小説家であり政治家でもあった石原慎太郎さんが数日前に亡くなった。TVをだらだらとつけていたら、政治家として盟友であった亀井静香さんが、最後に石原氏に会ったときのことを語っている。石原氏は涙をこぼしていたという。亀井氏が慮るには「畳の上で死んでしまう」という無念の涙だという。その推測が当たっているかどうかは、知る由もないが、私は石原氏の小説「行為と死」を思い出した。戦場から帰還し、目標を失った人間の虚無的な生き方とある種の絶望感を描いていたように記憶する。石原氏は主人公と同じように、あくまで戦場で死にたかったのか?
75年に都知事選に立候補した。小説家としては面白い人、当時の若い世代には絶大な人気があったと思う。しかし政治家としての石原慎太郎にはNOを言いたい。当選させてはいけない。いつも自分の投票した人が当選したことがなかった自分(その後も同じ)であるが、その時だけは美濃部さんに投票し、彼が選ばれた。よかった。久しぶりにそんなことを思いだした。
小説家石原慎太郎さんの「行為」としての人生を見させていただきました。心よりご冥福をお祈りします。