7月2日から4日にかけて研究室メンバーで「ふくいの伝統的民家の保存・継承活動の実態調査」を行いました。詳しい報告は現在まとめている最中ですが、私も備忘のためにメモをしておきます。
研究室メンバーは庄内空港から羽田へ・・・ここで私が合流。一路小松空港へ。小松でレンタカーを借りて福井に向かいました。
まずは福井県庁で観光営業部(この部の名前は間違いではありませんので念のため)Tさんのお話を伺います。以下Tさんのお話と頂いた資料からメモします。
下の写真の部課の名前に注目してください。観光営業部長室、ブランド営業課など、珍しい名前が並びます。
福井県では県知事(最近原発でよく登場する西川さんです)のリーダーシップで、2006年から「福井県伝統的民家認定制度」を設け、伝統的民家を認定すると共に、改修、新築に対する助成を行っています。
認定は県で定める6つのカテゴリーの建物が対象となります。「典型的農家型」「典型的町家型」「茅葺」「かぐら建て」「妻入りうだつ」そして個別に認定された建築ということです。
認定されてもとくに制限がかからないというのが大きな特徴です。また申請の書類もごく簡単なものです。日常的に保存活用の情報提供を行い、増改築や改装の際に届けてもらって、そのときに助成制度を使って伝統を守ってもらおうというのがねらいです。
2006年から2011年までの認定数は905件ですが半数以上を下写真のような「典型的農家型」が占めているのも大きな特徴です。
同時に伝統的技法を習得している大工さんや工務店を「伝統的民家技能者」として県に登録して紹介しています。建築の保全継承に必要な技術者や技術、技能を同時に保全、育成していくものでしょう。立派なマニュアルもあります。
また改修・新築に当たっての補助金はこれまで121件となっています。この金額がもう一つの特徴です。一件あたり2分の1を限度とし、300万円までという高額(改修の場合)が補助されます。補助は県と市が折半です。
以上の制度を設けてから7年ほどたちますが県では今後点(建築)から面に広げていくことを考えています。すなわち伝統的民家が集合する「伝統的民家群保存活用推進地区」を指定していこうというものです。伝統的民家が10戸以上集まる集落で保存活用の意欲がある地区を指定しています。まだ6地区だけですが、今後は県としては面的な保存活用似力点を置いていくようです。
また土蔵の保全にもこれからは力を入れたいとのことでした。世帯あたりの土蔵の率を見ると福井県は鳥取県についで全国2位、12件に1棟の土蔵があります。私は土蔵数の全国調査資料を見るのは初めてでしたが、福井県のパンフレットに記載されています。ちなみに上位10県は鳥取、福井、長野、島根、富山、福島、石川、山形、新潟、滋賀です。日本海側が多いことに気づかされます。脱線ついでにどうやって調べているのか、パンフレットの注釈を見ると、「総務省平成22年度固定資産税の価格等の概要調書」が出典とあります。
内蔵や敷地の奥の土蔵も参入されているのでしょうか?
話が脱線したところで、現場に向かいます。・・・その前に・・・・。
北前舟で越前から庄内に運ばれた、越前赤がわらと錫谷石。その両方を一度に県庁(福井城址にあります)前で見ることが出来ました。