テレビで見た小学生の長縄対決。
颯爽と長縄を跳ぶ小学生の姿はとてもいいものでした。
失敗に涙する子たちも,成功に喚起する子たちも,見る私たちにまで感動を与えてくれるほどでした。
これに出場した子たちはみんな,貴重な経験となり,思い出深いものになったことでしょう。
これを経てできる成長もあり,クラスとしての団結も強くなるものでしょう。
そもそも,子どもたちを指導した先生たちはそれを目的としていたのではないでしょうか。
また,番組としても見応えのあるものでしたが,そこには製作者側の意図があるはずです。
この番組を見て,私はもう一つ思ったことがありました。
(私が長縄が嫌いということは抜きにして)
出場したクラスやその周辺に起きている様々な影響です。
「長縄がびっくりするほど上手だったけど,一体いつ練習したのだろう。」
もちろん体育等の時数は限られているわけで,授業の時間にしないとなると,昼休み?
いやどう見てもそれだけじゃ足りないはず。
休日集合?
まさか国語の授業時間を削って?
普通に考えると,そんなにたくさん長縄の練習をする時間は確保できないはず。
「長縄に使った相当な時間や労力。学級生活や授業は大丈夫?」
学校はとても忙しい。
限られた授業時数の中で教えなくてはいけないことがたくさんある。
子どもたちの間に起こる様々な問題の対応にも追われる。
「まさか,出場していない子っていませんよね?」
以前,30人31脚というのが盛り上がった時期がありましたが,それに出場した私の知り合いの先生のクラスでは,うまく走れない子は出場しなかったということがあり,私はゾッとさせられました。
長縄は,見た所跳んでいる子全員がすごく上手に跳んでいましたが,あれはクラス全員ですよね?
苦手な子ははぶかれているなんて,そんなさびしいことはありませんよね?
「隣のクラスは,どう思っていますか?」
出場していない隣のクラスも,同じ気持ちで応援してくれているといいですね。
もし出場を妬んだり,不平等を感じていたりすることがあれば残念です。
出場したクラスの先生,しなかったクラスの先生,子どもたちにはなんと話をしたのでしょうか。
「保護者の理解は得られていますか?」
こんなに特別なことをするわけですから,賛否両論あるんじゃないでしょうか。
最初に感じた,この長縄の「光」の部分。
テレビにはそこばかりが映されるわけですが,当然,「影」の部分だってあるはずです。
担任としての経験も長くなってきた私には,その「影」の部分を見つめようとして,勝手に心配をしてしまいました。
そうなると,どうしてもネガティブな意見ばかりが並んでしまい,私自身がこんな取り組みに否定的なように映ってしまいそうですが,決してそうではないのです。
長縄ではないけど,私も楽しい学級経営のために,いろいろと特別な取り組みをしてきました。
クラスでキャンプに行ったり,ダンス発表会に出たり,各コンクールに作品応募したり。
「子どもたちのために」という担任の思いはいつも一緒です。
しかし,それらの取り組みをすると必ず,「光」の部分と,やっぱり「影」の部分が出て来ました。
熱意をもってしているので,その「影」の部分は気にせず,「光」ばかり求めてやっていました。
しかし,それではいい取り組みとはいいきれないはずです。
その取り組みの責任者として,両方の面をしっかりと受け止め,周囲への理解も促すべきです。
今度テレビで長縄の番組があるときは,華々しい対決だけでなく,その取り組みの全容を追うドキュメントみたいのを見てみたいです。
私個人的には。