水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (66)断舎利(だんしゃり)

2020年09月27日 00時00分00秒 | #小説

 断舎利(だんしゃり)という聞き馴(な)れない言葉を耳にしたので調べてみると、いらなくなった物を捨てること・・だと分かった。なぜ、舎利[遺骨]を断(た)つことが物を捨てることなのか? が分からなかったから、さらに検索を進めることにした。すると、インドのヨーガの行法で、断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)から来ていることが分かった。検索は便利で、分からないことが分かるのである。^^ さらにヨーガを検索すれば、古代インドの修行法であることが分かったのである。まあ、分からないとしても、取り分けて生活に不自由する知識ではない。^^ 今日は、そんな断舎利のお話である。^^
 歳末の大掃除たけなわの、とある夫婦の会話である。
「そんなもの、捨てちまいなっ! もう、20数年、使ってないぜっ!」
「だって、どこも傷(いた)んでないのよっ! また使うかも知んないじゃないっ!」
「そういって、ほらっ! こんなに溜(た)まったんだぜっ! ここは、断舎利、断舎利っ!」
 大掃除が滞(とどこお)るのを避(さ)けようと、夫は妻に断言するかのように諭(さと)した。
「そおう? あなたが、そこまで言うなら…」
「そうそう! 断舎利、断舎利っ!!」
 かくして大掃除は再開された。
 その後、全(すべ)ての掃除が終わり、二人は和(なご)やかに昼食を食べた。かくして、一件は落着したかに見えた。
「さっぱりしたなっ!」
「えっ!? ええ…」
 二人は和やかに談笑した。
 さて、ここで問題です。^^ 断舎利され、多くの不用品は捨てられたのでしょうか? ^^ 正解を言えば、妻は密(ひそ)かに物置へ不用品を収納(しゅうのう)していたのです。^^ もちろん家庭不和を避けるため、夫に気づかれないように・・。^^
 このように、断舎利が成立するまでには、いろいろな分からない心理の葛藤(かっとう)を越えねばならないのである。^^ 
  
                               


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