今回のシリーズは、毛利元就についてお伝えします。
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一言いえば毛利元就は、織田信長のようなタイブとは違う。彼の性格の中には、
・人間に対する不信
・とくに部下に対する不信
・あるいは家族に対する不信
・狷介孤高(けんかいここう:自分の意志をかたくなに守って、他と協調しないさま)の性格
・それでいてけっこうマイホーム主義
・自己領土確保主義
・中国地方だけを重視するモンロー主義
などが入り込んでいる。
したがって、マイホーム主義にしても、ふつうにいわれる家族愛や家族を信じることから生まれたものとは思えない。逆にいえは、
「誰も信じられないから、せめて家族だけでも信じさせてくれ」
というような必死の気持ちがうかがえる。だから、三本の矢の教訓にしても、
・こうしなければならない
・こういうことはしてはならない
という、" Must"(ねばならぬ)と" Never″(決してしてはならない)との生き方読本であって、ゆとりもなければ面白味もない。
彼は自分に厳しい。そのため、他人にも厳しい。しかしそれは元就にすれば、
「おれは自分に厳しいからこそ、他人にもそれを求めるのだ」
ということになる。
こういう彼の性格は、いったいどういう経験から培(つちか)われたのだろう。
(『歴史小説浪漫』作家・童門冬二より抜粋)
---owari---
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