(最終回)「また明日」までの所感

2016-05-05 | 灰と幻想のグリムガル
                                 
                                こんな星空をいつか観てみたい。











第8話である種「やり切った感」が(個人的に)あったので、
そこで満足してしまってGWに入るまで手付かずだったグリムガルを最終話まで観た
こういう観方は邪道かもしれないが、観たいタイミングで観たいペースで観る~という「選択」も時には必要だろう
余韻を十二分に消化した今、満を持して観た結果最高の観心地でアニメ版を消化出来たなあ、というのもまた正直なトコロなのだ。


最初は正直「強い」とは言い難かったパーティが
しっかりとした「経験」を積み重ねて徐々に強くなって行く様は快感としか言いようがなかったし、
これもまた正直な話この手のファンタジーもので本気でハラハラする経験も最近は少なくなってたので
その意味では久々に本格ファンタジーアニメに夢中になれたなあ、、、って感覚が自分の中にはある
まあぶっちゃけこういう弱い者同士が必死に足掻いて勝利を掴み取る~という作風自体が希少になってたからね
これを機に、もうちょっとこういう堅実な作風が増えてもいいんじゃないかな、とか感じる次第であります

特に、ランタとハルヒロは死を感じさせるピンチがあった訳だけど
あそこはマナトが「あっさり死んだ」という過程があったからか、
本気で死んでもおかしくはない~って思いながら観てましたからね
特にランタの場合は死して「実は勇気あるヤツだったのだ~」って評価を高めるパターンになってもおかしくなかったし、
下世話な話そうするだけの尺もありそうっちゃあありそうだったので(笑
“このアニメならやりかねない”って思わされた時点で負けだったんでしょうし、
逆に言えば「死ぬ人物がいる」からこそ生まれる緊張感やスリルも決して否定は出来ないな。と感じました
そういうのは時に安易な死とか揶揄される事もあるけれど、でも死者が出るから物語にドキドキ出来るのもまた否定は出来ませんよね
特にランタは個人的に大好きなキャラクターだったので終始心配してましたね笑





ランタが好きだったのは、
所謂記号的に整理された「良い子ちゃん」じゃなかったからです
彼の意見には間違ってる部分もあったけれど、
それでも彼がいつも前線に立ってみんなのピンチを少なくしていたのもまた事実
“素直になってくれない少年”がいつも物語の大事な部分に存在していて
そのリアル感・・・・というか、
パーティと言えども結局は「違う人間の集まり」だったのがある種のリアリティを生んでいて良かったのかもしれません
その中で悩んだり、衝突したり、その結果「何とかなった」りするのがロードムービーっぽくて個人的に大好きな部分でしたね
都合の良い人形じゃないんだから、時に主義主張の過程でぶつかる事もある
今は安易に「分かり合える」というテーマを描きがちですが
違う人間同士なんだから安易に分かり合えない事の方が正直多いと思います
それでも、二人は同じパーティに存在し続け、
なんだかんだ言いつつもお互いの存在を認め合っている
気持悪いくらいにベタベタして馴れ合ってるよりも、
ある意味そっちの方が本当に分かり合ってるようで素敵だなあ、、、と自分的に感じました





ランタは不器用なヤツだけど、
ランタがいなけりゃピンチだった場面がいくつもあった
主人公であるハルヒロ自身もランタに命を救われた
不器用で、生意気で、素直さの欠片もなくても
実は誰よりも身体を張って、
仲間の為に戦っている・・・そんなランタが個人的に大好きでした
文句を言うのは簡単だが、実際に最も積極的に敵と戦っていたのはランタその人である
そんなランタだからこそ、本当はそれを分かってたからこそ、ランタを救おうとみんなが一つになった
皮肉にも、輪を乱していたと思われるランタの奮闘で再びみんなが一つになる・・・というのがまた良かったですね
結局のところ、みんな「パーティの為に」という部分に関しては何一つブレてなかったんですよね。



この表情が彼女の成長を物語っている。


過去のトラウマも乗り越え、
現在のいざこざも乗り越え、
最後の最後には「なんだかんだ」素敵なパーティになる事が出来たハルヒロ達
ハルヒロがランタに託したのはきっとランタを認めてたから、
そして、ランタもきっと―――

あの頃はいっつも不安そうで、
笑顔なんか滅多に見せなかったシホルも自分の強さを認められるようになった
誰もが誰も、惨めで頑固で弱かった自分を乗り越えて確かな「成長」を見せた・・・と考えると
これ以上ないくらいのエンディングだったかもしれません

振り返ると、
「最初だからきっと弱いよね」
「人間関係もきっと息詰まるよね」
「男女関係もきっとぎくしゃくするよね」
という、
ある種“当然の疑問”が気持ちいいぐらいに反映されていて、
尚且つ向き合って描き切ってくれた誠実さに溢れるアニメ作品でした
日常描写への飽くなきこだわりに関しても終始見事でして
そこはきっとモグゾーの貢献度が高いと思われますが(笑
今のアニメ全体に於いては、
間違いなく異質な雰囲気を放っていた作品であり
だからこそ愛される事にも成功出来た作品なんじゃないかな、って思います
今多くの作品で無視されがちな色々なテーマを敢えて何度も拾い上げてくれた傑作
昔ながらの「主人公がちゃんと苦戦するRPGもの」がお好きな方にも通じるんじゃないかな・・・って思います
個人的には前期で一番好みなアニメでした。BDも購入して2期が出来るよう貢献しましょうかね(笑
まだ、恋愛面に関してはまだまだ掘り下げられると思いますからね。それも生々しく、ね笑















最後までマナトの事を忘れないでいてくれる脚本も秀逸ですね
マナトとはまた違うリーダー像を(ランタの助言を加味して)目指してもらいたい。と思います
本当に誠意溢れる作りが素晴らしくて、心から大好きだ!と思えるアニメでした。是非。



【空に溶ける想い】灰と幻想のグリムガル 第8話「君との思い出に」 感想

2016-03-01 | 灰と幻想のグリムガル
                                  
                                メリイは好感度上がったなあ(笑









当たり前と言えば当たり前ですが、
主人公たちの敵として存在するゴブリン達にも「生活」があって「楽しみ」があります
彼は彼らなりに、彼らの考えに基づいて行動している人間と同じ“動物”に過ぎなくて
その行動原理はきっと「生きる為」だったり、「仲間を守る為」だったり、人間とそう違うとは思わない
所謂勧善懲悪とは全く違う作中観と演出によって物語が進められていくある種の誠実さはこの話数でも光っていて
思わず、感動を誘っている訳でもないのに不思議と泣きそうになりがら観てしまいました>Aパート

そりゃどっちも生き抜く為に必死ですし、
あの仇役だったゴブリンだって殺されそうな仲間を守る為に放った矢がメリイに突き刺さったあれなんですよね
でも、だからといって、必死だからと言って生き残れる訳でもないのが勝負の常
勝敗はいつも紙一重で、そこには正々堂々なんて価値感も
敵を倒した爽快感なんかもあるわけがない
残るのは、
生きている方と
死んでいる方。ただ、それだけ。
でも、ゴブリン達にも暮らしや仲間想いな一面、みんなで集まって楽しむ豊かさがあったのもまた事実
それを奪うという事、それ即ち、生きるという事なんです。そんなこの世の理を表現していたような作劇は間違いなく今期では唯一無二だと思いました。





戦いは、楽しい事なんかじゃない
生きる事は、楽しい事よりも辛い事の方が圧倒的に多い
ハルヒロ達は、常に苦しんだり、もがいたり、努力し続けて今回のラストまで辿り着いた
だからこその、説得力のある達成感の描写・・・がまたグッと来る仕上がりになっていたと思います
人間は人間で、感情の動物だからそれこそ仲間を失った時の悲しみや苦悩は他の動物とは比較になりません
このパーティも、何度も躓いて、何度も遅れを取って、何度も衝突を繰り返したけれど
でも、最終的にはみんながみんなを思い遣れる関係性にまで進化した
メリイも、笑顔で「また明日」って言えるようになった
そのカタルシスは、
正直すっごく大きいもので
文句の付けようがない“結実”を見せてもらったなあ・・・というのが個人的な本音ですね。





打ち解けるまで時間がかかっても、
成長するのに時間がかかっても、
一つになるのに時間がかかっても、
それでも「このパーティだからこそ」の充足感も間違いなくあると思います
それは他の何もかも上手く行って主人公達とは遥か先の地平を歩いている連中から見たら
とても滑稽で、評価するに値しない歩みなのかもしれない
だけど、ハルヒロ達はきっと分かってる
理解してる
自分達にはスマートに生きれる器用さも、間違いなく生きれる利口さも持ち合わせてはいない
そんな自分の弱さと立ち位置を認めて、それでも腐らずに歩いて行くある種の力強さのある作劇だとも思います
大分遠回りしたけど、大切なものも失ったけど、それでも「また明日」って笑顔を交わせる「今」がある事もまた現実ではあって。
何もかもが上手く行かなくても、致命的な失敗を犯しても、それぞれに足りない一面を持ち合わせていても
ちゃんと進み続ける限り、きっと成長は出来る。今の自分達を誇らしく思う事だって出来る。
そういった・・・とても現実的かつ地に足のついたメッセージ性を感じる事が出来たのが個人的に嬉しかったです
例え能力が他と劣っていても、限りなく不器用でも、それでも生きてるんだぜ、成長出来るんだぜ。っていう
そういう角度からの切り口が今となってはとても新鮮で、そこに魅了されている気も観ていて感じられた8話でもありました。





何よりも、このパーティは「7人」だって事を忘れずにいてくれたのが嬉しかったですね
メリイともちょっと距離が縮まって、何となく通じ合えた気もするけど
それでもマナトの事を忘れた訳じゃないし
忘れる訳もない
そこで語られた「(マナトのことを)知りたかったな」「時間が欲しかった」という正直な気持ちもまた秀逸で
ここでも観ていて泣きそうになってしまったんですが(笑 視聴者にとってもそれは同じ思いで
完璧に見えてたけど、本当は弱い一面があったのかな。とか
もしかして前の自分を覚えていたのかな。とか
色々気になるじゃないですか
だから余計に、ハルヒロ達の気持ちに感情移入出来て泣く手前まで心を揺さぶられてしまったのかもしれません

その後の「俺たち、いいパーティになってるだろ?」って問いかけと表情こそが
ここ数週の「再生」を描いて来たグリムガルがきっと目指していた“結実”であり
中盤に於ける最も大きなカタルシスの表現であった事は間違いない
失敗もしたけど、
迷走もしたけど、
結果的にはあの日敗北した思い出から一歩成長する事が出来たよ。
あの時とは違って、ちょっとだけマシになれただろ?俺たち。っていう
ハルヒロ達の心情が伝わって来るようで本作でも格別の名シーンだったと思います
メリイの気持ちも乗せて、伊達じゃなく本当の意味合いで「7人のパーティ」になったんだなあ・・・という気がして
観ていて何だか感動が止まらなかったですね。それを大げさに描くでもなく、自信満々に言わせるでもない
敢えて淡々と、それこそ演出上のアイテムだった雪のようにしんしんと素朴に描いたのも
きっと「灰と幻想のグリムガル」の“誠実さ”の一つだったんじゃないかなあ、、、と
個人的には思いました。
あの日から各々が各々の気持ちを抱えて、
それでも泥臭くここまで来た道のりを認めてくれるような「達成感」が確かにあった傑作回だと。
一歩一歩確実に、丁寧に編み物を編むような作劇の素晴らしさがここに来てより高まった印象ですね。
それは、きっとこういう作劇でしか得られないカタルシスなんだと思います。大好きです。
















メリイもメリイで彼女のペースで段々と馴染みつつある
まだ上手くは笑えないけれど、それでも微笑みを他人に向けられるまで立ち直る事が出来た
それはある種の成長でもあり、これもまたここ数週描いて来たドラマの結実であるんでしょうね
散々メリイは笑わない、って強調されて来ましたからね。そんなメリイが笑い始めた。
それもまた大変価値のあるお話だったんじゃないでしょうか。
今期でも指折りにお気に入りのアニメです。




【一歩一歩確実に進む快感】アニメ「灰と幻想のグリムガル」第6話~7話の混沌と光明に対して

2016-02-28 | 灰と幻想のグリムガル
                                  
                                 この絵、本当に好きだなあ。










主人公であるハルヒロは、メリイという言わば新人、、、というにはあまりにも取っ付き辛い存在に対して
独り言で、あまりにも忌憚のない本音である「めんどくさい」という言葉を吐き出します
それはあたかも仕事場での人間関係の構築に疲れ果てた俺やあなたの独り言のようで・・・
って別に疲れてなかったらすいません(笑
でも、妙に生々しいんですよね
普通だったら、あそこは「頑張るぞ!」とか、或いは特に弱音もめんどくさいという発言もせずに上昇志向を纏ったまま進むのがセオリーの筈です
でも、それを許さないのがグリムガルの特異性・・・なんだ、と個人的には観ていて感じました
普通のアニメならこんな部分はカットしないと思うんですけど、そこも切り取るのがこの作品の持つ「誠実さ」な気はします
まあ、アニメは娯楽作品で、元気になる為のもんだ!って主張もあるでしょうし
これが100%正解とは決して思ってませんが、
ただ、こういう描写の数々が深く印象を残してくれているのも間違いありません
敢えての長回しで主人公たちの苦悩を切り取る手法に個人的には惚れ惚れしています・・・って話ですね。
もっとはっきり言っちゃえば、そういうハルヒロの気持ちに共鳴しちゃってる部分も正直強いです
仕事は、仕事内容よりも人間関係の方がぶっちゃけ辛いし死にたくなりますからね!(笑)。





ただ、ランタの云う「辛い過去があったから優しくしてあげなきゃいけませんねー」っていう皮肉もまた正しいと思います
辛い過去があったから、悲しい出来事があったから、不出来でも許してあげなきゃ!っていうのは違いますし、
それは同情にも成り得てない単なる“見くびっている”行為だと個人的には思います
辛い過去があれば、何もかも許されるというのは完全に「甘え」である

だからといって、単純に切り捨てても何も始まらないのもまた事実
治療役が居なければ、このパーティの実力では致命的なのは火を見るよりも明らか
そこで、話し合って、もっと理解を深めようと尽力して、分かってもらおうと思って頑張って
結果的に一つにまとまり始める・・・という作劇は正直観ていて泣きそうになりました
あのメリイが、ぶっきらぼう過ぎて「なんなの!?」って思えたメリイが、
みんなと一緒に食事してるよ・・・!っていう唯一無二の感動。
別に、すぐに解決しなくてもいいし
今すぐに何もかもが上手く行かなくてもいい
例えまだまだだったとしても、今はパーティとして確実な一歩を・・・という作劇は繰り返しますがやはり「誠実さ」そのものだと思う
この快感、達成感は兎角無双する類の作品では決して生まれ得ないテイストであり
批判でも何でもなく、ただ単純にこういう作風が少なすぎるのではっきりと「もっと増えて欲しい」と思いました
ハルヒロも、ランタも、ユメも、シホルも、モグゾーも気が付けば各々で成長している。
ちょっとづつだけど、「パーティ」になりつつある。
まるで安西先生が花道を見守っている時の悦びの様な快楽性のある作品ですが(笑
ようやく、まとまり始めたこのパーティ、今夜放送される第8話で一つの「結実」を期待しているのは書くまでもありません。
最早、「灰と幻想のグリムガル」が大好き!って言えるレベルです。そんな訳でBDも楽しみにしています。





また、このアニメは「キャラがつまんなそうにしてる顔」がやたら多いのが好きですね
世の中やたらと「笑顔!笑顔!」と押し付けがましく感じる時もありますが、俺個人的には苦悩してたり、アンニュイな表情に救われる事も多々あります
そんな自分にとって、そういう表情もちょこちょこ挿入して来てくれる今作は正にオアシスのような作品というか(笑
痛みがあるからこそ、そこを乗り越えた快感も存在する。
そんな事を示唆してくれるアニメとしても大変好みであります。はい。





同じ「仲間を失った」存在として、
同じ「痛み」を持つ存在として
今はまだ分かり合えなくても根気強く付き合っていずれ「本当」を手に入れればいい
そもそも容易く手に入る程度のものなんて結局「本当」とは呼べない
時間を掛けて、仲良くなっていく
気付いたら、いつも側に居る・・・
それが本当の仲間、絆なんじゃないかな。って気もしてます
その片鱗が垣間見れただけでもこんなに嬉しいのだから、この先もっと嬉しい気分になれるのは間違いない(笑
 ゴブリンスレイヤー=雑魚専用、などと揶揄されてても、それが事実と受け入れるハルヒロもまた大人になったなあ、と
自身のパーティの実力を認めつつ、一歩一歩、急がずに大きくなっていく。これぞ大人の作劇であります
逆に今の無双作劇過多の世の中でこれが中高生に受けてるのか?と言えば若干不安な部分もありますが(笑
まあでも、俺個人的には助けられてますよ。って事で。
何と言われようと、
何と蔑まれようと、
俺は俺の道を往く。
その先に「何か」が待ってるなら、そんな素敵な事はない。
そんな“未来”に期待がしたくなるアニメです。改めて、推す意味合いを込めて。





しかしこのアニメ「間合い」もまた独特ですよね。
テンポの良さよりも、キャラの心情が落ち付くのを待っているかのような間の取り方が素敵で
そういった演出面もまた注目の作品 7話の後半でいきなり勇敢な劇伴が流れ始める思い切ったセンスといい
脚本や妙に色っぽい作画だけではなく、演出面も優れた作品だと思ってます
5羽だった鳩が、
いつの間にか6羽になってたりね・・・。
そういう細かいトコロもまた注視しても面白いんじゃないか、と。
それぞれがそれぞれに成長して、堅実に成果を挙げて行く。
そんなドラマを是非味わって欲しいです
あとさり気に防具ネタにも触れている抜け目の無さもまた称賛されて然るべきかと思います。意外とノータッチですしね(笑














サービスも毎回素晴らしいですね(笑
やっぱり、ユメは意外とセクシーで最高ですなあ・・・(超笑顔)7話ラスト付近のおしりも超良かった。
BDの特典、楽しみにしてますよ。・・・本当にね!



【レベル1からの冒険譚】「灰と幻想のグリムガル」の作劇の誠実さに関して~5話までの感想

2016-02-09 | 灰と幻想のグリムガル
                                   
                                 独特の背景もまた魅力の一つ。
                                 特にこのカット超好きです。










皆さんはファミコンの「ドラゴンクエストⅡ」をプレイされた事があるだろうか
自分はドラクエはファミコンのⅢが初体験で、Ⅱはそこから遡ってプレイしたタチなのだが
最初から有能な面々を連れて歩けるⅢとは違って脳筋・器用貧乏・非力というどいつもこいつも何かが足りない面々、
かつ雑魚敵にすらあっさり殺されたり全滅させられてしまうナチュラルなハードモード、
更に途中から(明確な)ヒントも少なくなり攻略自体も困難になっていくという三重苦を抱えたゲームだったのだが
いつ詰むか分からない、いつ全滅するかもしれない「ドキドキ感」があるのもまた事実で
あれこそ本当の意味での「冒険」と言っても構わないんじゃ、と今では思う位である
何が言いたいのかというと、今アニメ「灰と幻想のグリムガル」にもそんな「冒険」的要素がたっぷり詰まっていて世代的に堪らない、という事です




まず、最初の内は一匹のゴブリンを倒すにも四苦八苦していて
一匹を倒すのに6人がかりでようやっと、というリアルRPG的要素がたまらなく面白いです
敵も「悪」ではなく、お互いに「生きる為に」戦う~という勧善懲悪からも完全に外れた作劇は
誠実以外の何ものでもなく、無暗に主人公たちを正当化もしない生々しさに満ちています
最初の敵をようやく倒せた時、涙を流しながら二律背反の気持ちに溺れている様は
色々な意味で感動的であり、叙情的であり、また達成感と空しさに満ちている複雑な相様を醸し出していて
ここには本当の意味での「冒険」、必ず勝てるという保障も自分が正しいという理由も何もない
そんな良さが確実にある!と自分の中で確信を持てました。生きるという事は「他人の椅子を奪う」という事ですからね。





しかし、そのまま「上手く行かない」相様もまたRPG的に超リアルであります
ドラクエⅡで言えばキングコブラやバブルスライムを楽に倒せるようになってドヤ顔で次のフィールドに進んだら
マンドリルやリザードフライに何度も惨殺、死滅させられるそれそのものですね
或いは余裕ぶっこいてしたり顔で宝物庫の番人に話しかけたら一気に殲滅させられるドラクエⅥの某光景にも通じていますが(笑
弱いゴブリンは余裕で倒せるようになり、なんだか楽観的な雰囲気がパーティの中で滲み出ていて
自分達の強さを勘違いしたトコロに更に頭がキレて強いゴブリンが登場、あっさりと、そらもうあっさりと仲間の一人が死んでしまうんです。
正にこれも「RPGあるある」と言っていい内容であり、他の作品が描いていない“厳しさ”であったと思います
自分達の強さを過信し、自分達のポテンシャルを勝手に多く見積もった「慢心」と「油断」から来た悲劇であり
最初からレベル99で無双出来たり、何もかもが上手く行く安易な作劇とは一線を画した生々しさを感じる作品ですね。

更に言えば、人間関係でも不信感があったり、不協和音が発生したりする徹底っぷりで
そういういちいち下らない事に引っ張られて冒険が上手く行かないジレンマも描かれています
まあ勿論時折は良い事があったり、成長を感じれたり、美味いものも食えたりと「達成感」もきちんとあります
だけど、そんな「達成感」を得るには時に骨を折ったり、死ぬほど苦労したり、逆境から足掻く事が大切なんだ―――――。
そういう事を丁寧に教えてくれるアニメにも(まだ途中ですが)既に仕上がってると感じています。

まあ、先述はレベル99だの安易な作劇だの批判的要素が強いと勘違いされそうな言葉も並べてしまいましたが、
逆に全部が全部これでも辛いでしょうし、やっぱりそこはバランスが重要になってくるんだと思います
要するにたまには「こういう作品があってもいい。」って事を伝えたいんですよね。
そりゃストレスフリーなのも十分楽しいけれど、
レベル1だからこそ、
誰もが誰も何かが足りないからこそ得られる充足感だってあるんだ。って話です
そしてそれを今期最も期待して良さそうなのがこの「灰と幻想のグリムガル」という感想ですね。





誰の所為にも出来ない、
誰もスーパースターなどではない
だからこそみんなが抱えている苦悩や苛立ち、諦めが吹き出し
やや退廃的な空気が漂う最新話(5話)は正にブルースそのものな内容でした
このやるせなさ、いたらなさ、どうにもならなさは(酒浸りという背景も加味して)現実のそれにも近いリアルさが含まれてましたが、
最終的にみんな(というかハルヒロとユメ)が導き出した結論は「みんなで補いあって頑張る。」というものでした
誰かに頼りがちな間抜けさ、滑稽さ、至らなさ、弱さを全部捨てて
それぞれがそれぞれに補い合って、支え合ってやっていこう、という
至極真っ当な結論で
誰もがそれぞれにダメだった。と認める展開もまた誠実そのもので魅入ってしまいました
でもそれもまた、パーティとしてもレベル1だった事を示唆してもいて、個人としてだけではなくパーティとしても成長して行く布石なんでしょうね
兎角、レベル1のまま未だに足掻いている彼らが、どんどんと少しずつレベルを上げて行く様相を見守るのが今はとても楽しみです
それと、ユメちゃんがあまりにも可愛すぎるので恋愛方面にもちょっと期待しています(笑
本当に、本当の意味で彼らの戦いはまだ始まったばかりなのだから。





しかし、男女パーティだからかちょいちょい官能的な要素が出て来ますね
長回しも多いアニメなんですが、最新話でのハルヒロとユメの終盤のあれに関しては
そのまま出来ちゃって、部屋でSEXに興じちゃってもおかしくない流れになってましたね
ユメも意外とセクシーで、非常に“オンナ”らしくて、めちゃくちゃ可愛くもあって興奮しちゃいましたよ(笑
そりゃシホルも・・・というか、シホルでなくても誰でもあれは勘違いすると思うんだけど笑
恋仲だと思われるわなあ、、、っていう。演出もまた素敵なもの、
キャラクターの心情に寄り添った演出が多くて
その意味でもおススメの作品です
ドラクエⅡだって、それぞれ単体では決して優れているとは言えない面々でしたけど
役割分担はきっちりしてましたからね。だから、このパーティの面々もそんな風に補いあって成長していってもらいたい。そんな風に思ってます。















あと、アイキャッチイラストも毎回センスあって最高です
浅賀和行さんによる臨場感たっぷりのバトルアクション、
監督の中村亮介さんによるキャラの心情に寄り添ったコンテ構成もまたいちいち面白いのでその辺にもまた注目です。
個人的にはランタが一番人間臭くて好きだったりします(笑 でもユメも大好き。