サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその11「いこうよ」

2018-11-21 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー









きみが生まれ変わるしかないくらい
美はきみを叩き壊し 焼き尽くす









最後の曲です。
この曲は、ズバリ名曲です。
名盤のラストを飾るにはこれ以上ないくらいに相応しい、
ただきれいにまとめるだけではなく“その先”まで思い描かせる力のある確かな一曲に仕上がっています
浮遊感のあるメロディとアレンジ、その多幸感に酔い痴れつつ、終盤には爆音の渦が押し寄せ、
まるで飛行機のフライトのように聴き手に前を向かせる効力のある楽曲だと思ってます
何より、その気持ち良いくらいのシンプルな爆音のぶつかり合いによるカタルシスが大好きな一曲ですね
ライブで聴いても純粋なノーベンバーズの格好良さに痺れる事が出来る最新のアンセムだと思う。
まあ、結果的にこの後「TODAY」が出て最新ではなくなってしまったんですけど(笑
それでもあからさまに「未来」を感じさせるこの音飾は素晴らしいな、と。


結局のところ、
これまでの自分を壊すのは自分でしかなくて、
退屈な風景や満たされない現状を打ち砕くのは自身の手や足でしかない
それに気付けるかどうか、
或いは、
気付いた上で感じた絶望を堪えて、
それでも前に進めるかどうか・・・が大事なんじゃないか、って思います
待ってても動かない
期待しても救われない
だったら、
少しずつでも手前の足で進んで「何か」に向かうのが一番泥臭くて美しい行為なんじゃないか、と。
この曲を聴いていると、そんな事を痛感しますし、シンプルな「行こうよ。」というメッセージ(に似た何か)が、
素直に心に響いて聴き手の背中を押してくれる・・・そういう確かな力がある名曲に仕上がってると感じます。




同じ場所で
じっとするのに
今日も忙しい
あまりに退屈な
長い旅行



「諦めるな」「頑張れ」「負けるな」とかも直接的かつ小細工の無いフレーズで嫌いではないですが、
こういう風に直接的ではなく間接的に聴き手に頑張らせるような効力を含んだ練り込まれたフレーズも大好きです
自分を楽しくするのも、自分を満たしていくのも、自分の人生を変えて行くのも全て自分次第。
分かっちゃいるけど、中々実行出来ないお間抜けな自分を叩いて目を醒まさせるような痛快な一曲、
それと同時に、
傷付かない安全な場所にずっと留まっていると、
そこから一歩動くのですら難しくなってしまう・・・という、
ある種の皮肉と教訓が効いてるのも聴いてて面白い楽曲だと思います。

何かを変えるのなんて、
本当は大したことでも何でもなくて、
そこから一歩動くだけ、
そこから石ころを投げこんでみるだけ・・・で、
いつだってそれが(人にとって)変化するチャンスなんだと感じますね
そんな気持ちを高揚感に満ち溢れた爆音で彩って送り出す渾身のロックアンセム、
最後に子供たちの楽しそうな声で終わるのも「あの頃の純粋さを思い出してみれば?」という問いかけのようにも思える、
そんな捻られた演出も光っているのもノーベンバーズらしい“粋”があって大好きな曲ですね。
正にロックバンド然としたスケールのデカさが堂々と響いてるのが最高です。








以上で、
ノーベンバーズの最新の最高傑作である「Hallelujah」の全曲レビューを終了します
ここまで読んでくれた人が居ましたら本当にありがとうございました。
既に来春、新譜が出る事はアナウンスされておりますので、
また新しい作中観に触れるのも楽しみです。
その前に、ライブにも行きたい!




THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその10「あなたを愛したい」

2018-10-07 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー









あなたを愛していなかった
あれは僕だけの恋だから








あなたを愛したい・・・なんて直球なタイトルなんでしょう、って思いましたけど
逆にこれくらいストレートだと新しいのかもしれないなあ。。
内容は、
タイトルとは裏腹に相当かしましい
メロディとテンポこそ毛布のような優しさに溢れるバラッド~という雰囲気ですが、
そのバックで鳴ってる音が異様に爆音でずっと歪んでいる・・・という
非常にオルタナティブな音像に仕上がっています。
ただ、
シューゲイザーのような轟音をバックに常に優しいメロディが鳴っているので、
その意味ではむしろ心地良い違和感を覚えながらじっくりと聴くことが出来る楽曲になっている、と言えます
実際にライブで聴いても「救世なき巣」と同じくらいうるさくて気持ちが良い(笑)曲だなあ、と。


この曲で歌われてるのは「決意」ですよね
誰かを愛する事って決して簡単ではなくて、
何故なら自分の想い通りに動く人形はこの世に存在しないから・・・なんです
全く同じ人間ではない、って事は
要所要所でズレが発生する~という事でもある
当たり前だけど、
今現存している人たちは、
そういう「当たり前」を乗り越えて存在しているんだなあ。という尊くも険しい事実を突きつけられる曲でもある
別に恋人とか夫婦とかだけではなく、友人だったり友人とはいかずとも通じ合ってる誰かにも通ずる
誰かに優しくすることや、
見返りを期待せず想いを込め続けることって実は消費のエネルギーが物凄かったりもする
通じないとヘコむし、自分で勝手に落ち込むし、本当に簡単なようで何よりも難しいこと
この曲は、
決して有り体なラブソングではなく、
「愛」は挑戦であり痛みを我慢して乗り越えるもの・・・という
生ぬるさを一切排除した切実かつ堅実な歌詞になっていると思うんですね
そういうシリアスな内容をここまで気持ち良くスッと聴かせるセンスもまた凄い一曲

「愛」は、口で言ってすぐに手に入れられるものでも元々あるものでもない
頑張って努力して這いつくばって、その先に得られるものなんだ、と。
そんな事を雄弁に語りかけてくれる素晴らしい一曲です。

けど、
純粋に“優しい気持ち”になれる曲でもあります。
その「ズレ」すら楽しめるようになったら、きっと一人前なんでしょうね。




THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその9「ただ遠くへ」

2018-02-02 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー









辿り着けなかったのは
海が遠かったからじゃない
ここにいる理由は
海が遠かったからじゃない 










この曲はアルバムでも屈指の名曲だと思います
丁寧なメロディに美しいアレンジ、まるで海の中を漂ってるかのような気持ち良さがあって、
ライブのセトリを見てると今でも時々演奏されているわりかし人気の高い楽曲だと思われます。

冒頭に挙げた歌詞は、
「風」のサビに次いで個人的に特にお気に入りのフレーズなんですが、
この詞ははっきりと「こういう意味なんです。」って告げず、
聴き手の聴き方に委ねる類の歌詞にもなっていて。
そこが、
自分的にはある種の(聴き手に対する)信頼を感じるというか、
聴き手を見くびってないノーベンバーズの“誠実さ”がよく出ている秀逸な一曲かな、と。
どうとでも解釈出来るというか、想像次第で意味合いも変わる面白いフレーズに仕上がってると思う。


結果的に、
自分自身で選んだ道(物)の所為で豊かさに辿り着けなかったとしても、
圧倒的な同調の前に屈したとしても、それを「間違い」だとか「ズレ」だとか
そういう言葉で一切形容せずに「これで良かった。」って思えればそれはそれで正解だと思うんですよね。
そんな風なイメージを上記の歌詞から感じてたりもするんですが、
同時に、
目標が高かったり不可能だから辿り着けなかったのではなく、
自分自身の不甲斐なさによって辿り着けなかったんだ。という意味合いにも受け取れると思います
だからこそ、それを自覚して、考えて、もう一度「海を目指す」という水面下のメッセージにも聴こえたり
ポジティブな意味にもシリアスな意味にも捉えられるある種の“自由さ”が存在しているのが何よりも粋で、
確かに芸術性を感じられる一曲になっていると個人的に思います

選んだら選んだ分だけ、
その責任を負うのも本懐を遂げて喜ぶのも自分次第ですから
でもそれを「頑張れ」とか「負けるな」とか「諦めるな」とか「君次第」だとか、
そういうストレートな言葉を一切使わずに聴き手に伝える手法を取れているのが個性であり、
ノーベンバーズの、小林祐介の手腕が光っているなあ、、、って感じますね










ライブで聴いた時、
ちょっと“トリップ感”とすら形容出来る陶酔と、
ライブハウスではなくまるで海に連れてかれたような優雅な聴き心地がドライブ感を伴って、
延々と気持ち良さを提供してくれる感じ・・・が非常に堪らなかったです
最後のサビが終わった後もアウトロがたっぷりと続いていく、
そういう長尺で魅せる小気味良いアレンジにもまた注目です。





THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその8「!!!!!!!!!!!」

2018-01-16 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー











瞼を閉じて暗がりしかないなら

それがおまえの想像力 (!!!!!!!!!!)










この曲は、ズバリ短いです
短くて、ソリッドで、シンプルなロックンロールナンバー。
純粋に音の強度とリフの鋭さにドキドキ出来る類の楽曲になっているんですが、
そこはノーベンバーズの事なので、ただノリだけではない示唆する要素もあったりします。


例えば、
「頑張れ」「負けるな」「諦めるな」も十分いい言葉なんですけど、
時にそうではなくもっと違う言い方でそれを伝えて欲しいと思う時もあります
この曲は、
そこでネガティブな想像しか浮かばないのなら、お前は所詮その程度の人間だ。
っていう、やや突き放すような言い方で、でも、確かにそれは「頑張れ」「負けるな」「諦めるな」という
常套句をもっとオルタナティブな伝え方で解き放っているようにも(個人的には)感じるんですよね
そこが素敵であり、誠実であり、そして粋だとも思える・・・
そんなパンキッシュな楽曲でありながら、
確かに聴き手を後押しする要素もしっかりと含んでいる、
そんな“一粒で二度美味しい”勢いも思慮も両方含んだバランスの取れた一曲に仕上がっているかなあと思います。

別に後ろ向きであったとしても良いんですが、
「報われた瞬間」を自分なりにイメージしておかないと
正直日々頑張る事すら困難な訳で・・・
それは精神論ではなく、
端的に言って「テクニック」なんですよ。
しっかりと見定めて、気付いて、実感して達成感を得るのは
捉え方や考え方次第なところもあって、そういう事を聴き手に問うている楽曲のようにも思えます
不健康でも別にいいけど、不健康だったりネガティブに酔い痴れるのは論外だし、ある意味不自然だ。
そういう事をこの曲を聴いていると個人的にまじまじと実感したりします。
スタジアムでも盛り上がりそうなくらい王道のロック感もあって、
ノーベンバーズのお客さんは基本大人しいのでアレですが笑
なんか拳突き上げやモッシュが起こりそうなくらい気持ちの良いアッパーチューンでもあります
ライブで聴くとよりギターのフレーズが格好良く響くので、その点でもおススメ。
まあ今のところド定番って訳でもないんですけどね(笑)。
でも演奏されれば必ず盛り上がる、そんな一曲。





THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその7「時間さえも年老いて」

2017-12-18 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー












この曲を初めて聴いたのはライブでした
その時はノベンバ印のサビでシャウトするロックンロールの亜種、って印象だったんですが
実際に音源が出て歌詞を読んでみるとただチャンスや運命の出会いなんかを受動的に待っている、
そんな行為、というか概念に対するアンチテーゼ的な要素が強いメッセージ・ソングでした。

重厚感のあるビートに、
ガンガンと鳴るドラムの気持ち良さ、
サビでワンフレーズを繰り返す思い切りのいい構成など
緊張感のあるアンサンブルにある種のポップさが混じって
ハードコアでありながら聴きやすい小気味良い一曲に仕上がっています
過去の曲で言うなら「observer effect」をちょっと聴きやすくした感じ・・・かな?


結局、待ってても誰も来ないし
期待しても奇跡なんて起こらないし
自分を変えてくれるエピソードなんて早々なかったりするので、
そうではなく、
手前から動いて会いに行け
手前から頑張って奇跡を起こせ
手前から手前自身を変えていけ・・・という
ある種真っ当なメッセージなんですけど、
それをよくある「君次第~」ってベタな言葉を一切使わずに、
それとなく聴き手に示唆して自覚させる、、、って歌詞のテクニックが凄いですね。
待つことは愚かしい、
待つことは退屈、
待つことは怠惰、
そうじゃなく、迎えに行こう―――――――


そう、この曲はある意味ザゼンボーイズにも通じる、
ノベンバの歌詞では繰り返し歌われている「待たない」という行為を
今一度ブラッシュアップしてポップに、そして激しさも加味して提示してみせている楽曲に感じます
今できる事は今のうちに、今やりたいことは今のうちに・・・
そうして積み上がった先にこそ、
「何か」は存在する。。

ただ、説教臭さは全くなく、
そんな状況に甘えそうになっている自分(または時)に思い切りケツを叩く曲にも思える
結局、“したかったこと”だけをただただ無作為に積み上げて行く人生は空しい。
この曲で歌われている事は正直かなり価値ある事の様に感じる、
そんな一見シャウト系の楽曲に思えて、
実は切実でもある一曲です。
ライブで聴くとケンゴマツモトのギターサウンドが益々キレッキレ且つダンサブルに聴こえるのも楽しいです。



THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその6「風」

2017-11-01 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー









11月になったのでノベンバ聴きまくります(いつも聴いてる気もするが)。









この「風」という曲は、まず音の質感がいいですね
オールディーズのようであり、また90年代のV系っぽいアレンジでもある
とてもエレガンスなサウンドが兎角気持ち良いので純粋に演奏を聴いているだけでも心地の良い楽曲に仕上がっています。

実は、ハレルヤで一番好きな楽曲ってこの曲だったりします。
初めてハレルヤを通して聴いたときに、6曲目・・・というのは大体繋ぎの曲が入ってたりするもんなんですけど、
この曲を初めて聴いた時「これ、シングルじゃん。」って素直に思ったんですよね
極上のメロディ、美しさのシンボルのような歌声と歌詞、
そして雰囲気の心地良さ・・・
唯一3分にも満たない曲の短さがシングル向きではないかな、ってだけで
それを抜きにしてもここまでポップで気持ちが良い曲がこんなポジションに入ってる事にビックリしたんですよね
ウットリしちゃうような格段のポップネスが詰まっている最新作の中でも随一に聴きやすい一曲
先述のようにV系にも通じる耽美な要素も詰まってるのでその意味でもおススメの楽曲
この一年間で通勤や帰宅時、自宅でもすっげえ聴きまくってる曲でもあります笑



風はただ通り過ぎる
僕たちをかまいもせず
いまをただ
ここをただ
通り過ぎる
行き先さえ
告げないまま
通り過ぎていく





歌詞の内容は前フルアルバムの「dumb」を更に突き詰めたような内容になっています
人間、曲げない折れないブレない・・・と口で言うだけなら簡単ですが、
少しの風が吹いただけでそんな意志もいとも簡単に無くなってしまう(ものだと思う)。

だけど、
そんな風自身は何にも影響されず何の躊躇いもなく純粋に駆け抜けていく
ちょっとの揺れも障害も気にせず何食わぬ顔で役割を果たして行く
人間から見たそんな“風の美しさ”・・・が
端的に歌われてますが、
同時にそれはある種のメッセージである(と、感じます)。

気が付けば、
内的要因ではなく、
外的要因で「何か」を諦めてしまっている自分はいませんか?ってこと
そんな下らない言い訳も暗黙の了解もさっさと破棄でもして
ちゃんと自分らしく、
本当に自分がしたい事を真っ当に貫いて生きていこう・・・という
そんな美しさと正しさを聴き手に委ねているようなスタンスが兎角素敵な楽曲でもあります
それをメッセージ風に歌うのではなく、あくまで“風”というメタファーのみで描き切っている、
そういう「粋さ」もまた素晴らしい一曲で聴くだけでその意図はちゃんと伝わってくれるナンバーだと思う。

何より、全体的に優雅なテンションの楽曲なのに、
歌詞を聴いてると不思議と胸が熱くなる・・・
そういう塩梅自体にも魅せられる、
ポップで聴きやすい音像でありながら胸に来る要素にも満ちている極上の一曲です
ライブでも頻繁に演奏しているようで、また生で聴くのも楽しみですね。










何も気にせず、
誰も意に介さず、
楽しみ味わい切るのは存外に難しい。
だけど、
そこを乗り越えた時にこそ、
“本当の気持ち良さ”があるのもまた事実。
「そこ」への想いを掻き立ててくれる、自分にとっては物凄く大事な一曲です。



THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその5「愛はなけなし」

2017-10-22 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー










誰かより何か足りない
誰かより何かが余計で
悲しくなる
悔しくなる
虚しくなる
誰かの何かが十字架











この曲は去年の9月にアルバムがリリースされるその半年ぐらい前から?(多分)やってた曲です
その時は美しいメロディの曲だな~と思いながら聴いていたんですが、
いざ実際に音源で聴いてみると想像以上に歌詞が沁みるナンバーに仕上がっているな。。と感じてましたね。

例えば、
自分も他人と俺自身を比べて
自分の「持ってなさ」に悲しみ、
途方に暮れ奇跡を願ってしまう瞬間が多々ありますが、
そんな自分ですらどっかの誰かにそういう目で見られているかもしれない・・・と思うと
ぶっちゃけキリがなくて、
最終的には誰もが誰も「あいつより下」っていう十字架を持たされるハメになると思うんですよね。



誰かより何かがはやい
誰かより何かがおそくても
どうでもいい
どうでもいい
どうでもいい
俺は俺だけが十字架




ただ、なんというか・・・
ありとあらゆる物事に常に比較対象を置いて
それらを過剰に意識しながら「足りない、足りない」って
そんな風に生きる人生が本当に面白いのか?と言えば疑問が残る
大体、それを繰り返して行きつく先って何??という単純な空虚感もあって
それを考えると、
結局のところ“自分は自分”、
ただそれだけでしかなくて
比較対象なんて昨日の自分だとかさっきまでの自分だとか、そんなもんで十分なのかもしれません
他人は他人の手応えで、俺は俺の手応えで。それを意識すれば、きっともっと豊かに生きれるはず・・・
という想いを聴いていて実直に感じられるアルバムを代表する名曲に仕上がっていますね
正直前半部分に大いにシンパシーを感じつつ、
でも後半部分にも頷ける余地もある・・・という
ある種ネガポジの極みのような曲になっていて、そこも非常にロックバンド的で優れている一曲です
淡々としたAメロから一気にスケール感を増す美しいサビへの変化もまた聴きどころ。









このアルバムの前半は、
歌詞というよりもサウンドの美しさ、格好良さが際立つ曲が目立ってたんですが、
この曲は本作の中でも恐らく随一に歌詞に耳が行ってしまう楽曲に仕上がっているなあ、と思います
それほどまでにこの曲の歌詞は「ああ、そうだよなあ・・・。」と実直に沁みてしまうものになっているかと。
たまには“自分基準”で自分のことを評価して見たら?って話ですね。




THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその4「美しい火」

2017-09-20 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー










つけたり外したりしなきゃいけない
ボタンのあまりの多さに
気が狂いそうになる
正気でいられるなんて
正気じゃないぜ












冒頭からホーリーな雰囲気が心地良い表題曲に次ぐアンセム・ナンバー
正にタイトル通り「美しい」としか形容出来ないアレンジの素晴らしさが光る一曲で、
自分を突き動かしてくれるもの、素敵だと思える「何か」を渇望し邁進する“人の素敵な部分”が描かれた一曲だと言えます。


同時に、
この世に生き永らえる息苦しさも描かれてるのがポイントで
この世は「とある共通観念」という通過儀礼に適した人間“しか”許されない、
所謂「空気」だったり、同じような意味合いかもしれませんが「雰囲気」が蔓延しています
つまりは、価値観が異なる度に軋轢が生じたり不要な心労が重なったりするので、
本当の意味での「自由」なんてものはあるようでないんですよね
それが冒頭に挙げた歌詞に直接的に表れてると思うんですけど・・・。

ただ、そういう目に見えない鎖のような何かを初めから気にせずに、
泥まみれでも恥ずかしくても、自分の好きなように素敵だと思える「何か」を熱狂的に求める事が出来れば、
そんな自分が信じる「美しさ」に何一つの躊躇いもなく突き進むことが出来たなら、
自分の世界も、
自分を救う世界も、
ほんのちょっとかもしれませんが
どんどん変わっていくし変えていけるのかもしれません

ノーベンバーズはしたいようにすることの大切さも、そのリスクも同等に歌って来ましたが、
この曲はそのどちらも織り込み済みでただ自分が踊りたいように踊る意義・・・をしっかりと歌っている曲だと感じます
自分が本当に必要だと思うものは、そもそもそんな他者の目なんかに晒されても何も変わらない強さを持っているものだ
それを貫き通す意志そのもののような楽曲で、本作の中でも特にシンボリックな楽曲に仕上がっていると思う





どこまでも激しく
どんな醜いやつらも追いつけやしない
速さが欲しい




自分の世界を変える事が出来るのは自分だけ
一見何かに影響されているように思えても、
何に影響されるか/されないか、を選ぶのはあくまで自分ですから
自分のやりたいようにやって、自己責任で、自分だけの喜びを掴んでいく。
それこそが美しく、尊くて、何よりも素敵なことなんじゃないか、と。
そんな風に(聴いていて)感じさせられる一曲、、、です。




THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその3「1000年」

2017-08-09 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー












退屈が俺を例えにくる
退屈が俺を使いふるす
退屈が俺を塗りつぶす













初っ端から高松浩史のゴリゴリのベース音が強烈に響くロックナンバー。
正直仕方のないこと・・・ではあるし、自分も日常茶飯事的にそうなっちゃうんですけど
日々生きていると人間ってつまんない感情に支配されがちじゃないですか?
どう考えても面倒くさい事柄に一生懸命になって
他人との比較にせわしない非合理的な毎日を送っていて、
ただ、なんだろう、「そこ」に意味があるのか・・・って言えば正直微妙じゃないですか
そういう端的に言って「退屈な」感情に支配されて生きるのって何よりも無駄な行為だと思うんですよね
世の中には本当に凄いと思える人、
一切の無駄を感じさせない人が沢山居て
自分もそんな人らのように美しく誇り高く生きたい・・・
そういう気持ちを高めてくれるのがこの「1000年」という楽曲なのかな、とは聴いていて常に感じる事です。

自分が素敵だと思う価値観、美しいと思える立ち振る舞いに刺激されて
不完全な自分を(自覚的な視点で)彩らんとする過程もそれはそれで尊いものです
人は一人では生きられない。とかいう言葉に説得力が感じられるのは、
何も支えてくれる人云々の話だけではなくて、
そうやって先を歩いてくれる「誰か」がいるから手本になって自分も頑張れる、辿り着こうと思える~っていう
そういう意味合いも含まれてると思うんですよね この世の人々は最低で醜くて、学ぼうとすら感じられないなんていう
そんな捻くれた考え方をもしも抱いていたとするならばとっくに自殺でも何でもしてると思うんですが
現実はそんな一面的でもなく、本当は学ぶべき「誰か」に満ちているのが真実でもある
人はそんな“美しさ”に魅せられて、今日も自身の退屈を殺して「何か」を得る為に転がっていく・・・・・
そんな価値観を(個人的に)感じさせてくれる刺激的であり影響される部分も強めな今作のリードトラックの一つ
ライブでも頻繁に披露されてるので、是非その轟音に焼き尽くされて欲しい。。と願うばかりです







本当は、
思い切り恥を掻いて、
底の底まで恥辱を味わって、
そこから這いつくばるように足掻いていく・・・
そんな生き様こそが個人的には美しいし、真っ当だと思うんですよね
だから、劣等を味わう事すら最終的にはプラスに働いていく。自分はそう信じているし、
そう信じたくなる楽曲。それが「1000年」という曲なんです。



THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその2「黒い虹」

2017-07-28 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー










愛を全て渡せる
神の全てを惑わせる











あくまで個人的な感覚だが、
日常を過ごしていて「情熱」を感じる瞬間が年々少なくなって来ている
気が付けば冷徹な視線と批判ばかりがやたら目や耳につき純粋な「好き」が伝わり難い世の中になっている
いや、っていうか、それはご多分にガキの頃のようなイノセンスを失くした群れの中に毎日身を置いてるからであって
ある種狭い世界の感触ではあるのだが、何もかもを全部投げ捨てるくらいの“本気の愛”を感じてみたいのもまた本音ではある。

「ほどほど」を装って周りから見て一番無難な手前を演じている/または無意識にそうするのも
それはそれで一つの生き方だし否定すべきものでは全然ないけれど
個人的にはもっと無鉄砲なバカが増えて欲しい、というか
激しい情熱で心を突き動かされたい気持ちがある
愛を全て渡せる
神の全てを惑わせる。
全力で「お前自身」を貫いて、その先に報われる景色を待ち、来るべき時に歓喜に震える・・・。
そういう誰よりもエネルギッシュで、必死であろうとする事に一切懐疑的な視点を持たない「美しさ」が聴こえる、、、
自分にとってこの曲はそういう曲であり、前回レビューしたハレルヤと同様にこの曲もまた新アンセムだと思っています。


微妙にラルクっぽいイントロから、
轟音と浮遊感の強い歌メロが鳴り響き
一気にスピード感を増すサビメロに酔い痴れる・・・という
純粋にポップソングとしての出来がすこぶる良いように感じられる今作でも随一に求心力の高い楽曲
クールに振り切りつつも、熱量の高い歌詞とのギャップも素晴らしく静かに燃え滾る事が出来る秀逸なロックチューン
初めてこの曲を音源で聴いた時にはこの曲をヘビロテし過ぎて中々他の曲に行けなかったくらい(笑)
ハマってしまった中毒性の高い楽曲でもあります。

ただ、この曲の肝はラストにあります
ちょっとダサい形容かもしれませんが、
まるでロックンロールのレジェンドを目指すかのように
今のノーベンバーズの壮大で美しい決意が破壊的な爆音で鳴らされる最後の歌メロは
聴いてて否応なく盛り上がって興奮してしまう強いエネルギーがあります
世の中には「応援歌」と称される歌がいくつもありますが、
一切そういう言葉を使ってないのにむしろ有り体な応援歌以上にやる気が漲って来るのが実に痛快ですね
意思そのものがそのまま歌やメロディ、アンサンブルになってしまったような、今のノベンバを象徴している名曲。
ライブで聴くと拳を突き上げたくなるくらいショッキングで耽美な演奏が聴けるのでその点でもおススメです。








今は「○○を好き」と表明する事すら(時に)厳しい嫌な時代で
「意識高い系」とかいう“全力”を小馬鹿にする言葉すら生まれてしまった酷い時代ですけど、
だからこそ、こういう曲が果たせる役割っていうのは相当大きいんじゃないか、って思う。
頼もしい一曲で、大好きな楽曲です。