（題：「この夏で一番長かった日」、昭和６２年１０月号の西田病院月報に掲載） その前年の夏の今頃、母の血圧が高い為に、自宅で簡単に測れる血圧計を買ってあげた。その時に、たまたま自分の血圧を測定してみた。で、自分の血圧が何度測り直しても高いことを知らされた。上が１５０前後、下がどうしても９０を切らなかった。下を何とか９０以下にするのに、１カ月も要した。３７歳にして本態性高血圧症の烙印を押されてしまったのだ。誠に、自分にとっては、不徳の致す所であった。
何故高血圧が怖いか。それは、母の姉が東京女子医大で心臓の手術で入院する前日に高血圧で突然に亡くなり、母の妹も６０歳で高血圧で急死し、母の父親も、高血圧で入浴後に突然死していたからである。
昨年の（自分の高血圧を知らされた）出来事以来、私は運動（ゴルフ）と食事（カロリー制限、蛋白源を肉から魚に変更）に極力気を配り続けていて、宴会でも二次会でも、アルコールを控え（ウーロン茶で我慢し）、体重もその時７５Ｋｇもあったのが、１０Ｋｇ減の６５Ｋｇになっている。
今度は黄疸＝肝炎かと思うと、血圧の時以上にショックであった。そう言われれば、私の母も肝炎で西田病院に入院したことがあり、父の兄も肝疾患で亡くなっていて、妻の両親ともに肝炎の既往がある。
この夏きつかったし、この１週間の月形コースでのゴルフだって、最後の３ホールはメチャクチャにきつくて座り込んでしまった。ゴルフの時に水分を充分に補給したはずなのに、ゴルフが終わった時の尿の色がまっ黄黄だった。体が近頃だらしくて、夏ばてだと思っていた。赤峰さんから強精剤をもらって飲んでいたが、全身倦怠感がどうしても取れなかった。
手のひらを見るとなるほど黄色い。眼瞼をひっくりかえしても黄色い。小児科のナースと比較して、確かに眼球結膜、自分の方が黄色い。又、１カ月前に外科のベテランのナースから、「先生、黄疸があるのでは？」と言われたことがあった。
愛する妻に「もう駄目かも・・・」と言ったものだから、「大丈夫よ」と反対に励まされた。こんな時、どうして女ってこんなに落ち着いておられるのかなとも思った。（この時、家内が鹿児島の武士の家系の長女の出身だからかとも思ったもした。現在、ＮＨＫの大河ドラマの篤姫を食い入る様に見ていますが）
心の動揺に反して、結果が悪くても如何にして平静な態度で取り合えず振る舞うかが問題であった。
（その２７６）に続く。
