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大分県医師会による第43回大分県医学会が、このほど大分市の県医師会館で開かれました。そのなかでは佐伯市、西田病院小児科の田原正英医師が、ことし4月から9月末までに扱った小児の救急患者の例をまとめ「小児の救急医療について」を発表しました。診療時間外のいわゆる救急患者のなかでは小児が一番多いといわれ、県下でも公的な”小児救急センター”の設置が望まれていますが、まだ実現していません。この点、田原医師は「ともかく県南地域の小児の死亡を一人でも減らしたいという考えから、この六カ月間”24時間診療”でがんばってきた」と発表しました。田原医師の発表要旨水を紹介してみましょう。
乳児が全体の24%、・・・・(省略)
少なくない新生児
ところで田原医師は、こうした一般の小児救急患者のほかに、新生児・未熟児の救急も手がけています。妊娠中に異常に気がついて、紹介患者として西田病院で出産した例や、産後すぐに搬送された例が多いそうですが、ときには、田原医師が携帯用の保育器をかかえて救急車で産院まで駆けつけたりもしています。これらによって、この六カ月間に扱った新生児・未熟児の救急入院患者は51人、決して少なくない数字です。
病名は2500g未満の低出生体重児15人をトップに、特発性嘔吐症、重症仮死各4人、先天性肺炎、頭蓋内出血、脱水症、尿路感染症各3人などですが、なかには800g程度の超極小未熟児で呼吸障害のウィルソン・ミキッティー症候群を伴った例(2人)、1500g未満の極小未熟児で特発性呼吸窮迫症候群を伴った例(2人)なども含まれています。
これら新生児・未熟児の救急はかなり難しく、数日間医師、看護婦がつきっきりになることがしばしばですが、その努力があって、死亡はこれまでわずか2例だけ。800g程度の未熟児も助かっています。
これらの経験から田原医師は「新生児・未熟児の救命は一刻を争うわけで、これこそ”真の小児の救急”といえるのではないか」といいます。また、「この6カ月間の小児科の入院患者は194人だったが、そのなかでは診療時間外と、この新生児・未熟児の入院が合計で128人となり、入院の66%と、半数以上を占めている状況からすると、小児科の救急がいかに大切であるかがわかるのではなかろうか」とも発表しました。
他県では、すでに小児の救急医療センター、あるいは新生児・未熟児の救急医療施設が設置されていますが、大分県はまだであり、立ち遅れています。この点を田原医師は、次のようにも訴えています。
本来なら行政で
「私の場合、県南地域の小児、特に新生児の死亡を少しでも減らしたいと思ってがんばっているわけだが、本来ならこうした小児救急医療は行政レベルでやらなければいけないことだと思う。その際、行政側はスタッフの確保と採算を問題にするのだが、たとえば治療が遅れて障害が残った場合、国や県はその後、この子供に1億円近い費用をかけて面倒をみていかなければならないわけで、それだけのカネがあれば、新生児・未熟児を含む小児の救急医療センターをつくった方がより望ましく、大きくとらえると”十分に採算が合う”といえるのではないか。大分県でも、行政の責任で一刻も早くこうしたセンターを実現させてほしいと思う」。