水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (57)設定

2020年09月18日 00時00分00秒 | #小説

 最近の家電製品は機能が複雑で、操作する前に設定の一手間(ひとてま)を必要とする機械が増えている。設定が簡単ならいいが、複雑だとお年寄りにはよく分からない。そうなると、イライラしながらお年寄りは、日長一日(ひながいちにち)その機械とニラメッコをすることになる。^^ やはり機械は誰もがシンプルに購入したあと使えるに限る。^^
 とある独居老人の家である。この家の老人が、今か今かと、注文した家電製品の到着を待っている。手動マッサージ機だ。
「毎度っ! どうしますっ! 設定しましょうかっ!?」
 突然、入ってきた電気屋に軽く言われ、老人は見くびられた…と感じた。これでも若い頃は工場の技師長だった・・という自負がある。プライドにかけても、ここはっ! …と、老人は瞬間、思った。
「いや、いいよっ! それくらいは出来るからっ!」
「さよですか~~っ!? んじゃ! 支払いはいつもの月末で、よろしゅうございますねっ!?」
「ああ、そうしておくれ…」
 電気屋はペコリ! と頭を一つ下げ、笑顔で帰っていった。
 それから老人と機械の設定との格闘が始まったのである。^^ 言うまでもなく、老人は設定がさっばり分からない・・という理由からだ。
 そして一週間、買われた手動マッサージ機は使われないまま部屋の片隅に放置され、見捨てられている。  設定が分からないと、機械は無用の長物(ちょうぶつ)になる恐れがあるから注意しよう。^^  

                               


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