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京大教授が警告。対ロシア制裁「欧米と歩調合わせすぎ」は危険なワケ

2022年05月13日 | 政治・経済
プーチン大統領によるウクライナ侵攻への対抗措置として、極めて厳しい経済制裁をロシアに科している欧米各国と、そうした動きに歩調を合わせる日本。しかし前のめりすぎる姿勢は、我が国に様々な危険をもたらす可能性もあるようです。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では著者で京都大学大学院教授の藤井さんが、ウクライナ紛争の「戦争当時性」の点から鑑みて、日本に不可欠なのは冷静な対応ではないかとの見解を示すとともに、ただただ欧米に追従する岸田首相を厳しく批判。その上で、国益にかなう客観的な姿勢を保つ必要があると考察しています。(2022.05.11『MAG2ニュース』)

(ロシア非難は必要ではあるが、岸田総理や国内世論の過剰な「ロシア絶対悪ウクライナ絶対正義」論は薄気味悪い不道徳に過ぎない)
最近では幾分ましにはなってきましたが、ロシアのウクライナ侵攻以降、テレビメディアでもインターネット上でも、連日「ウクライナ」の問題が報道されました。

これは、軍事大国があからさまな「フェイク」情報を発信しつつ隣国を侵略するという話なので、国内のメディアやネット上は、ロシア、プーチンが100%悪いという「ロシア絶対悪論」と同時に、そんな悪いロシアと戦うウクライナ側こそが「正義」だという「ウクライナ絶対正義論」に、席巻されました。

そうした報道に触れて当方ももちろん、ウクライナが大層気の毒だと感じましたし、大国の論理で軍事的に侵略され主権を蹂躙されようとしているウクライナを、尖閣の侵略を狙い続けている軍事大国中国と日々対峙している日本人として「応援」したい気持ちは確かにあります。

しかしだからといって、「ロシア絶対悪・ウクライナ絶対正義」論に染め上げられた報道やコメンテーター達の発言には、ただただ薄気味悪いと日々感じざるを得ません。

そもそも多くの国民はウクライナがどこにあるかも知らなかったし、どんな国なのかに至ってはまるで知らなかったのに、本来ならそんな国についていきなり「絶対正義」として扱うことなどできる筈などありません。

もちろんもしも我が国が、ウクライナと軍事同盟を組んでいたとするなら、ロシア絶対悪・ウクライナ絶対正義論が世論を席巻したとしても、致し方ないとも言えます。なぜなら、そうなれば日本が事実上の「交戦国」となるからです。

それはつまりロシアと「喧嘩」するという事なわけですから、その喧嘩に勝つために自分達を鼓舞していくことも半ば致しありません。事実、ゼレンスキー大統領やウクライナ政府は、そういう偏った情報を流しているわけであって、それはそれでしょうがないと言う風には思います。

しかし、日本はウクライナと同盟を結んでいるわけでも何でもありません。

つまり日本はこの戦争について、戦争当事国ではないのです。

もちろん、このウクライナ情勢に深く関わっているアメリカと同盟を結んでおり、かつ、同じく同情勢に当事者に近い形で関わっている欧州各国とも友好的な関係を取り結んではいるのは事実です。しかしそのアメリカですら、「米軍がウクライナで戦うことはない」と言明しているわけですから、当事国ではないのです。そうである以上、日本はもっともっと「戦争当事性」が低いのです。

いわばこのウクライナとロシアの戦争は、日本にとってあくまでも「第三国同志の戦い」つまり「他人同士の戦い」に過ぎないのです。

ましてや、ロシアとはこれから日本は数年程度でなく、何十年も、何百年ものスケールで隣国として好むと好まざるに関わらず付き合い続けていかなければならないのです。全く付き合いがないなら、何も考えずに「ロシアは悪だ~!」と適当に叫んでいたとしてもまぁ構わないでしょうが、そうでない以上、冷静な対応が不可欠な筈なのです。

さらに言うなら、ここでどれだけ日本が欧米と歩調を合わせようが、尖閣有事の時に欧米が本当に日本を支援してもらえるとは限りません。

もちろん、尖閣有事の時の支援を取り付けるためには、対ロシアについて欧米と「一定程度」歩調をあわせておくことは「必要条件」ではありますが、だからといって「完璧」に歩調を合わせる必要などさらさら有りません。

むしろ、欧米に媚びれば媚びるほど、欧米はただただ日本を「侮る」ことになるでしょう。

そうなれば欧米は、「助けてやろう」とするよりむしろ「道具として使って、不要になったら棄ててやろう」と認識する他ありません。他者に媚び続ける様な国など、助けてやったところで特に利用価値などないからです。

にも関わらず、「検討使」とすら言われる程に何もしない岸田総理ですら「日露関係の悪化の原因は全てロシア側にある!」と激しくロシアを「口撃」し、あまつさえ戦後始めて外交官を追放するなど、迅速かつ激しい制裁と攻撃を実践しつづけています。

単なる「検討使」のくせにこれだけ激しくロシアに激しい外交的攻撃を加えているのは、急に「実行力ある政治家になったから!」というわけでなく、ただ単に、自分のボスであるアメリカに媚びへつらっているからに過ぎません。

誠にもって恥ずかしい話です。

重ねて申し上げますが当方は、ロシアに対して経済制裁をかけるべきではないとも言っていませんし、ロシアを非難すべきではないとも言っていません。しかし、我々はあくまでも戦争当事国ではない「第三者の国」として、あまりに前のめりにならず、少々引いた立ち位置からこのウクライナ情勢を見つめ、冷静に客観的に関わっていかねばならない筈です。

---owari---
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