ふろむ播州山麓

旧住居の京都山麓から、新居の播州山麓に、ブログ名を変更しました。タイトルだけはたびたび変化しています……

ガザのトンネル

2014-08-08 | Weblog
 ガザのトンネルはほとんどがイスラエル軍によって破壊されました。やっと休戦がかなったのはそのためともいいます。小川和久さんのメルマガからハマスのトンネル記事を紹介します。


【地下トンネルこそイスラエルの脅威】(NEWSを疑え! セキュリティ・アイ)

 イスラエルはいま、ガザ地区での民間人犠牲者の激増によって国際的に指弾されているが、その原因はイスラエル自身の戦略的失策によるものだ。

 ガザ地区に対する今回の攻撃を始めた7月8日の時点で、イスラエルはガザ地区から二つの軍事的脅威を受けていた。

 ひとつは、ハマスなどイスラム主義武装勢力のロケット弾攻撃であり、いまひとつはトンネルを通って戦闘員がイスラエルへ進攻し、民間人や兵士を殺傷・拉致する可能性である。

 イスラエルは当初、ガザ地区を攻撃する理由としてロケット弾の脅威のほうを強調したが、これは防衛上も、国際宣伝戦の面でも失策だった。

 イスラエルが、ロケット弾による損害が少ないことを強調するほどに、「ロケット弾の発射を止めるためにガザ地区を攻撃する」ことの正当性が疑われることになったからである。

 実を言えば、トンネルを使った兵士拉致事件は2006年にも起きていたし、その後もハマスが多数の進攻用トンネルを掘っていたことは、掘削の騒音などから、近隣のイスラエル側住民やイスラエル軍には知られていた。

 ハマスが多数の進攻用トンネルを掘ったことの脅威は以下の二点に集約される。

 戦闘員をイスラエルに送りこむ戦術は、戦死の可能性が高いという点で、近年のハマスのロケット弾攻撃よりも、2008年以前の自爆攻撃に近い。進攻用トンネル30本以上の存在は、数百人以上のハマス戦闘員が、自殺的な攻撃への参加を志願していることを示している。

 これらのトンネルは地下6‐27メートルに掘られており、コンクリートで補強され、電線、電話線、送風管、上下水道、鉄軌道が敷かれたものも多い。そうした資材は、イスラエルにたびたび封鎖されるガザ地区では貴重なのだが、ハマスはその資材を、住宅の建設や再建・補修ではなく、イスラエルへの進攻とロケット弾の備蓄のためのトンネルに投入してきたのだ。

 イスラエルが進攻用トンネルを破壊する目的で、ガザ地区に進攻したのは、7月17日の人道的休戦の後だった。ちょうど17日に、ガザ地区の隣のキブツ(集団農場)で、ハマス戦闘員13人がイスラエル兵に変装してトンネルから現れたところを発見されたからだ。

 その前の14日、イスラエルはエジプトによる休戦提案を受諾し、翌朝は一方的に戦闘を一時停止した。もしハマスがこの時休戦に応じていれば、進攻用トンネルを温存することができた。イスラエル軍は7月28日までに進攻用トンネル30本以上を発見し、約半分を破壊したというが、今後も多くのトンネルが発見される可能性がある。

 イスラエルはこれほどの脅威に対して、探知技術を開発することも、ガザ地区との境界線を掘り下げて水で満たし、トンネルを崩落させることもしなかった。軍事力整備と秘密工作を、イランの核開発能力に対する攻撃と、ロケット弾攻撃の阻止に集中していたからだが、そちらに気をとられるあまり「足下の脅威」を見逃していたわけで、その代償は高く付く可能性がある。

<2014年8月8日>
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