心臓は医学的に身体(からだ)の場所がはっきりしているから、はっきりと分かるが、^^ 分からないのは実態がない人の心(こころ)である。見えないということもあるが、非常に移ろいやすいのだ。要は、変わりやすく得体が知れないということになる。女心と秋の空などと例(たと)えられる類(たぐ)いである。^^
日曜の昼、木漏れ日の下、二人の暇(ひま)そうな男がコンビニ弁当を食べながら、とある公園ベンチで話している。食べるか話すか、どちらかにして欲しいものだ。^^
「以前に比べりゃ、なんか安っぽくなった気がしねぇかい?」
「ああ、一品(いっぴん)減ったしなっ!」
「それだけじゃねぇ~ぞっ! チュバチュバがなくなったし、値が20円も上がっちまった!」
「なんだっ? そのチュパチュバってぇ~のはっ!」
「チュバチュバかっ!? チュバチュバはチュバチュバさっ! 醤油(しょうゆ)、ソースとかのっ!」
「ああっ! アレかいっ?」
「ああ、アレさっ! それよか、20円アップ!」
「20円といったって馬鹿にならねぇ~よっ! ひと月で600円だぁ!」
「お役所の心は分からねぇ~よ、おいらにはっ!」
「ああ、俺にも分からねぇ七不思議の一つだっ!」
「ははは…七不思議というほどのこっちゃねぇ~がなっ!」
「ははは…そりゃまあ、そうだっ!」
「庶民の心は、お上(かみ)にゃ分からねぇ~のよっ!」
「違(ちげ)~ぇねぇ!」
「まあ、一日、500円しか小遣(こづか)いくれねぇ、かみさんの心も分からねぇ~がなっ!」
「だなっ!!」
二人は、持ってきた魔法瓶の茶を飲みながらニンマリと笑った。
このお話のように、人の心は身近な人でも分からないのである。^^
完