物事は思いどおりにはいかない。いかないと、こ自分の非力さを知ることになり、やる気を失(な)くす方もおられるが、こればっかりは事実、ご自分が非力なのだから致(いた)し方がない。^^ 力があるといっても、全(すべ)てが思いどおりになるというものでもないが、大方(おおかた)の事象は思いどおりへと靡(なび)く。「あなただけは、いくらお金を積まれたって、いやっ!!」という靡かない一例もあるが、その気持は女性に訊(たず)ねてみないと分からない。^^
とある財閥総帥の邸宅である。
「なにっ! 担当の執事(しつじ)がいないっ! じゃあ、仕方がないっ! 出来そうな別の執事を呼びなさいっ!」
「かしこまりました…」
執事長は軽く一礼すると、すごすごと退去した。
しばらくして、執事長は別の執事を従えて現われた。
「連れてまいりました。マトン専門の執事でございます。ラムの方がよかったのでございましょうか?」
執事長は自分の地位の危うさ感じていたから、ビクビクしながら言った。
「なにを言っとるんだっ、君はっ! 羊(ヒツジ)じゃないっ! 執事を呼べと言ったんだぞっ、私はっ!!」
「ど、どうも…」
語尾を暈(ぼか)し、執事長は従えた執事の手を引っぱり、ソソクサと退去した。
このように、力で威圧(いあつ)することで、返って思いどおりにいかないことも多々ある。その原因は、時と場合で異(こと)なるから、私には分からない。^^
完