(経営判断や営業ができるのは「コンピュータ」ではなく「人」)
もう一つ、大事な考え方があります。
この20年から30年にわたる長期の不況、ないしは経済発展しない状況や、バブル崩壊後のデフレ状況ともいわれることのなかには、金融機関を中心とした「信用経済の崩壊」が一つにはありますけれども、もう一つには、やはり、どう見ても、「コンピュータの問題」はあるように思うのです。
ただ、コンピュータ会社はそれで儲けているので、そうしたところに勤めておられる方は、この話は聞き流してください。みなさんの給料が出続けているかぎり、それはよいことですから、聞き流していただきたいのですが、関係のない人たちは、どうか、騙(だま)されないように気をつけていただきたいのです。
コンピュータが、実際の人間の働きよりも価値を生みだすところまで行くのは、なかなか大変なことです。いろいろなものが次々と開発されていきますけれども、実際のところは、実験段階で使われる状況が多いので、無駄な「お金」と「エネルギー」と、「時間」を費やされているものがそうとうあります。
コンピュータを経営的に見たら、基本的には、「経営判断」などまったくできはしません。ましてや、コンピュータは「営業」ができないわけです。経営判断もできなければ営業もできないので、「コストダウンができる」とか「経費削減になる」などと言って入れているものの、そのほとんどは、“紙くず製造機”と化しています。
お金が余っている大会社はともかくとして、特に中小企業に勤めている人たちにとっては、会社を潰す要因になるので、この事実をよくよく知っていただきたいと思います。
コンピュータでつくった表を見たところで、営業の売上など絶対に上りはしません。その表をつくったり読んだりする人がたくさん増えても、まったく上がらないのです。そして、何が本質かも分からなくなることはたくさんあります。
したがって、「現実はそうではない」ということを知ったほうがよいでしょう。
経営判断や営業の成績は、コンピュータとは関係がなく、現実には、ほとんど「人 対 人」の問題に帰属します。それを忘れたら、会社は必ず傾くのです。
コンピュータに関連するいろいろなツールはたくさん売り込まれてくるので、その売り込んでくる会社は儲かります。それは結構なことです。ただ、売り込まれた会社は、その費用分の損をするだけではなく、経営のほうが傾くことが非常に多いので、気をつけてほしいのです。
コンピュータは、問題点を指摘してはくれませんし、見抜いてはくれません。それが分かるのは「人」のほうなのです。それが分からなければ、要するに、プログラマーなど、コンピュータでいろいろなものを使う人がいますけれども、経営が分かっていない人がつくった表を見たところで、何もならないわけです。
現実を見なければ駄目であり、「いったい何が問題になっているのか」というところを見抜いて、それを解決しなかったら、事業は進みません。「何が問題になっているのか」を見抜かなければいけないのです。そのために、経営トップは、取引先や、あるいは現場で問題になっているものは何であるかということを知り、それを解決しなければいけないのです。
また、営業マンは、直接、人と会って交渉しなければならないのであって、「コンピュータの表だけを見ていても、何も教えてはくれない」ということを知っていただきたいと思います。
特に、パソコン時代になってからは、それを机の上に置いておけば仕事をしているように見えるので、何の仕事をしているかが分からないようになっています。
もちろん、コンピュータが一部は役に立っていることも事実です。計算機能があったり繰り返しの作業ができたり、きれいに印刷できたりするなどといったメリットはあるでしょう。
ただ、基本的には「要らないもの」が仕事としてたくさん入っていて、実際にするべき仕事をせずに済ませている人が大勢いるということです。
対人関係の下手な人は機械をいじりたがる傾向があり、そういう人が増産されています。これで経営が傾いている企業がたくさんあるので、ここのところを見抜くべきだと思います。
2000年以降、IT産業系が業績を伸ばす一方で、これによって潰れている企業もたくさんあるということを知ったほうがよいでしょう。
コンピュータを必要としないところがそういうものを入れると、経営もできず営業もできない状況になることも多いので、よくよく考えた上で行うようにしてください。やはり、「見切り」というものが要ることも知っていただきたいのです。
---owari---
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