水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (48)お天気(てんき)

2020年09月09日 00時00分00秒 | #小説

 どう変わるか分からないものの一つにお天気(てんき)がある。このお天気という言葉は、なにも気象に限って使用される訳ではない。人の場合でも使用されるのである。あの人、ほんとっ! お天気屋さんねぇ~ …と言えば、そのお天気は、人の心の移り気(ぎ)を指し示す言葉になる訳だ。^^
 2030年、とある普通家庭のテレビが天気予報をガナっている。
『ということで、ここ一週間ほどのお天気は最高気温43℃以上の激暑日(げきしょび)が続くでしょう…』
「真夏日(まなつび)、猛暑日(もうしょび)ときて、今度は激暑日か…。こう暑いと、ほんと、嫌(いや)になるなっ!」
「そうねっ!」
 娘が、珍しく父親に合いの手を入れた。
「お前の夏の部活はどうなんだっ!?」
「こんなお天気で外を走れっこないでしょ!!」
「まあ、そうだな…」
「この前、意識不明の重体になった子もいたんだからっ!」
「そうか…。まあ、そりゃそうなるわなっ! で、活動はどうしてんだっ!」
「空調の利いた体育館でグルグル回って走ってるっ!」
「グルグルか…。お天気もグルグルになりゃ、お終(しま)いだなっ! ははは…」
「…」
 娘はそれには返さず、父親の禿(は)げた頭を見て、頭も禿げりゃ、お終いねっ! …とは思ったが、ニタリ! と笑うに留(とど)めた。
 よくは分からないが、お天気は禿げれば禿げるほど暑くなるようである? ^^ 
 
                               


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