(脱石油文明へシフトし、中東のイスラム圏を兵糧攻めにする)
アメリカでは、オバマ大統領の時代から周りの人にはまだ、はっきりと分からないような静かな変革を始めていました。最も注目すべき点は、「脱石油」を考えていることです。これが民主党の狙い目です。
アメリカは石油消費文明でしたが、そのことは、自動車産業の、ここ百年の隆盛と軌を一にする流れであったと思います。その石油消費文明から脱却しようとしているのです。
オバマ大統領当時の数多い弁舌のなかから引き出される、数少ない具体的な政策です。それ以外は、ほとんど抽象論で終始していて、よく分かりませんが、ここだけは具体的ではっきりしています。
彼は、「グリーン・ニューディール」という政策を打ち出し、エネルギー革命を起こそうとしていました。すなわち、「石油消費型」の文明から、「風力発電・地熱発電・太陽光発電などによる、石油を使わず二酸化炭素を出さないようなエネルギー消費型」の文明へと変えていこうとしているのです。ここだけは非常に明確に出ていました。
これについては、もう一つ、別の見方もあります。
オバマ大統領の対イスラム政策には、外交面でも軍事面でも、やや融和的な傾向が見られましたが、脱石油を目指すことによって、実は、イスラム圏を弱めようとしていたのです。
彼は、「中東のイスラム圏におけるパワーと富の源泉は、石油による豊かさである。ここから、『イスラムの信仰を伸ばしていこうとする力』や『テロなどの資金』が出てきていて、アメリカ文明に挑戦している」と見ていて、「真っ向から戦争を挑むのではなく、資金源のほうを断ち、兵糧攻めにしていこう」と考えていたわけです。
これは現民主党のバイデン政権も同じ考え方です。
すぐには分からないでしょうが、これは、何年かすると、じわじわと効いてくるはずです。
グリーン・ニューディールとは、要するに、「アメリカが中東の石油に依存しなくなっていく」ということを意味しています。アメリカが中東から石油を買わなくなっていくと、オイルマネーだけで豊かな生活をしていたアラブの人たちがどうなるかは明らかでしょう。
---owari---
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