水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (55)気分(きぶん)

2020年09月16日 00時00分00秒 | #小説

 よく分からないのが気分(きぶん)変化のタイミングだ。機嫌よく「ははは…」と笑っていた人が、あるコトを契機(けいき)に、急に気分を害し、「なにっ!!」と、不機嫌になる場合である。まあ、人によって気分変化の度合いは違うが、一つ言えることは、概(がい)して気分は得体が知れず、分からないということだろう。^^
 とある家庭の居間である。ご主人が、小料理を肴(さかな)に気分よく一杯、飲んでいる。テレビ画面はプロ野球で、贔屓(ひいき)の野球チームが勝っているということもある。そこへ携帯音が突然、響いた。
「えっ! ははは…それは態々(わざわざ)どうも有難うございましたっ!」
 電話内容は会社の上司からで、課長就任が内定した・・という朗報だった。ご主人の気分は益々(ますます)、よくなった。ところがテレビ画面は、贔屓(ひいき)チームが逆転サヨナラ負けを喫しところだった。ご主人の気分は複雑で、怒りながら笑った。^^ 

                               


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