2016年6月23日、イギリスでEU残留かEU離脱かを問う国民投票が行われました。
イギリスはそもそも、フランスとドイツが主導するEU統合に懐疑的で統一通貨ユーロも導入せず独自の路線を歩いていましたし、歴代イギリス政府もたびたびEU離脱をチラつかせてきました。
イギリスの輸出に占めるEUのシェアは五割弱に達しますから、イギリスもEUの恩恵を受けていたことは確かですが、その一方で多額のEU運営資金を負担させられたり、ギリシャなどの金融危機が起きるたびに経済援助を強いられてきました。
それに加えて移民・難民問題が起きたため、イギリス国内では「もうこれ以上、他国の金融支援や移民のために自分たちの税金を使われるのはイヤだ」「EUから離脱するべきだ」という声が高まっていました。
そして世界が固唾を呑んで見守る中で国民投票が行われた結果、僅差でイギリスのEU離脱が決まりました。イギリス国民は自国のことにEUから口出しされることに嫌気がさして「ノー」を突き付けたと言えます。
そのニュースは「イギリスの離脱後、EUは存続できるのか」という大きな不安と共に世界中に発信されました。
直近では、ポンド安、金利上昇、株安が起き、ヨーロッパの金融市場が混乱し、それが世界にも飛び火して世界同時株安が起きることも心配されました。実際、その影響はその日のうちに日本にもおよび、急激な円高、株安となりました。
またイギリスのEU離脱により、ドイツとイギリスが支えていたEUをドイツだけでは支えきれなくなり、EUそのものが瓦解するのではと心配する人もいます。
もうヨーロッパ中が疲弊し、明るい兆(きざ)しなどどこにも見当たらなくなっているのです。だから今、EU諸国は世界のことなど考える余裕はないというのが結論です。
しかし日本は焦る必要なんてありません。イギリスのEU離脱には二年以上の交渉期間が必要です。五年十年かかるという見方もあるほどです。一時的な混乱に巻き込まれることは合っても、日本にはそれに対応していけるだけの力と時間があるのです。
(日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載)
---owari---
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