ふろむ播州山麓

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アメリカ政府からイスラエル・ガザへの思いやり予算

2014-08-10 | Weblog
 米国の非営利調査メディア「Mother Jones」が米国政府の対イスラエル・パレスチナ政策について興味深いことを報道しています(7月23日付)。「SYNODOS」記事からダイジェストで紹介します。

「イスラエルのガザ攻撃を海外メディア・専門家はどう見たか」(平井和也 / 翻訳 2014.08.09 Sat)
http://synodos.jp/international/10195

 米国務省は「ガザの人道状況の改善を支援するために」4,700万ドルの財政支援を行うと発表した(7月21日)。そのうちの3分の1は、戦争に苦しむガザの何万人ものパレスチナ人に食料、水、避難所を提供している国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動支援金として使われる。
 ところが、税金を払っている米国民は矛盾した立場に置かれている。というのも、米国民はイスラエル軍の活動支援とパレスチナの人道状況改善の両方に対して税金を払っていることになるからだ。米国は毎年イスラエルに対して、約31億ドルの軍事支援を行っており、これは1978年当時のカーター大統領の仲介によってイスラエルとエジプトの間で結ばれたキャンプ・デービッド合意に基づいて米国が負っている義務によるものだ。
 軍事支援金は大きく二つの用途に分かれている。約8億ドルはイスラエル軍の兵器と軍需品の製造に使われ、残りの23億ドルは、イスラエル軍が米国の軍需企業から武器と装備品を調達するために使う商品券のようなものだ。ある米国のイスラエル支援専門家は、「イスラエル国防軍の全ての部隊(ガザ攻撃を行っている部隊を含めて)が米国の支援によるメリットを享受していると考えていい」と語っている。そのため、イスラエルのガザ攻撃による破壊には「米国製」という刻印が入っていると考えることができる。
 しかし、その一方で、米国政府はイスラエルの攻撃によるおぞましい結果に対処するための活動に対しても財政支援を行っている。UNWRA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が7月21日に発表した活動状況報告書によると、同機関は67の避難所を管理し、そこで84,000人以上のパレスチナ人を保護しているという。UNWRAは避難所に、食糧、水、赤ん坊の衛生管理用品、毛布、マットレスを提供し、21の診療所も運営している。子供たちに不発弾を触らないよう指導する教育も行っている。
 UNRWAの話では、ガザの75の施設が戦闘によって物理的な被害を受けているという。UNRWAが要請した6,000万ドルの緊急支援金の4分の1に当たる1,500万ドルが米国によって拠出され、その中から一部が米国の財政支援を受けているイスラエル軍の攻撃によって破壊されたUNRWAの施設の修復や再建に使われるものと考えられる。
 米国の新たな支援プログラムにはNGOに対する350万ドルの財政支援が含まれている。国務省の説明によると、この支援金は、パレスチナ難民への食料以外の物資の提供、ガザのパレスチナ人3,000人を対象とした短期雇用プログラムおよび2,000世帯を対象とした社会心理学的支援プログラムの延長、医療施設への医薬品と燃料の提供に使われるという。
 さらに、国務省の話では、米国はUNRWAに対する最大の資金援助国であり、今年に入ってからガザや他の中東地域のパレスチナ難民支援のためにUNRWAに2億6,500万ドル以上を拠出しているという。この中には、ザガの新しい学校や配給所の建設に使われる900万ドルが含まれている。
以上が「Mother Jones」の記事のまとめだ。

「SYNODOS」記:ドイツ誌『シュピーゲル』が8月3日付掲載記事で、8月1日に米国議会でイスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」に2億2,500万ドルもの巨額の財政支援を行う法案が可決されたことを報じていることを、ここに付記しておきたい。

<2014年8月10日 2億2500万ドルは、迎撃ミサイル4500発分の代金に相当します>
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