水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (62)個人情報

2020年09月23日 00時00分00秒 | #小説

 最近の社会は個人情報を重視する傾向が強まっている。なぜか? は分からないが、それだけ他に対する不信感が大きくなった所為(せい)ではないか? と思えてならない。今日はそんなお話である。^^
 未来の、とある市役所の住民課である。
「いやっ! 08354567家(け)だよっ!」
「そうだったかっ? 個人情報によれば、08345567家だぜっ!?」
「いやいやっ! ここにその家から提出された書類があるんだから間違いないさっ! こっちは提出者の直筆(じきひつ)だぜっ!?」
「そおかっ? それじゃ、やっぱり入力ミスか…」
「入力ミスかどうかは分からんが、信用度は直筆だろっ!?」
「まあ、そうなるわな…」
「なっ!」
「ああ…」
 二人は過去、多く消えた年金情報の入力ミスを、ふと思い出し、そう言った。
 よくは分からないが、個人情報が間違わない、流出してはいけないことだけは確かなようだ。^^
 
                               


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