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戦後教育の過ちを糺す

2022年06月08日 | 日本
大東亜戦争終結後、日本の教育は大きく変わってしまいました。いわゆる「日本は戦争を起こした悪い国だ」という戦後教育です。さらに、個人としては教科書に書いてあることを一生懸命覚えていい大学に入るのが最大の目的になってしまいました。

それに最近では、小学一年生から英語教育しようとしていますが愚の骨頂です。英語が上手になるより、ちゃんとした日本人になるのが先でしょう。

そもそも戦前、日本がヨーロッパに追いつき追い越せと、頭のいい者を集めて教育したものの、西洋かぶれの出来損ないがいっぱいできてしまったことを思い出すべきでしょう。

ちょっとヨーロッパのことをかじっただけで、「あちらでは、あちらでは」と自慢するので、“出羽守(でわのかみ)”と言われました。多くは東大を出て官僚になりました。

その弊害に気がついたのが早稲田大学をつくった大隈重信です。大隈はこう考えました。
英語やフランス語を完全に覚えれば、ヨーロッパに完全に追いつけるなんて考えるのがおかしい。そんなことは政府の金で一高とか三高がやればよろしい。早稲田大学ではそんなことはやらない。

日本語で法律を教えてやる。フランスの法律でもアメリカの法律でも、日本語で教えてやる。そのために必要な本は完全に翻訳して日本語で学ばせる。そして日本人とは何かを考えさせるんだ。

それを早稲田大学はやった。だから早稲田大学は人気があり、多くの優秀な人材を民間に輩出していけた。

日本がここまで発展したのは、官僚が優秀だったからだという人がいますが、そんなのは嘘(うそ)っぱちです。日本の戦後を引っ張ったのは民間で頑張った人たちです。その手柄を官僚が横取りしたんです。

だから、英語の勉強を小学生にやらせる前に、まず日本語を学ばせ、日本人を育てることに力を尽くすべきなのです。それこそおとぎ話でいいから、きちんとした日本語を暗唱させたらいいんです。そうすればリズム感が養われ、スピーチ力も身につきます。

英語なんて中学校になってからで十分なんです。それも試験のための英語ではなく、会話のための英語を学ばせればいいのです。

安倍首相は積極的に海外に出て、行った先々で英語でスピーチしています。そのスピーチの原稿を書いているのは谷口智彦外務副報道官ですが、安倍首相はその谷口さんにどうしゃべれば英語らしく聞こえるか一生懸命習ったと言います。

その谷口さんはこう言っています。
「外交とは結局、言葉です。自分の考えていることを、わかりやすく、かつ強く、言い続けなくてはならないし、土壇場の外交交渉の現場で使われるのは、つまるところ言葉の力です。では外務省は“言葉を磨く”努力を意識的にやってきたのかというと、これは今やろうとしているという答えになると思います。

今まで、日本は“頑張っていればわかってくれる”という、“オレの背中を見てくれ主義”だったのではないでしょうか。実はこれで通用した時代もありました。アジアと言えば日本、というぐらい、世界の関心を自(おの)ずと占有できた時代はね。今、グローバルな世界の中で、日本はどのような国なのか、自分で意識的に説明していかなければならない時代になってきています。経済におけるメガ・コンペティション(巨大競争)と同じように、外交におけるメガ・コンペティションの時代になってきているんだと思います」

まあ、東大出身の官僚だったら、単語の一つひとつまで吟味して完璧な英文のペーパーをつくり、それをただ読み上げてくれればいいんだと安倍さんに渡して終わりだったでしょう。

しかし谷口さんは、ほんとうの英語に聞こえるようにスピーチを一生懸命練り直したわけですね。それに対して安倍さんは谷口さんの意図を理解して、一生懸命練習した。だから、ちゃんと相手に通じる演説になっているんです。

話は遠回りしてしまいましたが、だから日本語もろくに身についていない小学生に英語を教える必要なんてないんです。

(日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載)

---owari---
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