水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分からないユーモア短編集 (52)成果(せいか)

2020年09月13日 00時00分00秒 | #小説

 成果(せいか)を得るには、それ相応の努力や算段(さんだん)がなければ達せられない。成果とは字義(じぎ)の通り、果実が成る[得られる]という意味だ。^^ 美味(おい)しい桃や林檎(りんご)、蜜柑(みかん)を収穫するには、やはりいろいろとケア[手入れや管理]が必要になってくる。桃の場合だと、二月の花芽が膨(ふく)らむ前に二度ばかり殺菌消毒をするのだが、これを怠(おこた)れば縮葉病、黒星病などが発生し、樹勢を損(そこ)なう。で、桃は実らない・・とかなんとかの分からない小難(こむずか)しい話は、どぉ~~でもいい訳だが…。^^
 二人の年老いた男が宝くじ売り場近くのベンチに座り、なにやら談義をしている。
「どうです? 何か成果らしきものは出ましたかっ!?」
「いや、それがね。ムコウよりココで買った人の当たりクジが結構、多いんですよっ!」
「調査されたんですかっ!?」
「いやまあ、そんな訳でもないんですが…。ココで買った人にそれとなく訊(たず)ねた結果を集計したまでです…」
「ということは、ムコウよりはココの確率が高い・・ってことになりますが…」
「はあ、まあ…。訊(き)いた結果では、安いのがココは多かったですね。そんなことですから、高い額は出ないでしょうが…。まあ、当たりクジが出る確率は高い、と…」
「いや、高いのも分かりませんよっ!」
「はあ、こればっかりは分からないですが…」
 宝くじの当選発表の日が巡った。ココではなく、ムコウで最高額の当選くじが出た。
 成果を得るには、より確実な調査が必要となってくる。国会で問題になったデータが、それに当たるだろう。^^ 
  
                               


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